自治体の資源・廃棄物処理の効率化でスマートシティを実現

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小田急電鉄株式会社は、「ごみ」のない持続可能で豊かな「循環型社会」を実現するウェイストマネジメント事業「WOOMS(ウームス)」を展開している。資源・廃棄物処理における効率化を提供する「収集・運搬サポート」と、サーキュラーエコノミーの実現に資するサービスを提供する「資源循環サポート」を提供することで、地域と連携した「Beyond Waste」の実現を目指す。

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小田急電鉄、Beyond Wasteを実現するWOOMSが躍動 世界に誇る循環型社会を実現

小田急電鉄は2021年9月、ウェイストマネジメント事業「WOOMS」の事業化を発表した。それによると、「WOOMS」は、小田急が、ゴミという概念を取り払い、共創を通じて地域起点で資源循環の道を切り拓く存在であることを表す。経営戦略部ウェイストマネジメント事業WOOMSの加賀 隆三氏は、「『Beyond Waste』は、地域の皆さまとともに築きあげ、小田急沿線エリアから世界に誇る循環型社会を実現するためのビジョンだ」と説明する。

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WOOMSを通して明らかになったことについて、加賀氏は「循環型社会の実現には、その実現において重要な役割を担う『収集・運搬』の直面する現実的な課題がボトルネックとなっている。ごみの収集・運搬が抱える課題は人手不足だ。また、業務の平準化ができないために安定的な収拾が難しくなることで、休日が取得しにくいなど、職場環境の課題にもつながっている」と話す。

WOOMSはデジタル技術を活用することで、収集・運搬が抱えるこれらの課題の解決を目指す。具体策として、デジタル地図上に収集ポイントをデータ化し収集ルートを設定する「WOOMS Portal」を使う。収集状況をリアルタイムに把握できるので、収集車両のルート変更や応援調整などがすぐに判断でき、パソコン一台ですべての収集車両のマネジメントが可能になる仕組みだ。

また、収集車に搭載しているタブレット端末のアプリ「WOOMS App」も活用する。各車両の情報連携ができるので、複数の車両がひとつのチームとなり、応援要請や支援許可を直接調整できる。これにより、日々変化する収集量や緊急時のルート変更などへの迅速な対応が可能になり、収集チームの連携が強化できる。

WOOMS Portal とWOOMS Appを組み合わせることで、収集業務の効率化や住民サービスの向上を図る。管理者は、収集車がWOOMS Appで取得するデータにより現在位置、収集の進捗状況、収集量などの情報をリアルタイムで把握し、蓄積したデータ分析により、ルートや積載量の最適化を図ることができる。

座間市で運搬回数16.3%削減などデジタル活用が効果を発揮

小田急電鉄の沿線地域を対象に、すでにさまざまな活動を展開している。2021年1月から全車両にシステムを搭載し、本格的にデータを活用した神奈川県座間市では、職員がデータを活用することにより、車両の平均積載量を2019年度比で11.6%引き上げ、運搬回数を16.3%削減するという目覚ましい実績を残した。創出された余力により725.3トンの剪定枝のリサイクルを行い、焼却量削減に成功した。

加賀氏は「自治体においては、収集効率化により生まれたコスト削減とマンパワーの余力を廃棄物の削減、リサイクルの拡充や住民に対する啓発活動などの政策課題に振り向けたいという意向が強く、WOOMSの活動の成果を循環型のまちづくりにつなげていきたい」と話す。名古屋市においても、可燃ごみとして出されていた剪定枝を可燃ごみ回収時にデータ化し、同日に剪定枝リサイクル回収を実施中だ。

さらに、使用済み紙おむつリサイクルの実現に向け、ユニ・チャームとの共同事業をスタートさせた。家庭ごみ収集のフィールドにおいて、効率的な分別収集体制の構築を担うのが狙いだ。昨年度は東京都町田市で実証実験を実施した。高齢化社会の進展に伴い、大人用紙おむつの処分は社会課題となっている。一般廃棄物の2割が紙おむつという地域も出てきている。町田市での実証実験でも、大人用紙おむつの回収割合は低く、いかに効率的に分別回収するかが鍵となっている。

このほか、「WOOMS」を活用し、小田急線東北沢駅、下北沢駅、世田谷代田駅の各駅構内にある自動販売機横のリサイクルボックスや、下北沢エリアの路面にある自動販売機横のリサイクルボックスの共同回収を実施している。

ごみから始めるサステナブルなまちづくりはテクノロジーを主軸に、コミュニティー、プロダクトという3つのサービスを活用し、課題解決や目標達成に最適な共創プログラム・プロジェクトを提案している。地域の発展と持続可能な社会づくりは小田急の使命であり、これまで地域に根差した鉄道・不動産を中心としたインフラ業を営み、地域の自治体・企業・生活者と緊密な関係を有する小田急のリソースを活用できる分野である。

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小田急電鉄経営戦略部課長で共創プランナーの米山 麗氏は「街のインフラとして重要な役割を担いたい。収集したものを燃やして熱回収するだけではなく、製品としてリサイクルするには、それができるファシリティーの存在が重要で、企業の誘致やパートナーシップで実現し、収集・運搬を支援する新たなインフラの共創を目指したい」と話している。

 

企業名:小田急電鉄企業名:小田急電鉄
部署名:ウェイストマネジメント事業 WOOMS
お問い合わせフォーム:https://www.wooms.jp/contact/
企業HP:https://www.wooms.jp/

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