新型風力発電機+太陽光でグリーン水素を製造、BCP対策やスマートシティに

三重県の建築関連会社、マルヨシコーポレーションは5月下旬、新型風力発電機と太陽光発電設備を組み合わせたハイブリット式システムを使った水素製造の実証実験を開始した。製造過程でCO2を排出しないグリーン水素製造の研究開発や今後の展望について、取締役社長の赤石 忠良氏に聞いた。

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10年前に風力発電の研究開発に着手

建築事業を主軸とし、メンテナンス・サービス事業を展開するマルヨシコーポレーション。取締役社長で、大手・中堅ゼネコンにおいて建築部長や支店長を歴任してきた赤石 忠良氏の知見とネットワークによって、多様化するニーズに柔軟に対応しながら、官公庁施設や民間企業の工場などにおいて、これまで多くの工事を手掛けてきた。

マルヨシコーポレーション 取締役社長 赤石 忠良氏
マルヨシコーポレーション 取締役社長 赤石 忠良氏

一方、事業の多角化を視野に、10年ほど前から風力発電分野の研究開発を進めてきた。「2012年に固定価格買取制度が導入され、多くの企業が太陽光発電市場に参入しました。しかし、当社は他社がやっていないことをやろうと、太陽光だけでなく風力や水素エネルギーの活用に向けた取り組みを進めてきました」と赤石氏は語る。

化石燃料の代替エネルギーやエネルギーの貯蔵手段として利用拡大が期待される「水素」

さまざまな資源(水、メタノール、エタノールなど)からつくことができる水素は、コストを抑制しつつ、エネルギーおよびエネルギー調達先の多角化に寄与するとされる。日本国内の資源を水素の原料に利用できれば、エネルギー自給率が向上し、安全保障の観点からも大きな意味を持つことになる。

水素は酸素と結合させることで発電するほか、燃焼させて熱エネルギーとしても利用でき、使用時にCO2を排出しない環境に優しい資源としても注目を集めている。さらに、再生可能エネルギー(再エネ)を使って水素をつくることができれば、製造過程でCO2を排出しないカーボンフリーなエネルギー「グリーン水素」となる。

これまで水素は、製鉄所など産業部門において主に利用されてきた。しかし近年では、燃料電池自動車(FCV)や燃料電池バス(FCバス)などの車両の燃料として活用され始めている。また、家庭部門では、電気と熱を同時に作る家庭用燃料電池システム「エネファーム」での活用も進んでいる。

水素はさまざまな形で溜めたり運んだりできるため、あらかじめ貯蔵しておくことで非常時にも活用できるのも特徴だ。例えば、大規模停電が起きた場合でも、太陽光発電などでつくり貯めておいた水素を使って電気や熱を取り出せるので、既存の電力系統に依存しない形で、エネルギーの供給が可能になる。化石燃料の代替エネルギーとして、またエネルギーの貯蔵手段として、今後はさらにその用途拡大が期待されている。

マルヨシコーポレーションが実証実験場に設置した水素発生装置
マルヨシコーポレーションが実証実験場に設置した水素発生装置

独自開発の風力発電機を中核とする
再エネハイブリット式システムで水素を製造

大きな可能性をもつ水素エネルギーの活用に向けて、マルヨシコーポレーションは、2022年5月下旬に三重県津市の郊外で新型風力発電機と太陽光発電設備を組み合わせたハイブリット式システム「天風」を使った水素製造の実証実験を開始した。1,000平方メートルある実験場には、太陽光発電設備(発電容量15kW)と小型の風力発電機3機(発電容量1~3kW)を設置して発電した再エネ電力で水素発生装置を稼働させて水素を製造する。取り出した水素は、持ち運び可能な専用の貯蔵ボンベ(500ml)に保存し、燃料電池などに活用することができるという。実証実験は来年2月まで行われる予定であり、発電量や水素の発生量などのデータを収集する。

新型風力発電機と太陽光発電設備を組み合わせたハイブリット式システム「天風」を使った水素製造の実証実験場
新型風力発電機と太陽光発電設備を組み合わせたハイブリット式システム
「天風」を使った水素製造の実証実験場

このシステムの中核となるのが、マルヨシコーポレーションが独自に開発した小型の風力発電機だ。「揚力と抗力を組み合わせて、風速2~3mでも翼型のプレートが回転し、発電できる仕組みを構築しました。従来型は、一定方向の風にしか対応できませんが、当社の設備は360°全方向対応可能です。また、従来の風力発電では、破損や故障トラブルを回避するため、風速が強い場合、風車の運転を止めてしまう(カットアウト)が存在しました。一方、この設備にはカットアウトがなく、風力エネルギーの使用可能領域が広い。加えて、羽・ブレードの材料を極限まで軽量化したため、従来型よりスピーディに回転し、強風でも出力をあげ、効率的に発電を行うことができます」と赤石氏。

従来型の課題の一つでもある騒音の発生などもなく、2m四方の面積があれば装置を設置できるため、山間部だけでなく都市部やビルの屋上でも導入可能だ。羽の高さや幅を調整することで、出力を変化させ、小型から大型までユーザーのニーズに合わせて、システム構成をカスタマイズすることもできる。

「天風」の新型風力発電機
「天風」の新型風力発電機

スマートシティ構築やBCP対策に活用

「昨今、ハウスメーカーは家づくりではなく、街づくりを求められています。そうしたスマートシティの構築に携わる企業やゼロカーボンシティを目指す自治体に働きかけながら、この設備の活用に向けた構想を固めていきたいです。また、持ち運び可能な専用ボンベに水素を貯蔵することから、移動式の電源としても活用でき、工場を所有する企業などからBCP対策として導入したいという声も寄せられています」と赤石氏。スマートシティづくりやBCP対策、スマート農業への活用を力強く推し進める。

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株式会社マルヨシコーポレーション 株式会社マルヨシコーポレーション
三重県鈴鹿市中江島町19-35