カーボンニュートラル時代へ 次世代バイオ燃料「サステオ」とは?

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2023年1月、都民の足である都営バスにバイオ燃料が導入され、都内でのバイオ燃料の導入が一気に広まった。2022年10月31日、東京都とユーグレナ社との間で、バイオ燃料導入促進事業に係る協定が締結されて以降、都内で様々なモビリティにバイオ燃料が導入・活用されている。
今回導入されたのは、ユーグレナ社が製造・販売する次世代バイオ燃料「サステオ」。今回の東京都との取り組みを含めて、全国ですでに累計70件を超える導入実績となる。
次世代バイオ燃料「サステオ」とは?そして、ユーグレナ社がどのようにしてバイオ燃料の普及を推進していったか、その軌跡を辿っていく。

2005年創業のバイオベンチャー企業「ユーグレナ社」とバイオ燃料事業

ユーグレナ社は、2005年に世界で初めて微細藻類ユーグレナの食用屋外大量培養技術の確立に成功。微細藻類ユーグレナ、クロレラなどを活用した食品、化粧品等の開発・販売のほか、バイオ燃料の製造開発、遺伝子解析サービスの提供を行っているバイオベンチャー企業である。

同社がバイオ燃料の研究開発を開始したのは2010年。当時、日本の航空会社は、将来、航空業界において温室効果ガスの削減がより厳しく求められるようになることを見越し、「持続可能な航空燃料」(SAF)の調達を模索していた。その一つの原料として微細藻類に注目、研究をスタートした。

2018年になり、日本初のバイオ燃料製造実証プラントを建設し、2020年3月には次世代バイオディーゼル燃料が完成、供給を開始し、バス、配送車、フェリー、タグボートなどでバイオ燃料の導入が拡大。2021年3月にバイオジェット燃料(SAF)が完成し、同年6月には日本初の国産バイオジェット燃料によるフライトを実現した。

昨年12月には、ユーグレナ社、PETRONAS社(マレーシア)、Eni社(イタリア)の3社によるマレーシアにおけるバイオ燃料製造プラントの建設・運営プロジェクトが発表され、2025年以降の大量生産と安定供給を目指している。

次世代バイオ燃料「サステオ」とは?

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次世代バイオ燃料「サステオ」は、ユーグレナが製造・販売するバイオジェット燃料(SAF)および次世代バイオディーゼル燃料のこと。使用済み食用油や微細藻類ユーグレナから抽出した油など、食料との競合や森林破壊といった問題を起こさない持続可能性に優れたバイオマス原料からつくられており、バスや船舶、飛行機といった陸・海・空のモビリティで活用されている。分子構造が石油由来の燃料と同等であり、既存の内燃機関に負荷をかけること無く使用できる。

また、次世代バイオディーゼル燃料「サステオ」は、品質は国内軽油規格に準拠。バイオジェット燃料(SAF)「サステオ」は、ASTM D7566規格に準拠しており、いずれも一般の化石燃料由来の燃料と同等の性能であることが確認できている。

品質面、安全性において問題なく使用できるのが次世代バイオ燃料「サステオ」である。

東京都とユーグレナ社が協定に基づくバイオ燃料導入施策を展開

東京都とのつながりは、2010年に遡る。

東京都産業労働局が主催する「東京都ベンチャー技術大賞」で、ユーグレナ社が大賞を受賞。2005年に世界で初めて実現したユーグレナの食用屋外大量培養技術が、東京都内の中小・ベンチャー企業が開発事業化した革新的な技術や製品におくられる東京都ベンチャー技術大賞で最も名誉のある大賞を受賞したのだ。このことが、ユーグレナ社が事業を進めるうえで大きな推進力となった。

そして、昨年10月、東京都とユーグレナ社は、バイオ燃料導入促進事業に係る協定を締結した。その内容は、「バイオ燃料の様々なモビリティ等での活用に関すること」「バイオ燃料の広報・普及啓発に関すること」。この協定に基づき、東京都民向けのサービスとして、前述の都営バス以外にも、はとバス観光ツアーへの導入、都内サービスステーション(ガソリンスタンド)での一般車両(ディーゼル車)への次世代バイオ燃料販売、東京を代表する文化の一つである墨田川の屋形船への導入が行われた。

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また、業務用としても、丸井グループの配送用トラック、品川開発プロジェクトにおける工事車両、東京都農林総合研究センター内圃場での農業機械へ次世代バイオ燃料を導入。さらに、バイオジェット燃料(SAF)が都営空港調布飛行場の共同給油設備に導入され、同飛行場を利用する事業者が運行する航空測量機での使用が可能となった。

このように、今回の東京都との取り組みを通じて、新たにさまざまなモビリティへのバイオ燃料の導入を実現することができた。「環境にやさしいバイオ燃料」として「サステオ」は、さらなる用途の広がりを示すことができたといえる。

今後のさらなる普及が期待される次世代バイオ燃料「サステオ」

大気中の二酸化炭素の増加は地球温暖化の原因と言われており、脱炭素は喫緊の課題である。

バイオ燃料は燃焼すると、石油などの化石燃料と同じように二酸化炭素を排出するが、原料となる植物の成長過程において光合成を行うことで二酸化炭素を吸収しているため、燃焼時の二酸化炭素の排出量はプラスマイナスゼロとなる。この「カーボンニュートラル」の実現に向けて、バイオ燃料「サステオ」のさらなる普及が期待されている。

 

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