Looop、小形風力発電事業に参入
太陽光発電システムに必要な部材をキット化し、ユーザー自らが組み立てる仕様で低価格販売を実現したLooop社。新商品の提供など躍進を続けるなか、さらなる一手としてこの春、小形風力発電のキット販売に乗り出す。しかも、目指すは太陽光発電と同じ期間で投資回収ができる商品。普及障壁が多いとされる小形風力発電市場で、Looop社の新たな挑戦が始まった。

高さ約12メートル、ブレード直径は約6メートル。1日で設置できるという
今回Looopが発売の準備を進めているのは、5kWのプロペラ型小形風力発電システムだ。高さ約12メートル、ブレード部分の直径は約6メートルという、比較的小さなサイズ。風速3メートルから発電が可能といい、日本各地に設置場所が見込めるポテンシャルの高い電源といえる。Looop代表取締役社長の中村創一郎氏は、小形風力発電システム販売への意欲を次のように語る。
「現在の風力発電は採算性が悪いというイメージを持つ人もいるかもしれませんが、なかでも小形風力発電は、固定価格買取制度で最高値の税抜き55円/kWhという魅力的な電源です。初期投資費用を抑えることさえできれば、回収率の良い優良な発電システムといえます。しかし、価格が高止まりして普及が進んでいない現状、Looopでは、太陽光発電システムの販売を始めた当初に設定していたのと同様の、7~8年の期間で初期コストが回収できる金額設定で販売を始めるつもりです。まず5kWの小形風力発電から始めて、最終的には100~500kWの中形風力発電まで手がけます」
小形風力発電の普及を阻む様々な障壁
小形風力発電は、5メートル程度の風速があれば、5kW1基で約9200kWhの発電量が得られる。また設置日数も、数日を要する太陽光発電システムに比べてたった1日と効率が良い。固定価格買取制度の買取価格も55円/kWhと高値がついていることは意外と見落とされがちだ。これほど好条件が揃っているにもかかわらず、日本で系統連系している小形風力発電は数えるほどしかない。なかでも大半は1kW以下の小規模に集中してしまっている。中村氏は、普及にはいくつかの超えるべき壁があるという。
「現状、風力発電本体や部材の認証と電力会社との協議、この2つが非常に煩雑で、市場に出せるシステムを用意すること自体に手間とコストがかかってしまう状況です。そうなると参入企業も増えず、価格競争も生まれず高止まりしたままという現象が起きます。経済合理性が合わなければマーケットはさらにシュリンクする。悪循環です。Looopが用意している小形風力発電システムはこうした認証や協議も通過が目前で、基礎工事を含めた施工やメンテナンスの効率化・充実化などでコスト全体を引き下げ、普及に弾みをつけたいと思っています」
日本で風力発電の認証を担っているのは、日本海事協会、通称ClassNKと呼ばれる認証機関だ。認証にあたっては実証実験を行う必要があるが、日本にその試験場はなく、海外でテストを行う必要がある。

- 1
- 2