パワコンで変わる太陽光発電

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固定価格買取制度で大きく変わり始めた太陽光発電市場。普及にともなう課題も見えてきたいま、それを克服し、スムーズな導入と安定稼動を確保するためにはどのような対策が求められるのか。
オムロンの大橋勝巳氏と清水孝信氏が、同社がこれまで培ってきた技術や知見をもとに、その最適解を探る。

オムロン株式会社
環境事業推進本部
エナジーオートメーション部
マーケティング課 主査
大橋 勝巳

今後の太陽光市場はミドルソーラーへ

大橋

固定価格買取制度は、再生可能エネルギー市場、とりわけ太陽光発電市場に大きな変化をもたらしています。

従来の、10kWを境にした住宅用と産業用の二極化から、10kW未満の住宅、1MW未満の小中規模、1MW以上のメガという三極化へと、大きく業界構造が変化しつつあると感じています。

私たちはこの1MW未満の小中規模の太陽光発電をミドルソーラーと呼んでいますが、日本の土地や気候事情から今後はミドルソーラーでの導入が進んでいくとみています。

清水

最近では、ミドルソーラーの中でも、投資回収スピードの違いでさらなる二極化が始まっていますね。伸びているのはやはり、系統連系の設備や負担金が不要な低圧の50kW未満と、高圧でもスケールメリットが効いてくる500kW以上の容量のシステムです。

大橋

50kW未満というと、集合住宅や事務所・店舗、屋上や空き地(野立て)などへの設置が主ですが、その際、多数台の太陽光発電を連系させることによる納期遅延や、パワーコンディショナの設置台数制限が課題になってきます。社会的にみても、これらの問題が太陽光発電普及の妨げになっていると言わざるを得ない状況です。

単独運転検出技術「AICOT」が納期遅延解消に

オムロンフィールドエンジニアリング株式会社
環境設計部 部長
清水 孝信
清水

地域に停電が起きた場合、各太陽光発電システムが単独運転を続けると、復旧作業員が感電したりショートによる火災が起きたりという二次被害が発生しかねません。

そのため個々の発電システムの単独運転を検出する機能が不可欠になるのですが、検出方式はメーカーごとに違うので、電力会社との連系協議を行う際、相互干渉しないことを証明する試験データの提出が必要になります。

これには最低でも1~2カ月かかり、納期遅延につながるケースが多発しています。


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