新たな自律分散協調型EMSを開発し、普及促進を目指す

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東京ビッグサイトで開催された「第18回 スマートエネルギーWeek」では、電力機器や溶接機などのメーカーとして知られるダイヘンが、同社が開発したEMS「Synergy Link」を搭載した自家消費型太陽光発電向けの50kWハイブリッドシステムを初出展した。「Synergy Link」とは太陽光発電や蓄電池、EV充電器に手のひらサイズの「Synergy Link」モジュールを搭載するだけで、機器・システム同士が協調して、エネルギーを最適に監視・制御できるEMSだ。機器の追加や削減などシステム拡張も簡単・低コストで実現できるとして、注目が集まった。

※同社がブース内で紹介した『カーボンニュートラル実現に貢献する「Synergy Link」』に関する詳細資料について、こちら、もしくは文末よりダウンロードできます。

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▲資料がダウンロードできます

機器・システム同士が協調し、エネルギー監視・制御する「Synergy Link」

3月16から18日の3日間にかけて、東京ビッグサイトで開催された「第18回スマートエネルギーWeek」は、脱炭素社会の実現を目指し、様々な取り組みが動き出す中、多数の来場者を集めた。

なかでも注目を集めたブースの一つが、自律分散協調制御技術「Synergy Link」を軸に、脱炭素化へ向けた自家消費型太陽光、大容量蓄電池、EV充電器にかかわる3つのソリューションを提案するダイヘンのブースだ。

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同社が開発した「Synergy Link」モジュールは手のひらサイズの大きさで、拠点管理サーバーなど中央監視制御装置を使用せずに、搭載した機器・システム(太陽光発電、蓄電池、EV充電器等)同士が協調して、エネルギーを最適に監視・制御する。例えば太陽光発電システム、蓄電池システム、EV充電器に「Synergy Link」モジュールを搭載すると、使用電力量によって毎秒変化する1つの全体誘導指令値を太陽光発電、蓄電池、EV充電器の各機器が受信し、自律的に出力を調整する自律分散型のエネルギーマネジメントが可能になる。各機器が自ら運転状態を把握し自律的に出力を調整することで、全体使用電力量を目標へと導いていくという画期的なものだ。

ダイヘンのEMS事業部長の服部 将之氏は「来場者の方からは、脱炭素化は企業の責務であるが、何からどのように手を付けてよいかわからないという声を多くお聞きします。そこで、当社では例えば、ステップ1として、太陽光発電の導入時に「Synergy Link」モジュールを搭載していただくことを提案しています。次いで、蓄電池、EV充電器の導入へとステップアップする時にもSynergy Linkが脱炭素化に、より効果を発揮します。今回は脱炭素化に取り組もうというお客様に向けて、工場・マンション・店舗など自家消費型太陽光発電・蓄電池システムを対象としたSynergy Link搭載の50kWハイブリッドシステムを初めて出展しました。お客様からは『手のひらサイズのSynergy Linkモジュールを搭載するだけで、こんな効果があげられるのか』と驚かれ、評価をいただいています」と手ごたえを感じている。

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500kW太陽光導入で、CO2排出量年間80トン、電気料金280万円削減

「Synergy Link」を導入すると、具体的にどんなメリットがあるのか。まずCO2排出量削減効果から比較してみる。例えば「Synergy Link」を搭載した自家消費型太陽光(500kW)を導入した場合、休日でも電力系統の逆潮流の発生を防ぐことで、太陽光発電を止めることなく太陽光エネルギーを最大活用。平日1200kW、休日200kWの負荷がある工場のケースで、「Synergy Link」なしの場合に比べ、年間CO2排出量を80トン削減し、電気料金を280万円節約できる。

次いで250kW/500kWh蓄電システムを追加すると、CO2排出量の削減効果は「Synergy Link」なしの場合に比べ、CO2排出量は年間26トン、つまりトータルで106(80+26)トン、電気料金では370万円削減できる。

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さらに、そこに「Synergy Link」を搭載した50kW急速充電器2台と6kW普通充電器10台を導入すると、年間CO2排出量は「Synergy Link」モジュールなしの場合と比べ49トン、トータルで155(106+49)トン削減し、電気料金も540万円節約できる。太陽光発電の電力をEVに充電し、さらに複数のEVに同時に充電しても、機器同士が協調し、電力ピークが立たないようにコントロールすることができるからだ。

また、「Synergy Link」は機器の追加やシステム拡張も、簡単・低コストで実現できる。ダイヘンによれば、前述のモデルケースの場合、投資金額も従来の同社EMSを採用した場合に比べ、5200万円削減でき、3年早く投資回収が可能になるという。

スマート街区開発やVPP構築実証でも活用が期待される

「Synergy Link」を搭載したソリューションは、物流、交通インフラ、各種メーカー等から様々な問い合わせ、引き合いが急増しているという。

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加えて、服部氏は「Synergy Linkが活用できる市場は広く、様々な分野の方々とのアライアンスも検討しています。他業種の方たちと協業し、販路を拡大していきたい」と意欲的だ。

さらに「Synergy Link」を搭載したソリューションはスマートシティ開発やVPP構築などでの活用が期待されている。すでに屋根に太陽光パネルを搭載した戸建住宅51戸からなるスマートコミュニティ街区にも「Synergy Link」が採用されており、街区では各戸の太陽光発電を電源としたマイクログリットを構成。街区の一画にパワコン、蓄電池、EV充電器を備えた「チャージエリア」を設置し、各戸で発電した電気を直流で集め、街区内で融通し合う仕組みだ。災害などで系統電力の供給が途絶えても、街区内の電力を一定期間、供給することも可能となる。

服部氏は「今回の出展で、企業の皆様にSynergy Linkを認知していただき、社会に実装されることが、脱炭素社会の実現につながると祈念しています」と脱炭素化に向けたダイヘンの役割を強調する。

株式会社ダイヘン 株式会社ダイヘン
EMS事業部
企画部
大阪市淀川区田川2丁目1番11号
問合せ先
email:ems_planning@daihen.co.jp
TEL 06-7175-8599

※『カーボンニュートラル実現に貢献する「Synergy Link」』に関する詳細資料をダウンロードできます。

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