メーカーが語る 企業の「自家消費型太陽光発電」を成功に導くポイント

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加速する脱炭素への動き、固定価格買取制度(FIT制度)による買取価格の低下などを背景に、自家消費型太陽光発電が注目されている。脱炭素経営の実現に向け、戦略的に自家消費型太陽光発電を導入するにはどのような点に注意すれば良いのか。工場スマート化へ向けた総合支援を行うFAプロダクツの今野 彰久氏と、太陽光発電の総合システムメーカー・リープトンエナジーの多鹿 伸哉氏が語り合う。

2013年以来のパートナーシップ

―リープトンエナジー、FAプロダクツ、両社の概要と出会いをお聞かせください。

リープトンエナジー 営業部部長 多鹿 伸哉氏(以下、多鹿氏):
 リープトンエナジーは2012年4月に神戸で設立した会社で、今期で10期目を迎えます。設立当初は中国で製造したOEMのパネルを日本で販売していましたが、現在は自社工場を持ち、太陽光発電の総合システムメーカーとして、太陽電池モジュール、架台、基礎杭、パワーコンディショナなどの開発・販売を行っています。

FAプロダクツ様とは2013年以来、パートナーシップを構築しています。当社のアルミ架台を多くの会社にご提案いただくなど、事業拡大の一端を担っていただきました。FAプロダクツ様のグループ会社で新築された南相馬工場の自家消費案件にも、当社のパネルを活用していただいています。

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FAプロダクツ Smart Energy事業部 事業部長 今野 彰久氏(以下、今野氏):
 FAプロダクツは2011年8月に創業しました。Smart Factory事業部とSmart Energy事業部を持ち、主に製造業向けにDXやGX・再エネ導入の支援を行っています。私が事業部長を務めるSmart Energy事業部では、再生可能エネルギー発電所用資材の販売と、太陽光発電所の物件販売が現状の売上の大半を占めています。

我々はもともと、『日本のものづくりを復活させたい』という想いで立ち上がった会社です。創業当時は東日本大震災直後で、エネルギー自給率の低さ、エネルギーの安全性が問題視されていました。

日本の電気の半分近くが工場で使われていますが、当時はそのほとんどが火力と原子力由来のものでした。それを再エネに切り替える風潮が強まる中、エネルギーをミックスさせることで、ものづくりを活性化させていくという、製造工程にもエネルギーにもリーチできる会社を目指してきました。

2年ほど前からは、国内初の民間電力取引所を運営するデジタルグリッドの技術を活用し、大手電力会社を介さず民間企業間で電力取引を行う「P2P電力取引実証プロジェクト」を進めています。当社を含む6社が共同で取り組んでいるもので、ものづくりと再エネを結びつけ、FITに依存しないNon-FIT(非FIT)発電所の拡大へと歩を進めています。

自家消費としての再エネ導入

―FAプロダクツが、リープトンエナジー社製品の取り扱いを始めた背景はどのようなものだったのですか?

今野氏:FITスタート直後、様々な企業の中でも特に、真剣に再エネに取り組んでいるメーカー、パートナーを探していました。リープトンエナジーの周社長は、世の中の役に立つことを主な理念として再エネ事業をスタートされたと仰います。スタートアップとして非常に熱意があり志も高く、同じくスタートアップであった我々としては、こうした企業とパートナーシップを組み、お互いに成長していきたいと考えたのです。

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―FITからNon-FITへ移行する中で、再エネ導入の市場環境はどのように変化しましたか?

今野氏:再エネ設備を導入する主体が投資家から企業に変わってきています。企業の再エネ調達手段には購入する電力を切り替える方法もありますが、調達する電源によっては再エネ設備の増加(追加性)につながらない場合もあります。基本的には、やはり確実に追加性を伴う「自家消費型設備」の導入が望ましいと考えます。

現在、複数の自治体や、ものづくりを担う大手企業にヒアリングを進めていますが、「証書での再エネ比率100%達成にはインパクトの弱さを感じている」という声もあります。

ただ、自家消費型太陽光発電は導入側にとって「儲かるビジネス」ではありません。短期的な利益ではなく、将来を見据えた投資であることを国がもっと明確にした上で、啓発や支援をしなければ進まないかと思います。

多鹿氏:FIT事業に比べ、Non-FIT・自家消費事業はプレイヤーが育っていない側面もあります。実績のない会社は手探りですし、お客さまも周りに導入事例がないなかで、とりあえず見積りは取るものの、その後が進まない。実際には、設備面だけでなく工事費もかかりますので、企業が導入を決める上での課題もあり、本格的な普及にはまだ時間がかかるかと思います。ただ、国内の市場規模としては投資家中心のFIT市場よりも、主に企業が取り組むNon-FIT市場の方が大きく、需要は高いと見込んでいます。

本来の目的に目を向ける

―『自家消費型太陽光発電』を成功に導くポイントは何でしょうか?

多鹿氏:自家消費型太陽光発電の導入は、単純に屋根に太陽光発電設備を載せるというだけの話ではありません。脱炭素に向けて自社が何をしなければならないのかを考えて、目標を設定して取り組むことが必要です。太陽光発電は目標に向けた手段の1つです。

費用対効果も含め、企業の目的はさまざまだと思います。「脱炭素化に向けて何をしたいのか」を明確にしてご相談いただけると、本来の目的から外れることなく、目指すゴールにたどり着けるかと思います。

今野氏:電気代を下げたいのか、環境価値を高めたいのか、CSRとしてアピールしたいのか……目的によって導入の重要度も変わってきます。

環境価値の話にしても、例えばメーカー側がAppleのようにサプライヤーへ環境経営を要求してくるなら、そもそも自家消費型太陽光設備を導入しなければ仕事がなくなるかもしれません。そうした経営上の大きな課題を把握するには、経営層の方々との対話が必要です。

本来の課題や目的が共有されていない状態で各々の担当部署が見積った導入計画を、経営者がコストだけをもとに判断するような場合では、本来の目的から遠ざかってしまうおそれもあります。そうした課題や目的の整理も、我々のやるべき仕事だと思います。

多鹿氏:本来の目的に沿った導入が決まれば、当社はパネルだけでなく、架台、パワコンまで全てをワンストップで用意できますので、お客様にとってメリットは大きいかと思います。世界的に納期の遅れが頻発していますが、当社は在庫を確保した状況で運用していますので、2~3ヶ月も納期が遅延したり、発注をいただいた後に単価が変わることもありません。安心してお任せください。

今野氏:現在、Tier1選出の国内メーカーで、自社工場で生産をしているのはリープトンエナジー社だけ。その品質には信頼を置いています。

現在、屋根の強度調査からシュミレーション、キュービクルの導入など、一気通貫で出来る会社はまだ少ない状況です。総合的なノウハウを持たない企業が再エネ設備導入の実作業を担当すると、キュービクルの誤操作から工場の操業が止まってしまうことさえありえます。

製造業への導入実績が豊富な当社であれば、リスクを回避しながら最適な再エネ導入のお手伝いをいたします。

左:FAプロダクツ 今野 彰久氏 右:リープトンエナジー 多鹿 伸哉氏
左:FAプロダクツ 今野 彰久氏
右:リープトンエナジー 多鹿 伸哉氏

リープトンエナジー株式会社 リープトンエナジー株式会社
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