補助金を活用した太陽光PPAを検討する際の留意点

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省エネ補助金や太陽光発電補助金、電気自動車補助金など、令和4年度第2次補正予算と令和5年度概算要求には大規模な環境・エネルギーに関する支援政策が目白押しだ。『環境ビジネス2023年冬号』(2022年12月15日発売)では、関連する主だった補助金について解説を行っている。今回はその中のひとつについて、事業者の話も交えて掘下げていく。

補助金の概要

2022年11月8日、令和4年度第2次補正予算案が閣議決定され、21日国会に提出され、12月2日に国会審議を経て成立した。 環境省では、地域脱炭素の取り組みの加速化、自立分散型エネルギーとしての再エネ・蓄電池の普及拡大、住宅・建築物等における省エネ対策の推進、金属・プラスチック、太陽光・蓄電池等のサイクル設備等の整備等を図るとともに、二国間クレジット制度(JCM)の積極展開による日本の脱炭素技術等の海外展開と途上国の脱炭素化の同時実現に向け、予算が立てられた。

このうち、多くの企業にとって関わりがあるといえる「民間企業等による再エネ主力化・レジリエンス強化促進事業」について、概要やその特長についてまとめていく。

この補助事業は、屋根や駐車場に太陽光発電設備を設置し、その電力を建物内で消費する、いわゆる自家消費型の太陽光発電の導入等を推進するものだ。主に、太陽光発電設備の導入を初期費用ゼロで行えるオンサイトPPAなどで活用できる。自家消費型の太陽光発電設備と蓄電池の導入支援等を通じて、ストレージパリティ(太陽光発電設備と蓄電池を導入した方が需要家にとって経済的となる状態のこと。環境省ウェブサイトより)を達成し、再エネの最大限導入と防災性強化を図ることを目的としている。

補助金が拡充する一方、申請の手続きなどは煩雑な印象を持たれたり、ハードルが高いとみられたりする傾向もある。そこで今回は、実際に申請する際の要点や検討時に踏まえておくべきポイントなどについて太陽光PPA事業者である第二電力に話を聞いた。

採択と申請の重要ポイント

「私たちはまず、公募要領をしっかり読み込んで環境省が何を実現したいのかを十分理解した上で、お客様への提案方針を決定することを意識しています」こう語るのは同社の業務部 部長 盛上 拓哉氏だ。

「たとえば令和4年の補助金では、事業の目的に『PPAモデル等による自家消費型の太陽光発電設備や動く蓄電池としての電気自動車を含む蓄電池等を導入する事業』と書かれています。太陽光発電設備の導入はもちろんのことですが、私たちはこの目的にそって、全ての案件に蓄電池をつけることを方針としました。蓄電池の導入については、公募要領の評価ポイントの最初に書かれている項目でもあります。私共のこのような提案が評価され採択につながったのではないかと考えております。今後も公募要領が発行されたタイミングで内容を読み込み、その時の目的に沿った内容を提案に加えていくことを実施していきます」

一方で、お客様側にもスピード感が求められる、と付け加える。たとえば令和4年度は公募要領が発行された時点では三次公募まで予定されていたが、結果的には二次公募で終了となった。

「太陽光導入を希望されるお客様は増えており、今後も補助金は予定より早めに予算額に達成する可能性があります。導入の意思を明確に決めておかないと、公募要領発行から応募の締切までに時間がありませんので、お客様側にもスピーディーな意思決定と決裁の手続きが必要となります。

国の補助金ですので『とりあえず提出しておいて採択になってから最終決定する』という訳にはいきません。この点も重要なポイントとなります」

第二電力の補助金採択実績

補助金名 採択件数

令和2年度二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金
(サプライチェーン改革・生産拠点の国内投資も踏まえた脱炭素社会への転換支援事業)

26件
令和3年度「ストレージパリティの達成に向けた
太陽光発電設備等の価格低減促進事業」
18件
令和4年度「ストレージパリティの達成に向けた
太陽光発電設備等の価格低減促進事業」
23件
第二電力が設置した、補助金を活用した設置事例2件
第二電力が設置した、補助金を活用した設置事例2件
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補助金活用のメリットとデメリット

「補助金活用のメリットは、もちろん太陽光発電の利用コストが下げられるということにあります。この半年では燃料調整費もかなり上昇しており、その効果は以前よりさらに大きくなっております」

「一方のデメリットというか認識しておくべき点としては、途中解約時にはPPA事業者への違約金だけでなく、補助金についても返還義務が発生するということです。また、部材発注、工事発注は交付決定後でないとオーダーできません。一方補助金事業の完了には納期が定められていることから工事期間に非常に制約があるという点もあります。PPA事業者とは実績だけでなく、工事期間、部材確保状況についても十分確認することも重要です。」

この工事期間が短い点には苦労する事業者も多いという。部材や業者の確保が出来ず、採択になっても工事が間に合わないため補助金を辞退する、といったケースも業界内ではあるようだ。

「申請の事務手続きも大きな負担になりますが、PPAの場合はPPA事業者が申請しますので、お客様にとっての負担は小さくなります。弊社はまとまった件数の申請・採択の実績がありますので、手続きについては安心してお任せいただけます」 と、盛上氏は語った。

 

第二電力株式会社 第二電力株式会社
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