【期間限定】東洋熱工業「E-SCAT」の熱源制御、世界最高水準の秘密は

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1937年に設立された老舗の空調設備施工会社である東洋熱工業(東京都中央区)は、空調設備、給排水設備、省エネシステム、蓄熱システムなど、時代の変化とともに事業の幅を広げてきた。近年は省エネ熱源システムの司令塔である「E-SCAT(Energy Smart Command for Airconditioning of TONETS)」シリーズをエンジニアリング事業の柱とし、持続可能な社会への貢献を目指している。

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世界最高水準の熱効率を実現する東洋熱工業「E-SCAT」の熱源制御
東洋熱工業の熱源制御システム「E-SCAT」は世界最高水準の熱源効率を実現している
東洋熱工業の熱源制御システム「E-SCAT」は世界最高水準の熱源効率を実現している

E-SCATシリーズ、2022年度の省エネ大賞 全国42件納入

E-SCATシリーズは高い省エネ性能が評価され、2022年度の省エネ大賞を受賞した。システム開発のきっかけは、省エネに対する顧客のニーズを丁寧にくみ取ったことだった。東洋熱工業の飯野敬太・設計管理課担当課長が説明する。

「E-SCATシリーズは、熱源システム全体の効率化によって、高い省エネ効果が得られるよう開発されました。世界最高水準の熱源総合効率を実現するシステムであり、全国で42件(2025年3月時点)の導入事例があります。高度なシミュレーションや事前分析によって効果を検証し、インバータターボ冷凍機や空冷ヒートポンプチラー、蓄熱システム、排熱回収、フリークーリングなどの多様な熱源機器を含むシステムを最適制御します。いわば『司令塔』の役割を果たし、各熱源機器の特性を活かします」

表説明)E-SCATの熱源総合効率は世界でも高い水準にある(出所:東洋熱工業)
表説明)E-SCATの熱源総合効率は世界でも高い水準にある(出所:東洋熱工業)

E-SCATは2004年に第1号案件を納入し、以来、工場や事務所、商業施設、病院、データセンターなど幅広い用途に適用されている。当初は、インバータターボ冷凍機の冷却水最適制御からスタートしたが、そこから蓄熱システム、フリークーリング、排熱回収、熱融通、コージェネレーションシステムなどにも制御対象が広がった。

熱源総合効率、一般システムの1.5~3倍

「E-SCATの導入により、一般システムの1.5~3倍の効率を実現します。E-SCATを導入したある九州の生産工場では、世界最高水準の熱源総合効率(3.2)を達成しています。この工場では2006年にE-SCATを、2012年にゆずコンを導入し、多様な制御の組み合わせにより、優れた省エネ性を発揮しています」(飯野氏)

画像説明)E-SCAT導入により、九州の生産工場では世界最高水準の熱効率を実現した 画像はイメージです
画像説明)E-SCAT導入により、九州の生産工場では世界最高水準の熱効率を実現した 画像はイメージです

E-SCATは多様な制御メニューをモジュール化しており、その組み合わせにより顧客ごとの要望に柔軟に対応する。冷却塔の冷却水を利用し冷水をつくることをフリークーリングといい、自然エネルギーの活用により省エネを図るシステムである。E-SCATはフリークーリングの運転判断を自動で行うことで、活用できる期間の長期化を図る。そのほか、排熱回収チラーの特性を生かした制御もできるという。

冷凍機の台数、適正ポイントで運用

「従来の冷凍機は負荷率100%が最も効率が高く、負荷率が下がると効率が低下します。インバータターボ冷凍機は冷却水の温度を下げると効率が上がるとともに、特性が変化し、負荷率50~60%といった部分負荷時の効率が向上します。E-SCATはこのようなインバータターボ冷凍機の特性を活かし、年間を通し冷凍機を高効率に運転可能です。夏場でも一般システムの1.25倍、中間期で2倍、冬は4倍の効率になる」(飯野氏)

E-SCAT導入後の実際の効果はすぐには分からない。そこで東洋熱工業では、サービスフローを重視している。新築・既存問わず、事前調査とエネルギーシミュレーションを行い、システム設計から施工、竣工後の性能検証や保守まで一貫してサービスを提供している。

図表説明)E-SCATシリーズの概略(出所:東洋熱工業)
図表説明)E-SCATシリーズの概略(出所:東洋熱工業)

シリーズは6種類 顧客ニーズに応じたシステム化

E-SCATシリーズは全部で6種類あり、用途に応じて多様なシステムが提供されている。

  1. E-SCAT:空調・熱源システムを全体で制御
  2. CT-X:省エネ効果の高い冷却水最適制御をパッケージ化
  3. CT-Light:簡易冷却水最適制御、低コスト・短納期
  4. HEMコントローラー:排熱回収に特化
  5. ゆずコン:建物間の熱のやり取りを最適化
  6. C-SCAT:コージェネ―レーションシステムと熱源システムの連携

「本格展開から20年がたち、顧客の要望に合わせて改善や機能の拡張を積み重ねてきました。今後も顧客のニーズに応じてシステム開発していきたい」(飯野氏)
環境負荷はどの程度低減できるのか。

エネルギー消費減りCO2削減

先ほど例に挙げた九州の生産工場では、E-SCAT導入によりエネルギー消費を67%削減した。その後、ゆずコンも導入し、さらに15%の削減を上積みした。東海地方の製薬工場では、CT-Xの導入によりエネルギー消費量を30%削減した。エネルギー消費を削減した分、CO2の排出量も削減される。

電力需要高まるデータセンターへの導入実績もあり

電力需要が急激に高まるとされるデータセンターへの導入実績もあり、高い省エネ効果を発揮している。

「データセンターは年間を通し冷熱需要なため、大きな省エネ効果が期待できる。関東地方のデータセンターではフリークーリングシステムと併せてE-SCATを導入し、消費エネルギーを35%削減しました。今後もさらなるシステム改良や新システムの開発に取り組んでいきます」(飯野氏)

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世界最高水準の熱効率を実現する東洋熱工業「E-SCAT」の熱源制御

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