ダイヘン、蓄電池導入コストを34%減 脱炭素を後押し

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蓄電池を導入すると太陽光発電を最大限活用できるようになり、CO2削減や電気料金の低減など多くのメリットが生まれる。しかし、需要家にとっては導入コストの高さが課題になっているという。費用対効果の高い蓄電池の導入方法の6つのポイントについて、2023年8月23日に開催された環境ビジネスフォーラム『成長戦略として捉える企業の再エネ導入』でダイヘン理事の上田 太朗氏が解説した。

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コストの高さが蓄電池導入を断念する原因に

2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、太陽光発電設備などの導入が進んでいる。一方で、電気の使用量が少ない休日などに太陽光の発電量が抑制されると再エネを有効活用できないことや、発電量が少ない夕方や雨天などに電気を多く使うと電力会社から購入する電気が増えて電気料金が増加するといった問題がある。

「これらを解決するには、太陽光発電設備と蓄電池を併用するのが有効です。非常用電源として防災性の向上にもつながります。しかし、コストの高さから、蓄電池の導入を断念する企業もあります」と上田氏は明かす。

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環境ビジネスフォーラム『成長戦略として捉える企業の再エネ導入』
にて講演する、ダイヘン理事の上田 太朗氏

蓄電池への投資では「ストレージパリティ」の達成が重要

そこでダイヘンが提案するのが、導入コストを抑えた「リユースバッテリーパッケージ」だ。リユースバッテリーパッケージは、連系設備やパワーコンディショナなどが一体となったパッケージ型の蓄電池システムで、安価で環境負荷の少ないEVのリユースバッテリーを再利用している。受変電設備を一体化して機器間の配線を省くなどの工夫を施し、導入コストを低減した。

リユースバッテリーパッケージは受変電設備を一体化して導入コストを低減
リユースバッテリーパッケージは受変電設備、パワーコンディショナを一体化して導入コストを低減

「脱炭素化を目指すとき、蓄電池の投資において重要なのは、ストレージパリティの達成です」。ストレージパリティとは、蓄電池を導入しない場合よりも導入した場合の方が経済的メリットがある状態のこと。上田氏によると、リユースバッテリーパッケージによってストレージパリティを達成するポイントは6つあるという。

「1つ目は、太陽光の余剰電力を有効活用してCO2排出量と電気料金を削減すること。従来、抑制されていた余剰電力を蓄電池に充電することで無駄なく活用でき、CO2削減を促進できます。余剰電力を使う分だけ電力会社から購入する電気が減るため、電気料金の削減にもつながります」。

「2つ目のポイントは充放電の制御によって電力デマンドをピークカットし、電気料金を削減すること。リユースバッテリーパッケージは、あらかじめ設定した目標デマンドを超過しそうな場合には、蓄電池から放電してデマンドの超過を防ぎます。こうした制御を常に行うことで電気の基本料金を低減し、投資効果を高められます」。

ピークカットにより電気料金を低減できる
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ピークカットにより電気料金を低減できる

導入コストに加え ランニングコストも投資効果に直結

蓄電池システムの導入コストとランニングコストの低減も、ストレージパリティの達成に直結する。これが3つ目と4つ目のポイントだ。「もともとEVのバッテリーは冷却性能や耐候性が高いため、リユースバッテリーパッケージの冷却システムには、一般的な新品の蓄電池で使用されるエアコンではなく、ファンを採用しました。必要な機器を一体化したことなどによって、新品の蓄電池を採用したシステムと比べて導入コストを約34%低減しています。また、冷却がファン方式であることから、ランニングコストも約9割低減しました」と上田氏は説明する。

エアコンレスのファン冷却によりランニングコストが低減
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エアコンレスのファン冷却によりランニングコストが低減

BCP対策や既存設備の改造費用も踏まえて検討すべき

災害などによる停電時には、蓄電池システムが非常用電源となることが期待される。BCP対策に役立つという付加価値も、脱炭素投資の効果を高めるうえで重要なポイントのひとつだと上田氏は話す。「リユースバッテリーパッケージは、停電時に単相だけでなく三相の負荷にも電気を供給できるため、停電時でもクレーンの操作やEVへの充電などが可能です」。これが5つ目のポイントだ。

6つ目のポイントは、既存の太陽光発電に追加で蓄電池システムを導入する際の工事費用や改造費用を抑制すること。リユースバッテリーパッケージは、すでに太陽光発電を設置している場合も工事費用や改造費用を抑えながら追加で導入することが容易だという。

「こうしたストレージパリティ達成の6つのポイントを踏まえて蓄電池システムの導入を進めれば、効果的な脱炭素投資につながります。導入コストを抑えられるリユースバッテリーパッケージなどのソリューションを通じて、需要家のCO2削減や電気料金の低減に貢献していきたい」と上田氏は力を込める。

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