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最終更新日:2026年09月12日

需給調整市場

環境ビジネス編集部
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需給調整市場とは、一般送配電事業者が電力系統の周波数制御や需給バランス調整(同時同量の維持)を行うために必要な「調整力」を、公平かつ効率的・広域的に調達するための公的な取引市場である。

運営主体は一般社団法人電力需給調整力取引所(EPRX)が担っている。従来の各電力エリアによる個別公募から市場メカニズムを通じた調達へと移行したもので、バランシング市場や調整力取引市場とも呼ばれる。

需給調整市場の仕組みと取引対象

需給調整市場では、一般送配電事業者が唯一の買い手となり、売り手として発電事業者や、系統用蓄電池、自家発電設備、ディマンドリスポンス(DR)などを束ねるアグリゲーターが参入する。

取引の対象となる価値は、指令に応じて出力を増減できるよう事前に待機させておく調整可能容量である「ΔkW(デルタキロワット)価値」と、実際に指令に基づき発動された電力量である「kWh(キロワット時)価値」の2種類で構成される。

5つの商品区分と調達スケジュール

需給調整市場の商品は、電力需給の変動周期や応動時間の違いに応じて5つの区分に分類されている。2021年4月に三次調整力②の取引が開始された後、段階的に商品が追加され、2024年4月に全5商品が出揃った。

商品区分 応動時間 継続時間 主な役割・目的
一次調整力 10秒以内 5分以上 周波数急変時の初動対応(極短周期成分)
二次調整力① 5分以内 30分 周波数復帰(短周期成分、LFC)
二次調整力② 5分以内 30分 需給バランス維持(長周期成分、EDC)
三次調整力① 15分以内 30分 ゲートクローズ(GC)後の予測誤差対応、電源脱落対応
三次調整力② 60分以内 30分 FIT特例制度に伴う再エネ予測誤差対応

実務における運用戦略と参入上の留意点

需給調整市場への参入は、系統用蓄電池の普及やVPP(バーチャル・パワー・プラント)ビジネスにおいて重要な収益源となっている。たとえば、「蓄電池ビジネスの収益最大化 需給調整市場は自ら“選ぶ運用”へ」では、市場ごとに参加要件や判断軸が異なるなかで、どの市場にどのような比重で向き合うかという運用選択の重要性が指摘されている。また、「稼働から36日で需給調整市場へ ブルースカイエナジーの牧之原蓄電所」のように、卸電力市場と需給調整市場を併用して電力系統の安定化に寄与する実務事例も進んでいる。

実務担当者が参入を検討する際は、以下の点に留意する必要がある。

  • 厳格な参入要件と事前試験:参入には一般送配電事業者による制御試験、ベースライン策定、専用通信プロトコルへの適合確認などの事前審査を通過する必要がある。
  • マルチユースと機会費用の最適化:卸電力市場(kWh市場)や容量市場(kW市場)と設備を併用できるが、どの時間帯にどの市場へ供出するかという機会費用の最適化設計が収益性を左右する。
  • ペナルティリスク:一般送配電事業者からの指令に対して必要な調整量を供出できなかった場合、未達ペナルティ等の精算が発生する。
  • 制度変更・価格上限の動向:調整力調達費用の抑制に向け、一次〜三次調整力①の前日取引化(複合市場の前日取引)の導入や、募集量の見直し(1σ相当への削減等)、上限価格の引き下げ検討など、制度設計の見直しが継続して行われている。
参考

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環境ビジネス編集部

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環境ビジネスは、温暖化防止のための世界で初めての国際協定である京都議定書が1997年に採択されたことを受けて、その翌年創刊しました。当時、『21世紀は、環境の世紀』といわれ、私たちは、新たな時代の到来はもちろんのこと、新たな産業の息吹を感じ、環境に関するビジネスに役立つメディアを出版することになりました。ウェブマガジン「環境ビジネスオンライン」では、環境業界の注目ニュース・最新トレンド・政策・企業情報解説記事など、実務に役立つ情報・サービスを提供しており、多くの実務層の方々にご参照いただいています。

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