Aikosolar、屋根上太陽光にN型モジュール発売

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景観配慮にも最適―住宅や事業所の屋根上自家消費太陽光発電に高効率モジュールを提供

Aikosolarは、太陽光モジュールのもとになる太陽電池のサプライヤーとして世界有数の実績を誇る。2022年から満を持して太陽光モジュールの自社生産をスタートし、販売を拡大中だ。日本市場に向けては、住宅や事業所の自家消費に最適な高効率の「N型モジュール」を発売する。社長の趙 宏碧氏に話を聞いた。

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趙 宏碧氏 Aikosolar Group EIRONN株式会社 社長
趙 宏碧氏 Aikosolar Group EIRONN株式会社 社長

太陽光業界の技術革新をリード

Aikosolarは2009年、太陽光モジュールを構成する太陽電池セル*のメーカーとして中国で設立された。創業以来、研究開発に意欲的に取り組んできたことで知られ、売上の約10%を研究開発費に充てている。同社の研究成果は、2016年に業界初の管状PECRセル工法を開発し、2017年からPECRセルの量産を開始。2018年には業界初の両面受光セルを開発し、両面モジュール普及の実現を牽引した。2019年には業界初の210mmのビッグサイズセルを開発し、600Wクラス以上の大電流モジュールの実現に大きく貢献した。まさに太陽光業界の技術革新をリードしてきたセルメーカーの1社だ。「当社は、中国の仏山、浙江省、天津、珠海の4箇所にある自社工場で生産を行っています。これまでのセルの出荷実績は世界累計で80GWを超え、米国の国立再生可能エネルギー研究所の調べでは、2021年のセル出荷量は世界トップになりました」と日本法人EIRONNの趙 宏碧社長は話す。

*太陽電池セルは約10cm四方の太陽電池の基本単位。太陽光モジュールはこの「セル」が複数枚組み合わさって構成されるもの。

N型モジュールでLCOEを低減

同社はこれまで、国内外の太陽光モジュールメーカーに部品を提供するサプライヤーという立場だったが、2022年7月から新たに太陽光モジュールの自社生産を開始した。今後は、セルとモジュール両方のメーカーとして一層の事業拡大を図る。新発売の太陽光モジュールはN型太陽電池採用で発電効率が高いものだ。現在の太陽光市場では、P型太陽電池がほとんどだが、N型には、出力が劣化しにくく高温の環境でも発電量のロスが少ないという長所がある。

モジュール比較
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同社は今後、N型の太陽光モジュールが市場の主力製品になっていくと予想しており、自社工場の一つである珠海工場での生産に力を入れる。主力製品は、N型の中でもより効率の高いABC(All Back Contact)タイプの「ブラックホールシリーズ」と「ホワイトホールシリーズ」だ。それぞれ400Wクラスと600Wクラスをラインナップしている。ブラックホールシリーズは、モジュール表面のグリッド線がなく、黒色に統一されたデザイン性の高いシリーズ。高級感があり、景観に配慮しなければならない地域の住宅、別荘などへの設置に最適だ。モジュール変換効率が23%以上と、従来のP型モジュールと比べて高いことに加え、劣化しにくく、高温下でも発電量が落ちにくい。初年度の劣化率は、従来のP型モジュールが2%であるのに対し、同シリーズは1%。2年目以降の劣化率も抑えられている。太陽光モジュールには温度が高くなるほど出力が落ちるという特性があるが、同シリーズでは温度上昇1℃あたりの変化率が-0.29%と、従来のP型モジュールより0.05ポイント小さい。環境温度は10℃上昇すると、変換効率に0.5%の差が生じる。一方のホワイトホールシリーズは、ブラックホールシリーズより大容量でたっぷりと発電するため、1kWhあたりの発電コストであるLCOE(均等化発電原価)を抑えるのに役立つという。「新製品のN型モジュールはより多くの発電量を生み出すことができるため、長期的に見たときの収支が大きく変わってきます。具体例を挙げると、ある関西地区の案件で、事業所の屋根上1万平方メートルに設置するシミュレーションをしたところ、従来のP型モジュールの場合は設計容量が合計1,029.2kWであったのに対し、440WのN型モジュールでは1,091.2kWと、搭載できる容量が6%以上アップしました。その結果、25年間のトータルの発電量はN型モジュールの方が9.81%多くなったのです。さらに、610WのN型モジュールで試算したところ、搭載容量が10.91%向上し、25年間の発電量は合計で14.87%増加しました。これは一例ですが、当社のN型モジュールは他社製品と比べて劣化率が低いため、長期的な発電量に大きな差が生まれ、LCOEの低減に貢献できるのです」と趙氏は強調する。

珠海新工場
珠海新工場

屋根上自家消費案件で提供を拡大

研究センター
研究センター

事業所の屋根上などで自家消費を行う施主のニーズは、設置面積が限られていても、できるだけ多くの容量を搭載したいということだ。自家消費できる量が多いほどCO2削減効果が大きくなり、電力会社から購入する電気を抑えることができるため、昨今の電気料金高騰の対策にもなる。「N型モジュールなら、6~10%多くの容量を搭載することができ、より多くの発電量を得たいという施主のニーズに応えられます。また、経年による劣化率が低いという特徴から、25年間など長期にわたって十分な発電量を期待できます。そのため、LCOEを大幅に引き下げるのに役立つのです。自家消費を成功に導くには、初期費用の低さよりも、いかにLCOEを低減できるかが重要なポイントです」と趙氏は力を込める。

同社は、グローバルでの方針を大きく転換し、屋根上設置などの自家消費案件を中心に提供を拡大していく考えだ。「セルメーカーとして培った高い技術力による高効率なN型モジュールで、増大する自家消費ニーズを確実に満たしていきたい」と趙氏は展望する。

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EIRONN株式会社EIRONN株式会社
e-mail:japanoffice@aikosolar.com
URL:http://ja.aikosolar.com/

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