KDDIグループの再エネ開発プロジェクトを支援、ソーラーエッジがアドバイザリー契約
世界トップレベルのパワコンメーカーのソーラーエッジが、コンサルティング事業に乗り出す。日本でのその第一弾が、通信事業者KDDIグループの脱炭素戦略を担うauリニューアブルエナジーとアドバイザリー契約の締結。ソーラーエッジグループがグローバルで培った再エネ開発の知見・ノウハウと、発電量を最大化するパワーオプティマイザ等の先進技術・製品供給により、再エネ発電事業の拡大に挑む。
◆製品アドバイザリーの枠を超え、実行計画策定にも参画
2024年11月、ソーラーエッジテクノロジージャパン(以下、ソーラーエッジ)がKDDIグループのauリニューアブルエナジーと「再生可能エネルギー発電事業拡大に向けた製品アドバイザリー契約」を締結した。
ソーラーエッジは世界のパワーオプティマイザ・パワコン市場でトップレベルのシェアをもち、とくに太陽光発電の発電量を最大化するDC最適化パワコンは発電事業者の間でも定評がある。全米上位フォーチュントップ100の半数以上のトップブランド企業が同社の技術を屋根置き太陽光発電に採用している。
一方auリニューアブルエナジーは、23年1月、KDDIグループの脱炭素戦略のキーとなる再生可能エネルギー発電事業を担うグループ会社として創業。太陽光発電を中心とした再エネ発電事業を行う。発電した電力はKDDIの基地局・通信局舎・データセンター等の施設へ供給するとともに、昼間の余剰電力を大型の蓄電池に充電し、KDDI施設の夜間需要へ供給する検討も進めていく予定だ。
ソーラーエッジではソーラーエッジ製品導入による脱炭素経営の進め方をコンサルティングするアドバイザリー部門を設立。すでに日・米・欧の大手メーカーに対し、スマートエネルギーソリューションの提供とともにコンサルティング事業も行っている。
同社テクニカルマーケティングディレクターの川下宜英氏は「当社は信頼性の高い最先端の太陽光発電管理技術を長年にわたり大手企業に提供してきました。太陽光発電だけでなく、事業全体のエネルギー管理に関する膨大な知識と経験を蓄積し、これらの専門家チームは、企業がよりスマートな持続可能エネルギーに移行するのを支援します。今回のauリニューアブルエナジー様とのアドバイザリー契約では単に製品を供給するだけではなく、再エネ発電事業拡大に向けた電源構成(エネルギーミックス)を含めた、ロードマップの策定、さらに計画を実行に移す際の事業可能性評価にまで踏み込んでアドバイスすることが我々のミッションです」と表情を引き締める。
◆Scoop2ガイダンスの見直しが企業の再エネ調達に与える影響
現在、日本において2040年度の電源構成を定める第七次エネルギー基本計画が進められているとともに、国際基準であるGHGプロトコルのScoop2ガイダンスの見直しが検討されている。Scoop2ガイダンスが改定されれば、非化石調書等が介在した再エネ電力調達においても電力需要量と供給量が一致する同時同量が求められることになる。こうした動きは脱炭素を進める企業に甚大な影響を与えつつある。たとえば、蓄電池の重要性がより高まり、すでに系統用蓄電池の接続検討受付状況は約6000万kW(23年5月末比で約5倍)に達しているという(24年6月末、経済産業省)。
KDDIグループでは、こうした動きをにらみながら、再エネ開発事業の拡大を計画している。「KDDI GREEN PLAN」によれば、まず2025年度末にKDDIグループがTELEHOUSEブランドで展開する全世界のデータセンターで利用する電力の実質再生可能エネルギー割合100%を達成。さらに2030年度末にはKDDI単体で追加性ある再生可能エネルギー50%達成を計画している。
◆限られたスペースから最大限の発電量を生み出す製品群を活用
日本において再エネ発電の中心となるのは当然、設備容量が大きい太陽光発電である。加えてRE100の調達要件(運転開始から15年以内の電源)の追加により、開発のリードタイムが短い太陽光の優位性がさらに高まっている。一方で日本では太陽光発電の適地が不足するなど、産業用太陽光発電は導入量が減少傾向にあるのが実状だ。こうした中で、ソーラーエッジのパワーオプティマイザは大型の高出力パネルや両面発電モジュールに対応し発電量を大幅にアップ。MPPT機能をもつパワーオプティマイザをモジュール側に、DC/AC変換機能をパワコン側に特化・分離したDC最適化パワコンは、出力を最適化し、限られた設置スペースから最大限の発電量を見込むことができる。「たとえば、狭い都市部の土地などでは通常、アレイを詰め込むことで下層のモジュールに影が差して出力が低下し、それに引きずられて全体の発電量が大幅に減少します。しかし当社のパワーオプティマイザはモジュールごとに最大電力点を追従、出力を最適化し、発電量を最大化することができます」(川下氏)。従来は敬遠されていた周囲に電柱、樹木、建物等の障害物がある立地でも、モジュールレベルでの出力最適化で、影による影響を低減できる。
「太陽光+蓄電池、風力+蓄電池といったエネルギーミックス、自社電源の割合をどうするか。バーチャルPPA調書の調達の割合と調達の確実性は、RE100の追加性要件をどう満たすか。さらに分散型電源の『生再エネ』をどう組み込むかなど、実行に移した場合の市場性や事業性を詳細にシミュレーションし検証することが必要になります。さらに容量市場や需給調整市場をどう活用「していくかも、事業を成立させるための大きなポイントです。当社は今後も、限られたスペースの中で最大の発電量を実現する製品群と技術力に加え、グローバルな展開から蓄積した知見を駆使し、こうした再エネ発電事業を核とした企業の脱炭素戦略をお手伝いしていきたい」と意欲を燃やす。
ソーラーエッジテクノロジージャパン株式会社
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