製造業が脱炭素を実現するための実務書、待望の発刊

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2023年5月31日、日本ビジネス出版は新刊『グリーンイノベーションコンパス 現場視点で始める製造業のカーボンニュートラル実践』を発刊した。著者は製造業に特化したコンサルティング会社ITIDの江口 正芳氏。同社の知見やノウハウを詰め込んだ本書の執筆背景や内容について話を聞いた。

カーボンニュートラル実現の羅針盤

株式会社ITID 江口 正芳氏
株式会社ITID 江口 正芳氏

―今回の書籍テーマについてお聞かせください。

江口 正芳氏(以下、江口氏):菅前首相の『2050年カーボンニュートラル宣言』から2年半、今やカーボンニュートラルは多くの企業の共通課題となっています。実現に向けては、特に日本の温室効果ガス排出の多くを占める製造業が負う責務は大きいと言えます。製造業がカーボンニュートラルを実現するには環境問題を解決するためのイノベーションが必要で、これは『グリーンイノベーション』と呼ばれます。

当社ではこれまで、多くの製造業の脱炭素の取り組みを支援してきました。その経験を通して構築してきたノウハウや知見を整理したのが今回の『グリーンイノベーションコンパス』です。本書は、製造業がグリーンイノベーションを起こすための指南書の役割を果たすものです。

―カーボンニュートラルにおける製造業の悩みや課題感はどのようなものがありますか?

江口氏:中小企業では、『何から取り組めばいいか分からない』『CO2の算定方法が分からない』といった、脱炭素経営の初動の部分に課題を抱えている企業が多いと感じます。

大企業になると、CO2の算定や、統合報告書での開示などに取り組めている企業は多いものの、脱炭素化に向けたプロセスをもっと高度かつ効率的に進めるための仕組みづくりや、現場の活動の促進といった、次のステージにおける課題感を持つ企業が多い印象です。

―御社の強みや特徴について教えてください。

江口氏:大きく2つあります。1つは、必要な取り組みをトータルで支援できることです。CO2の算定だけ、CO2の削減だけ、システムの提供だけではなく、CO2を算定したら目標を定めて戦略を立て、削減計画を実行していく。さらに、サーキュラーエコノミーや新規事業創出の支援、人材育成のためのセミナーなど、総合的な支援が可能です。2つ目は、現場に入り込んで伴走支援できることです。

当社のコンサルタントは、約8割が元技術者であり、私も以前は医療機器の新製品企画や設計に10年以上従事していました。それゆえ業界の現場や技術に対する知見が豊富です。その知見を活かして企業の現場と伴走して支援することができます。

読めばすぐアクションを起こせる本

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―製造業にはどのようなイノベーションが必要でしょうか。

江口氏:破壊的イノベーションとも言われる『ラディカルイノベーション』と小さな修正や改善を繰り返し行っていく『インクリメンタルイノベーション』の双方が求められます。

CO2削減にこれから取り組むという中小企業においては、まず『インクリメンタルイノベーション』で少しずつ削減していくことが大切です。ただ、そうした小さな改善には限界がありますので、どこかで『ラディカルイノベーション』を起こし、CO2を大きく削減していく必要があります。

―イノベーションに苦戦する企業が多い印象です。

イノベーションを起こすには、特別な才能を持つアイデアマンのような人材が必須だと誤解されることがあります。しかし実際には、愚直にプロセスを整備し、遂行することが肝要です。また、ツール整備や組織力・人材力強化により、プロセス遂行力を最大化する必要があります。このように、イノベーションを起こすための組織価値を高めていくことが重要なのです。

―関連する類書と、本書との違いはどのような点にありますか?

江口氏:この本を読めば、すぐにアクションを起こせるというのが大きな特徴です。

社会の動向を論じる書籍は多数ありますが、そうした書籍は知識の蓄積や思考の整理には役立っても、アクションには繋がりにくい。学術的な書籍は専門性が高く理解するのは簡単ではありません。易しく書かれた経営層向けの書籍もありますが、これを現場の方が読んでも実務に活かしづらいでしょう。

本書は、全体感を押さえた上で、企画・開発・生産などの現場視点で実践方法を記しています。多数のものづくり企業へのコンサルティングを通じて蓄積してきたノウハウを余すことなく公開しているため、実践的に取り組めるだけでなく、結果にもつながりやすいかと思います。

CO2排出に関わらない人はいない

―本書をどのような方に読んでもらいたいでしょうか。

江口氏:ものづくり企業に従事するすべての方に読んでいただきたいです。本書は、カーボンニュートラルに悩む経営者から実務担当者まで、幅広い層にお読みいただけます。また、製造業において、カーボンニュートラルに無関係な人はいないでしょう。製品設計、部品づくり、輸送、社有車の利用など、どの工程であってもCO2は排出されます。全ての行動はCO2排出に何かしら影響しているはずなのです。そのため、カーボンニュートラルに関する業務に直接携わっていない方も含めて、すべての方に手に取っていただきたいです。

―読者はこの書籍をどのように活用できますか?

江口氏:本書は、企業がカーボンニュートラル実現に向けて取り組む際に、羅針盤となるフレームワークをまとめた本です。本書を用いることで、経営と現場それぞれのレベルにおける課題をあぶり出し、適切な対処を行えるようになります。

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例えばCO2算定であれば、経営層は企業全体としてのCO2を、製品開発者なら製品別のCO2、生産部門なら工程別のCO2といったように各フェーズで排出量を算定するための手法がそれぞれ示されています。企業全体として取り組むCO2削減方法と現場が考えるべき削減方法は異なります。自身の部門や役割に合わせて本書を使っていただくことで、経営層と現場が一体となって、カーボンニュートラルの実現に取り組んでいけるはずです。

グリーンイノベーションコンパス
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