太陽光発電にイノベーション コスト圧縮を呼ぶ20A接続箱が発売へ

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太陽光発電の部材、接続箱にイノベーションが起きようとしている。配電設備大手の河村電器産業が、開閉器容量20Aの産業用接続箱を開発し、2014年2月から市場投入するのだ。10Aオンリーだった市場において、配線数、接続箱の設置数、工数を大きく節減でき、コスト、納期に大きな変化が起きることになる。

それだけではなく、接続箱の中の回路数が減るということは、トラブルの発生も単純に数として減少し、より安定した発電量確保を生むことにつながってくる。20A接続箱の市場投入は、まさに太陽光発電市場の拡大の中、期待されてきたイノベーションにほかならないものだ。

河村電器産業
河村電器産業
研究開発部 商品企画チーム 兼
新規事業部ソリューショングループ
商品企画担当 水野 敦之氏

今回の開発の経緯について、河村電器産業 新規事業部 ソリューショングループ商品企画担当の水野敦之氏は「太陽光発電システムの配電工事の省力化を考え、配線を束ねる発想から20Aの接続箱や結晶系モジュール並列ケーブルを開発しました。横型の直流集電箱も、施工の手間を省くと言うコンセプトから生まれています」と語る。

回路数が半減!
施工コスト圧縮、安定発電にもつなげる

河村電器産業の20A接続箱では、回路数が従来の半分になり、設備費や施工費の大幅な削減につながる。最大入力電圧は750Vとなっており、国内に流通するモジュールすべてに対応できる。加えて、一般にオプション扱いとなっている外アンカー固定金具も標準装備とし、ユーザビリティの向上が図られている。太陽光発電に起こりうる機械トラブルの一つ、接続箱の不良に対しても大きく貢献する工夫が凝らされている。

大きく分岐回路を4回路単位とし開閉器とダイオードのユニット化をすることで、接続点の不良を減らして品質の向上を図り、配線不良によるトラブルをなくしたのだ。

また盤面寸法を小型化することで設置性や施工性もよくなり、敷地を有効利用することも可能となっている。豊富な使用実績に基づくノウハウが蓄積されている河村電器産業ならではのオリジナルな工夫が詰まった新製品と言えよう。

接続箱10Aと接続箱20Aのシステム比較
接続箱10Aと接続箱20Aのシステム比較
(※クリックで拡大)

具体的なコスト削減にどうつながるか、みてみよう。

発電容量200kW、25kWの太陽電池アレイ8基から100kWのパワーコンディショナ2基に電気を送るケースで比較すると、従来の10Aの場合では接続箱が8面必要となり、パワーコンディショナの前に配線を2系統に集約するため、直流集電箱2面に入れなければならない。これが20Aの場合では回路数が2分の1になるため必要な接続箱も4面と半分で済み、4面4系統の配線を2系統ずつに分ければ直接パワーコンディショナに入力することができ、直流集電箱も必要なくなる。

つまり、接続箱4面と直流集電箱2面が不要となり、その分のコストを大幅に削減することができるのである。次にモジュール結線。薄膜系、結晶系では事情が異なるので個別に見てみよう。薄膜系の場合、接続はアレイ単位となる。接続箱が10Aだと配線は1アレイあたり1回路となる。20Aだと2アレイ1回路となる形。接続箱が半数になった分、結線数、工事の手間が圧縮される。

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【20A接続箱について】
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