【フォーラムレポート】 投資回収に着目した自家消費太陽光併設型蓄電池システム
1919年の創立から100余年の歴史を持つダイヘン。社会課題に真正面から向き合う“研究開発型企業”を目指し、再エネの活用拡大やEV普及など、脱炭素社会実現へ向けたソリューションの提供に注力する。同社EMS事業部の上田太朗氏が、『自家消費太陽光併設型蓄電池システム』の必要性と導入効果について解説する。

◆蓄電池との併用が重要なポイント
政府の掲げる“2050年カーボンニュートラル”へ向け、企業における太陽光発電設備などの再エネ設備導入が進んでいる。
しかし、太陽光発電設備のみの導入では、休日など電力負荷の少ない時に発電電力を自家消費しきれず“再エネの有効活用ができない”、天候や季節により太陽光が少ない場合に使用電力が大きくなると購入電力のピークが高くなり“電気料金(基本料金)が上がってしまう”といった課題がある。
「再エネを最大限活用しながら、CO2排出量と電気料金を削減するには、蓄電池との併用が重要になると考えています」

ダイヘンの提案する『自家消費太陽光併設型蓄電池パッケージ』は2タイプ。入出力170kW/蓄電池容量407kWhと入出力170kW/蓄電池容量814kWh。 蓄電池システムの導入効果としては、太陽光発電の余剰分を有効活用することによる〈再エネ活用率の向上〉、ピークカットによる〈電気料金の削減〉や購入電力を減らすことによる〈CO2排出量の削減〉、さらに、停電時の非常用電源として活用することによる〈BCP対策〉などがある。
「必要なシステムをオールインワンで提供できることも、当社システムの特長です」
蓄電システムというとパワコンと蓄電池というのが通常だが、ダイヘンでは、既設の高圧盤に接続することができる連携システム、パワコン、変圧器、蓄電池、太陽光発電システムからの入力回路、重要負荷への送電回路、EMS(エネルギーマネジメントシステム)など、必要なシステムをすべて用意する。

ダイヘンでは、蓄電池にリチウムイオンのなかでもより安全性の高いLFP(リン酸鉄系)の電池を採用。オールインワンにより、コンパクトな設計を実現している。同社の蓄電システムの特長は大きく5つ。
①太陽光余剰活用、ピークカット、BCP機能を搭載、②機器コスト50%減(同社従来機比)、③設置面積50%減(同社従来機比)、④既設太陽光発電設備に後付け可能、⑤必要な機器がオールインワン設計されており施行が容易。
「BCP機能については、災害時の停電などに際し、あらかじめ設定した重要負荷へ太陽光や蓄電池から電気供給ができます。単相負荷だけでなく三相負荷にも電力を供給できますので、停電時でもエレベーターや給水・排水ポンプなどを動かすことができるのが、当社システムの特長の1つです」
◆シミュレーションで見る導入効果
蓄電池システムの導入にあたっては、コストの高さが大きな課題。国際航業株式会社『エネがえる運営事務局』が2024年5月に行った『蓄電池導入に関する意識調査』では、“蓄電池導入にあたっての不安や懸念事項”として、回答者の約7割が“投資回収ができるかどうか”と答えている。
「適切な投資回収ができるかどうかが、蓄電池システム導入の大きなポイントとなっていきます」
こうした不安や懸念に対し、ダイヘンでは、事前に『導入効果シミュレーション』や『投資回収シミュレーション』を行う。
ある高圧受電施設(契約電力800kW)の企業に太陽光発電450kWと蓄電池システム170kW/407kWhを導入した場合の『導入効果シミュレーション』では、太陽光だけを設置した場合に比べ、CO2排出量18.6トン/年の削減、電気料金約400万円/年、再エネ利用率約3%の向上が見込まれる。

また、『投資回収シミュレーション』では、太陽光発電設備のみの導入の場合、投資回収8.1年、蓄電池を併設した場合8.9年となっており、20年の運用期間を考えた場合、ほぼ同等と言える。さらに、蓄電池の導入が必須となる『ストレージパリティ補助金』を活用した場合、6.8年での投資回収となり“極めて健全な投資”と言える。
「ストレージパリティ(太陽光導入に際し蓄電池を使用する方が経済メリットが高くなること)の達成も期待できることが分かります」
ダイヘンでは、蓄電システム導入にあたり、顧客から提供されたデータ(30分デマンドデータ1年分、既設太陽光の発電量データ、電力契約メニューなど)を用いてシミュレーションを行い、導入効果、投資回収年数などを提示するサービスを無料で行う。

株式会社ダイヘン
大阪市淀川区田川2丁目1番11号
問合せ先
email:info-ems@daihen.co.jp
TEL 06-7175-8599