SMA、系統用蓄電池向けパワコンで脱炭素化を加速

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太陽光発電システム技術で世界を牽引するSMAソーラーテクノロジー。2022年10月、その日本法人であるSMAジャパンの代表取締役社長に冨永 敏夫氏が就任した。パワコンメーカーのパイオニアとして築いてきた地位を土台に、同社はエネルギー転換期をどう牽引していくのか。冨永氏に今後の展望について聞いた。

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住宅向けから産業分野に移行

半導体・電子部品業界を経て、通信キャリア向けコンピューティングシステムやパワーサプライ分野に従事してきた冨永氏。各社で、アジアパシフィック現地法人統括、日本事業の統括管掌、日本法人代表、アジアパシフィック地域セールス代表などを歴任してきた。20年以上にわたり培ってきたグローバルリーダーとしての手腕をどのように発揮し、過渡期を迎えるSMAジャパンを導いていくのか。

SMAジャパン 代表取締役社長 冨永 敏夫氏
SMAジャパン
代表取締役社長
冨永 敏夫氏

冨永氏は「当社はFIT(固定価格買取制度)導入を背景に販売してきた低圧用パワーコンディショナ(パワコン)分野から、産業及び系統向けに注力するフェーズに入っています。今後は、分散型エネルギー社会において電力インフラを支える製品ラインナップの拡充を図っていきます」と同社の将来像を示した。

事業環境がめまぐるしく変化するなか、新組織体制の構築に向けて「SMAジャパンが日本市場の中でどのような存在であるべきか、SMAグループの中でどんな役割を担っていくのか。会社として共通のパーパス(存在意義)やビジョンを掲げることが第一歩。その達成に向けた戦略や目標を階層・事業別に設定するなど、整合性のある取り組みを推進していきます」と話した。

SMAソーラーテクノロジーの技術やノウハウを用いて、新たなビジネスモデルを築いていくことも、その重要な役割の一つとなる。

発電量増強や大規模発電所向け
パワコンソリューション

FIT導入直後に運転を開始した発電所のなかには、発電量の低下やメンテナンスコストの増大に悩まされているところも多い。また、3kWあるいは3%以上の太陽光パネル増設時の価格要件見直しが見込まれるなか、近年では発電量の増強(リパワリング)を図ろうとする動きが広まっている。

こうしたニーズに応える製品の一つが、SMAの分散型パワコン『SUNNY HIGHPOWER PEAK3』だ。集中型パワコンに準じた設計コンセプトのため、既設の発電所では接続箱を活用して、パワコンのみの交換でリパワリングが可能となる。さらに、設計寿命が25年というのもポイントだ。「FIT終了後も新しいエネルギー市場で取引していくことを視野に入れた製品です」と冨永氏は語る。

SUNNY HIGHPOWER PEAK3 導入事例
SUNNY HIGHPOWER PEAK3 導入事例

また、太陽光発電の高電圧化が進むなか、1,500Vに対応した大規模発電所向けパワコンソリューションも展開する。『MV POWERSTATION 4400』と呼ばれる同製品は、『All in One』をコンセプトに、コンテナにパワコン、変圧器、分配用開閉器(RMU)を搭載するパッケージソリューションだ。「同製品はすべての機器が接続された状態で納品されるため、配線の手間がありません。設置工事の短縮により施工費のコストダウンにもつながるため、お客様にも好評です」

同製品はDC-DCコンバータ(2023年販売開始予定)と組み合わせることでDC側での蓄電池システム構成(DCリンクソリューション)が可能となっている。運転開始当初は太陽光のみ稼働させ、後付で蓄電池を加える事も可能なため、蓄電池のコストダウン及び制度変更に伴うDC蓄電市場の将来的な加速化にも柔軟的に対応が可能な製品となっている(注:パワコン側での専用オプションによる製造・納入が必要)。

MV POWERSTATION 4400
MV POWERSTATION 4400

欧州で実績を積んできた系統用蓄電池向けパワコン

カーボンニュートラルの実現に向けて、自立分散型エネルギーシステムへの移行が進むなか、今後主力製品になると考えられるのが、大容量蓄電システムに対応する双方向パワコン『SUNNY CENTRAL STORAGE』だ。広範囲のDC電圧範囲により各種バッテリー技術に対応している。

独SMAは電力会社などと協働し、ドイツ北部の街、ボルデスホルムで同製品を使用して地域全体の電力を再生可能エネルギー(再エネ)によって100%供給する実証実験を実施。オフグリッド運転により地域全体の電力供給が可能となることが証明された。日本で既に販売開始かつ実績のある2機種(SCS1900, 2475)と同一プラットフォームの製品が使用されている。

日本でも、早期から系統用蓄電池向けパワコンを市場に投入。先駆者としてEPC事業者などと連携しながら市場を切り開き、系統連系のプロセスなどのノウハウを学んできた。

「今後は、再エネの導入拡大に伴い、電力系統の安定化に向けた大容量蓄電池の設置が進むと考えられます。既存の製品よりも長時間の放電を可能とする蓄電池やリチウムイオン電池以外の製品が主流になる時代がきたとしても、様々なタイプの蓄電池と組み合わせられるSMAのパワコンであれば対応できます」と冨永氏は語る。

サービスも拡充
分散型システム形成の伴走者に

蓄電池を活用した再エネ事業の運用に向けて、SMAジャパンではサービスの拡充も図る。「太陽光発電設備とは異なり、蓄電池は夜間も稼働します。こうした変化を踏まえた上で、当社もデジタル化を図り、効率的にお客様をサポートできる体制を整えています」

昨今では従来の電話対応に加えて、オンラインサービスセンターを新設。WEBページからのオンラインチャットでトラブル対応を行うことで、過去履歴をデータベース化し、改善につなげる仕組みを構築している。

日本は需給調整市場や容量市場の立ち上げにおいて、イギリスやドイツなど欧州市場のメカニズムを参考にしてきた。再エネ先進国向けに開発されたSMAのパワコンは、日本の分散型エネルギー社会の形成に向けた心強い伴走者になると言っても過言ではないだろう。

「パワコンメーカー業界最長41年の歴史を持つSMAは、『再エネ』という言葉が浸透していなかった時代から長きにわたり技術やノウハウを蓄積してきました。中長期的な視点をもち着実に成長を遂げてきた企業ですので、日本市場でも数年先を見据えた方向性を明示することが、とりわけこの過渡期において重要な一歩になります」と冨永氏は語った。

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