系統蓄電池・再エネ蓄電池を活用 「収益最大化を目指す電力取引システム」
YOKOGAWAグループの一員として、課題解決型のソリューションを提供する横河ソリューションサービス。小売電気事業者や発電事業者など、電力ビジネスを手がける事業者を支援する同社の『電力取引・需給管理ソリューション』では、再エネの導入拡大で進化する蓄電池の活用ニーズに対して、同社独自のシステムを提供し、事業者の収益最大化を支援する。
“現場主義”でニーズに最適なソリューションを
計測・制御・情報をテーマにグローバルで事業を展開し、100年を越える歴史を持つYOKOGAWAグループ。2013年4月に設立した横河ソリューションサービスでは、日本国内の顧客へ向け、現場の生産制御から経営情報システムまで総合的なソリューションを提供する。
同社のERPビジネス本部・電力ビジネスソリューション部では、再エネの系統連系に絡む電力取引の自動化や最適化を支援するシステムを提供する。2018年に『新電力向け需給管理システム』、2022年に『自己託送管理システム』を開発。そして、2024年6月には新たに『電力アグリゲーションシステム(系統直結蓄電池・PV併設蓄電池)』を開発し、カスタマーサポートと併せて提供している。
制度変更などで常に環境が変化するエネルギー業界。新制度に合わせて変わる事業者のニーズに柔軟に対応するため、同部門では営業と製品企画・開発を一体化し、実際に現場で事業を見ながら顧客と共にソリューションを開発する。
「提供を開始して数年経つ『新電力向け需給管理システム』と『自己託送管理システム』については、1年ごとの契約更新になりますが、現時点では、採用いただいた全ての事業者様に継続いただけています」と電力ビジネスソリューション部長の財部正樹氏。
将来の電力取引に不可欠な蓄電池の活用
『電力アグリゲーションシステム』は、系統蓄電池と再エネ蓄電池を活用した、事業者の収益最大化を支援するための電力取引システムだ。
気象状況に大きく左右される再エネ電源は、発電量の予測が難しいことが需給管理上の大きな課題である。また、再エネ電源の増加に伴い系統混雑箇所が広がることで、電力取引にも支障が出ることが考えられる。
「再エネ電源が普及した将来において、適正な需給管理、効率的な電力取引を支えるには、発電量を調整できる蓄電池の活用が不可欠になっていくと思われます」と財部氏。
一方、2023年度から系統混雑緩和のためのいくつかの仕組み(N-1電制、ノンファーム型接続、再給電方式、ダイナミックレーティングなど)が本格的に導入され、事業者は従来よりも安い系統電力設備の増強コスト(費用負担)で、比較的円滑に再エネ電源を連係できるようになってきている。加えて、将来の同時市場の在り方が国によって検討中であり、次世代太陽電池などの技術的な進化も後押しし、kWhと△kWを柔軟に調整できる蓄電池のビジネス活用への期待はますます高まっている。
蓄電池のマルチユースが再エネ事業の収益を底上げする
電力市場には、卸電力市場・需給調整市場・容量市場があるが、『電力取引・需給管理ソリューション』で着目するのは卸電力市場と需給調整市場。特に『電力アグリゲーションシステム』は、蓄電池を活用した電力取引のサポートシステムとなる。
「再エネ事業を長期にわたり支えられるのは柔軟な供給力であり、その中でも調整力としての潜在性が大きい蓄電池の活用を広げる(マルチユースする)ことは、再エネ事業全体の収益を底上げすることにつながっていくと考えています」と財部氏は語る。
横河ソリューションサービスでは、計測・制御・情報のYOKOGAWAグループの一員として、これまでもさまざまな自動化システムを構築してきた。2018年から提供している『新電力向け需給管理システム』、および2022年から提供の『自己託送管理システム』では、他社に先駆け完全自動化を実現した。将来的には『電力アグリゲーションシステム』についても、完全自動化を目指していく。
「系統の進化や制度変更を追従しつつ、蓄電池を活用した電力取引システムを更に進化させることで、系統連系や電力取引のハードルを下げ、各事業者が独立したアグリゲーターを目指せるような世界観を目指していきたいです」(財部氏)
同社では今後も、業務の自動化や事業収益の最大化に貢献できるようなシステムの開発に力を入れていく。
お問い合わせ:
横河ソリューションサービス株式会社
〒180-8750 東京都武蔵野市中町2-9-32
https://www.yokogawa.co.jp/solutions/solutions/power-retail/
0422-52-0439