GX分野でイノベーションを起こし、2030年度に1兆円超をめざす

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2023年12月20日、NTTグループはGX分野における新たなソリューションブランドとして『NTT G×Inno(エヌティティ ジーノ)』を立ち上げた。自らも脱炭素や循環型ビジネスの創造に取り組むNTTグループ。グループの保有する最先端技術やアセットを活かし生み出した新たなGXソリューションを、企業や自治体へ提案することで、社会全体のGX推進へ貢献していく。

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供給側と需要側両面からソリューションを提供

日本電信電話 技術企画部門 ビジネスプロセス 戦略担当 統括部長 大許 賢一氏
日本電信電話
技術企画部門
ビジネスプロセス
戦略担当 統括部長
大許 賢一氏

2023年5月に発表した中期経営戦略で『新たな価値の創造とグローバルサステナブル社会を支えるNTT』を掲げ、カーボンニュートラルをはじめとした環境への取り組みに力を入れるNTTグループ。

「各事業会社で取り組んできたGXに関わるソリューションや商材の開発をさらに加速していくべく、グループ全体の共通ブランドとして『NTT G×Inno』を立ち上げました」と日本電信電話の大許 賢一氏。

『NTT G×Inno』はGreen Transformation×Innovationの略称。社会へのソリューション提供を通じ、GX分野でイノベーションを起こし、2050年のカーボンニュートラルの実現に貢献していくという想いを込めている。

通信事業者として日本の消費電力の1%を使用するNTTグループ。エネルギーを消費する立場として、自ら省エネや再エネ活用、脱炭素に取り組み、様々なソリューションを開発してきた。一方で、各事業会社では目の前の顧客や地域課題に応えるためのソリューションの開発に努めている。

「『NTT G×Inno』では、供給側と需要側、両方の立場から開発・提供してきた幅広いソリューションを1つのブランドとして展開し、広く社会の皆さまに使っていただきながら、2050年カーボンニュートラルという日本全体の目標実現に貢献していきたい」と大許氏は語る。

『NTT G×Inno』では現在、8社、46のソリューションをラインアップしており、2030年に1兆円程度の事業規模をめざす。

再エネ設備の最適かつ効率的な運用を

NTTコムウェア エンタープライズ ソリューション事業本部 ビジネスイノベーション ソリューション部 第1ソリューション部門長 田中 利享氏
NTTコムウェア
エンタープライズ
ソリューション事業本部
ビジネスイノベーション
ソリューション部
第1ソリューション部門長
田中 利享氏

『NTT G×Inno』の先進的なソリューションとして3つを紹介する。1つ目は、太陽光・風力発電のデータを統合的に管理・分析・活用する『グリーン発電事業統合プラットフォーム』だ。NTTコムウエアが開発し、NTTアノードエナジーでの活用を2023年4月から開始している。

日本有数の再エネ発電設備を運営するNTTアノードエナジーでは、各地に点在する設置条件の異なる太陽光発電設備の効率的かつ最適な運用に課題を抱えていた。同プラットフォームは、NTTアノードエナジーのデータをもとに、「期待発電量推定による異常早期検知」のデータ活用モデルを搭載。再エネ発電による事業性確保や設備管理業務の大幅な効率化を実現している。

NTTコムウエアの田中 利享氏は「自然相手のエネルギー事業である再エネ発電設備の運営には、独特の難しさがあります。特に、100カ所、200カ所の発電所をきめ細かく運営するには、こうしたプラットフォームが必要です。今後、再エネ電源が増えていけば、我々の技術やソリューションが様々な所で求められていくかと思います」と話す。

同社の提案する『グリーン発電事業統合プラットフォーム』では、独自のインターフェイスで各発電所からデータを自動収集。発電所ごとのAIが、設置条件や特性に応じ発電量や稼働具合を評価する。変化する環境や気象条件に柔軟に適応できるよう、自動学習でAI自身を成長させることで、より正確な予測、運用を可能にしている。

「将来的には、太陽光や風力以外のデータも統合管理し、様々な再エネ需要に応じたソリューションにしていきたいと思います」(田中氏)。

再エネを主力とした電力供給モデルの実現をめざす

NTTアノードエナジー スマートエネルギー本部 事業開発部 担当部長 鈴木 直行氏
NTTアノードエナジー
スマートエネルギー本部
事業開発部 担当部長
鈴木 直行氏

2つ目は、アグリゲーション事業の推進に向けた『エネルギー流通プラットフォーム』の構築をめざすNTTアノードエナジーの取り組みを紹介する。

カーボンニュートラルの実現には、再エネの導入拡大と有効活用が不可欠だ。NTTアノードエナジーでは、発電量が気象条件に大きく依存する再エネの更なる普及拡大へ向け、非FIT再エネを束ね安定化・小売電気事業者などへ電力供給する「再エネアグリゲーション」、系統蓄電池を束ねて市場などで電力取引を行う「調整力アグリゲーション」、EVや家庭用蓄電池などの需要側のリソースを小売電気事業者のコスト抑制等に活用する「需要アグリゲーション」の3つの軸でアグリゲーション事業を進めてきた。

さらに、それらを支える高度な制御(エネルギーリソースの発電量予測・最適な制御など)を担う『エネルギー流通プラットフォーム』の構築を進めているところである。

「再エネで変動する電力を、蓄電池などの調整力を使うことで、日本全国の需給調整、系統の安定化に貢献していくことを、まずはターゲットとしています」と、NTTアノードエナジーの鈴木 直行氏は言う。

発電側と需要側、双方をコントロールすることで、需要と供給のバランスを常に一致させ、再エネを主力とした電力供給モデルの実現をめざしていく。

カーボンニュートラルへの入口『C-Turtle®』で排出量を可視化

NTTデータ 法人コンサルティング&マーケティング事業本部 サステナビリティサービス&ストラテジー推進室 コンサルティング担当 部長 松栄 純子氏
NTTデータ
法人コンサルティング&マーケティング事業本部
サステナビリティサービス&ストラテジー推進室
コンサルティング担当
部長
松栄 純子氏

3つ目のソリューションは、NTTデータが提供するGHG排出量可視化プラットフォーム『C-Turtle®』だ。Scope1.2.3全てに対応し、サプライチェーン全体での排出量算定・削減を促進する。

特にScope3では、製品別の排出量を積み上げていく算定方式ではなく、総排出量配分方式を採用した。環境省が推奨する排出原単位の一次データの利用により、削減できるScope3算定を実現する。サプライヤー別排出原単位は、最新値をNTTデータが保持し、プラットフォーム上で管理することで、全ての数値を確認する必要がなく、効率的な算出を可能にしている。サプライヤー別排出原単位の信頼性を担保するため、CDPのグローバルデータも利用可能となっている(CDPデータの使用許諾契約を持つのは、日本国内ではNTTデータのみ)。

2040年のカーボンニュートラルをめざすNTTグループでは、サプライチェーン全体での実現へ向け、2024年2月から『C-Turtle®』を導入。さらに、2027年度までにサプライヤー1,000社へも段階的に導入していくことをめざしている。

NTTデータの松栄 純子氏は、「GHG排出量の可視化は、カーボンニュートラルへの入口です。『NTT G×Inno』のラインナップには、削減系のソリューションも多くあります。まずは可視化し、実際の削減に向けては他のソリューションをつなげていくことで、カーボンニュートラルへの取り組みを、サプライチェーンの末端まで広げていければと思います」と話す。

お問い合わせ

 

NTT G×Inno公式サイト
https://group.ntt/jp/group/nttgxinno/

NTT G×Inno公式サイト

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