【フォーラムレポート】脱炭素社会の実現で期待される「再エネ電源活用」

  • 印刷
  • 共有

2050年のカーボンニュートラルに向けた動きが世界的に進むなか、日本でも脱炭素社会実現へ向けた取り組みが活発化している。企業のゼロカーボン化を実現する最適なソリューションの提案を行う関西電力。今回は再エネ電源を活用したソリューションについて解説する。

ダウンロード資料イメージ
▲資料がダウンロードできます

加速する企業の脱炭素化への取り組み

2015年のパリ協定採択以降、世界は気温上昇1.5℃以内、2050年のカーボンニュートラルを見据え、大きく舵を切っている。日本では2021年10月、温室効果ガスについて『2013年比で46%削減』の政府目標を掲げており、企業の脱炭素への取り組みが加速している。

2023年5月に開催された『G7広島サミット』では、世界のGHG排出量を2019年比で2030年までに約43%、2035年までに約60%削減することの緊急性が高まっていることが強調された。また、同7月には国際連合のグテーレス事務総長が『地球温暖化の時代は終わり、地球沸騰化の時代が到来した』と警鐘を鳴らし、各国に気候変動対策を強化するよう訴えた。

これらの状況を踏まえて、日本でも『改正省エネ法』や『GX推進法』が施行され、具体的な取り組みの活性化に向けて動きだしている。

企業においては、国際的イニシアティブへの加盟が加速している。企業の気候変動への取り組みに関する情報開示の枠組みである『TCFD』、脱炭素へ向けた温室効果ガスの目標設定である『SBT』、事業活動に必要な電力の100%再エネ化を目指す『RE100』ともに、日本企業の加盟数はトップクラスとなっており、地球温暖化対策への日本企業の関心の高まりがうかがえる。

20231204_kepco_001

多様化する再エネ調達の方法
期待されるコーポレートPPAの可能性

気候変動対策や脱炭素への取り組みとして、エネルギー使用量を減らす省エネ活動は従来から行われてきたものの、事業活動を行う上でエネルギーは欠かせない。とりわけ電力については、再エネ由来の電力を活用することで、事業活動と脱炭素化を両立していこうとする取り組みが加速している。

「再エネ電力の調達方法は多様化しており、志向・目的に合った選択や組み合わせが可能です」と関西電力ソリューション本部課長の五井 洋平氏は語る。

再エネの主な調達方法は4つで、1つ目は〈証書やクレジットの購入〉だ。再エネ電力が生み出す環境価値を証書やクレジットによって購入する方法で、電力購入と切り離し、再エネ比率を高めることが可能だ。

2つ目に〈再エネ電力メニューの契約〉がある。再エネ電力を小売電気料金メニューとして契約する方法で、自社で調達する手間を省くと同時に安定的な調達が可能となる。

3つ目は〈再エネ電源の自社開発〉。自社の施設構内または別の場所に再エネ発電設備を設置し自家消費する。

そして最後が今回のテーマである〈PPA:電力販売契約〉だ。PPA事業者が再エネ発電設備を需要場所に設置するオンサイト型と、再エネ発電設備を需要場所と別の場所に設置し、電力系統により再エネ電力を送るオフサイト型がある。『第三者モデル』とも呼ばれ、需要家側の初期投資が不要である点もポイントだ。

今回は、オフサイト型のPPAの中でも特に『コーポレートPPA』について解説する。関西電力の展開する『コーポレートPPA』では、同社が出資して組成した特別目的会社が再エネ電源を建設し関西電力が再エネ電力を供給する。2025年までの3カ年で、関西・東京・中部エリアに最大15万kWの太陽光、再エネ電源の開発を目指す。

採用事例として、日本生命保険相互会社では、『コーポレートPPA』と併せて非化石証書を活用した環境メニューを活用し、本店ビル群3施設の実質再エネ100%に取り組んでいる。また、西日本旅客鉄道株式会社でも同様に、環境メニューとの併用で大阪環状線・JRゆめ咲線の2路線を実質再エネ100%とする予定。

「幅広い業種のお客さまから関心を示していただいており、脱炭素施策における『コーポレートPPA』の有効性を実感しています」

積極果敢に再エネ電源を開発する展望も

再エネ開発に積極的に取り組む関西電力では、2040年までに国内で1兆円規模の投資を行い、新規開発500万kW、累計開発900万kWの再エネ電源開発を目指していく。

「まずは太陽光や既存水力電源、そして中長期的には洋上風力を含めた風力発電で24時間再エネ化の実現を目指します。各企業の脱炭素へ向けた継続的な取り組みに対し、再エネ全般におけるソリューションの提供を目指していきます」

中長期的な取り組みイメージとしては、2030年前後に既存水力電源や新規太陽光発電の拡大に加え、風力電源を立ち上げることで新規追加性を有する再エネ電源を拡大していく。2050年前後には、風力電源や蓄電池の活用も含め、夜間や天候不良時にも再エネ電源の供給や利用が可能な世界の実現を目指す。

「各企業が設定する環境目標の実現に向けて、RE100の技術要件や国内の再エネ開発状況も踏まえた、時間軸ごとに最適なソリューションの組み合わせを考え、継続的な取り組みを進めていきたいと思っています」

開発ポテンシャルの大きい洋上風力については、日本各地でプロジェクトを進めている。複数の共同事業者と共に進めている秋田県能代港の洋上風力(出力13.9万kW)では、日本国内初の商業ベースでの大型洋上風力発電として、2023年1月末に商用運転を開始。現在は、長崎県五島市沖の洋上風力(出力16.8万kW)についても、2026年1月の運転開始を目指し工事を進めている。

「関西電力では、今後もゼロカーボンエネルギーのリーディングカンパニーとして積極的に再エネ開発を進め、企業の脱炭素経営の推進と脱炭素社会の実現に貢献していきます」今後も企業のカーボンニュートラル推進に寄り添う姿勢を見せた。

 

お問い合わせ先

関西電力株式会社関西電力株式会社
〒530-8270
大阪市北区中之島3-6-16
https://sol.kepco.jp/cp/202105zero/

この記事にリアクションして1ポイント!(※300ポイントで有料記事が1本読めます)