絶縁型双方向DC-DCコンバータ『EZAシリーズ』

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産業機器向け電源のリーディングカンパニーであるTDKラムダ。同社の開発する『EZAシリーズ』は、1台で蓄電池の充放電ができる双方向コンバータだ。蓄電システムを開発するエネマンが提供する高性能オフグリッドシステム『eneman』にも採用されている。EZAシリーズの特長や採用された背景など、両社の製品開発担当者に話を聞いた。

蓄電池を使って再エネを活用する時代

―まずは、TDKラムダ、エネマン両社の会社概要をお聞かせください。

TDKラムダ株式会社 技術統括部 システム電源開発部 新エネルギー技術グループ グループマネージャー
岩谷 一生氏(以下・岩谷氏):
TDKラムダは、2008年にTDKの電源事業部門との統合で誕生しました。産業用スイッチング電源の開発・製造・販売を行っており、日本、中国、欧州、米国、アジアの世界5極に研究開発拠点を有し、産業機器向け電源の分野では、世界シェアNo.1(2020年度実績で10.8%)を持ちます。

株式会社エネマン 技術部長
阿部 正二氏(以下・阿部氏):
2015年に設立したエネマンは、蓄電システムの開発・製造・販売、それにかかわる全ての事業を行っています。東日本大震災を契機に、各社に蓄電池や太陽光設備を導入する国の事業があり、その事業に参画する形で公共施設等に蓄電システムと太陽光発電を導入したのが、会社設立の発端となっています。

―双方向コンバータ『EZAシリーズ』の開発はどのような経緯で始まったのですか?

TDKラムダ株式会社 技術統括部 システム電源開発部 新エネルギー技術グループ グループマネージャー 岩谷 一生氏
TDKラムダ株式会社
技術統括部 システム電源開発部 新エネルギー技術グループ グループマネージャー
岩谷 一生氏

岩谷氏:某機器メーカーで、再エネを導入したDCエコハウスを建設するという話があり、蓄電池の充放電を行う双方向DC-DCコンバータが必要だと相談があったのが開発のきっかけで、その実証実験に使っていただきました。当時はFITの売電価格が高騰して太陽電池が急増し、『将来、需給バランスが崩れる心配がある』と懸念され始めた頃です。「これからは、蓄電池を使って再エネを活用していく時代になる」と、他社に先駆けて量産化しました。

『EZAシリーズ』は、直流電源システムにおける電力変換のプラットフォームとなる電源で、1台で直流電力を双方向にやりとりします。先進のデジタル制御電源技術を投入し、絶縁型で極めて効率的な双方向変換を実現しています。再エネを活用するオフィスビルや商業施設、公共施設などで、蓄電システムと連携させることで、直流給電、消費電力の平準化、停電時のバックアップなど、柔軟なシステム設計が可能です。

現在、最大出力2.5kWの『EZA2500』と、同じ1Uフルラックサイズで最大出力11kWの『EZA11K』の2製品をラインナップしています。

ユーザー目線で導入しやすいシステムを目指す

―高性能オフグリッドシステム『eneman』について、お聞かせください。

株式会社エネマン 技術部長 阿部 正二氏
株式会社エネマン 技術部長
阿部 正二氏

阿部氏:『eneman』は、太陽光や風力、交流電流などの電気を受け取ることができ、変電所のように電気をコントロールする、電力会社のグリッドに依存しないオフグリッドの独立電源システムです。

FITが発端のバブル期が過ぎ、エネルギーストレージという分野が、これから必ず求められます。これまでのエネルギーストレージシステムは柔軟な導入や運用が難しく、硬直化したものが多かったのですが、一般の中小企業の皆さまが、導入の効果を得つつ、災害時の非常電源としても使えるようなシステムを目指して開発しました。

―『eneman』に『EZAシリーズ』を採用した経緯をお聞かせください。

阿部氏:まず、開発当初から目的にしてきたのが、ユーザーが導入しやすいシステムにすること。これまでは、どちらかと言えば非常時を想定したシステムが多かったので、我々は、日常のピークカットやピークシフトにも活用できるシステムの開発を進めました。

エネルギーストレージシステムに欠かせないのが、蓄電池とインバータ(パワコン)、そしてDC-DCコンバータです。最初は『EZA2500』を使用し実験を開始しましたが、その後、11kWの製品を紹介いただき、実際の採用を決定しました。太陽光の業界も含め、産業用のパワコン容量は10kWが1つのくくり。10kWの出力をフルに活かすには、効率も踏まえ11kWで蓄電池とインターフェイスできる電源が必要でした。システム開発当時、これができる電源は『EZA11K』以外に見つけられなかったのが実態です。

採用を決定し、蓄電池メーカー、パワコンメーカー、TDKラムダさんと合同でシステム構築の会議を行い『これならいける』となったのが2016年でした。

岩谷氏:『EZA2500』は蓄電池電圧48Vに対応しており、これまで鉛蓄電池を使っていたお客さまにも手軽に使用いただけます。『eneman』の実証試験にも使っていただいた通り、数kWの実証試験や48V鉛互換のLiBなどを使ったお試しシステムに最適です。一方『EZA11K』は、EZA2500と同じ1Uフルラックサイズで4倍の出力が可能になります。電力変換効率も92%から95%に向上し、電力ロスが少なくなっています。200V系の蓄電池に対応しており、より大容量でありながら、システムの小型化にも貢献しています。

圧倒的自由度が『EZAシリーズ』の特長です。上位システムからの指令で充電・放電を切り替える他律モード、グリッドまたはバッテリ電圧に応じEZAが自主的に充放電動作を行う自律モードを備え、電圧電流設定値変更&モニタリング、通信機能でリアルタイムに変更可能など、動作の選択が自由自在にできるよう、設計しています。

EMS:エネルギーマネジメントシステム、ESS:エネルギー貯蔵システム
EMS:エネルギーマネジメントシステム、ESS:エネルギー貯蔵システム
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将来は高電圧化、大容量化へ

―今後、TDKラムダ社の製品にどんなことを期待しますか?

阿部氏:『EZA11K』については、非常に満足しています。『圧倒的自由度』と言うとおり、自律的に充放電をコントロールできるなど、様々な機能に助けられています。

今後、市場は蓄電池の高電圧化と出力の大容量化に向いていきます。蓄電池の容量が上がるなかで、それに対応したDC-DCコンバータ、あるいはDCACの双方向インバータなどを開発していただければと思います。

岩谷氏:ご要求の電源は開発を検討したいと思います。それらと既存の『EZAシリーズ』を組み合わせればEMSができますので、オールTDKでEMSを構築できるように、まずはしていきたい。その後、高電圧化、大容量化へ展開を実現することで、社会に貢献していきたいと考えます。


TDKラムダ株式会社 TDKラムダ株式会社
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