エネルギー効率最大化を実現、電力自由化を見据えて
2013年度の住宅用パワーコンディショナ市場で首位を走るオムロン。住宅市場向けに新商品マルチ入力型を投入。住宅、低圧ミドル市場向けの全機種にAICOTを搭載、使いやすさも向上させた。2016年の電力自由化後をにらみ、エネルギーのマルチソース変換や制御までも顧客から最初に選ばれるベストパートナーを目指す。
オムロンは1994年にパワコン市場へ参入。太陽光発電は、発電量10kW未満の住宅市場と低圧ミドル市場に商品を送り出している。とくに業界の課題を先取りするかたちで開発した系統連系技術「AICOT®」が規格化されるなど太陽光発電の普及に大きく貢献している。
これまでの同社の出荷実績は、94年以降2012年までの累積発電量換算ですでに2GWに達している。さらに2012年7月にスタートした全量買取制度により、低圧ミドル市場が急成長したことを受け、2013年は単年で1.5GWとなる見込みだ。住宅市場向けで約4割のシェアを持つほか、低圧ミドル市場向けでも上位につけており、両市場を合わせたマーケットでトップシェアを誇る。この実績を背景に住宅市場、低圧ミドルの各市場でさらに攻勢をかけようとしている。
住宅向けでマルチ入力型を投入 パネル設計の自由度が向上
住宅向けでは、マルチ入力型の屋外仕様パワコンを4月に投入する。日本の住宅の屋根に多い寄棟タイプだと設置箇所によってパネルの枚数を合わせることができず、電圧が低い箇所については昇圧ユニットを別に用意する必要があった。今回投入するマルチ入力型は、内部に昇圧機能を搭載しているため枚数の違いを気にする必要がなく、パネル設計の自由度が高まる。
マルチ入力型パワコン KP-Rの特長 | |
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1 | パネル設計自由度向上 低電圧・高電流入力対応、パネルアレイ設計の自由度アップ |
2 | 電圧上昇抑制対応 電圧上昇抑制対応で、効率的な売電を実現 |
3 | 高効率化小型化 従来機に比べてより高効率・小型・軽量に |
4 | AICOT®搭載 太陽光発電システムの設置制限や納期遅れがない |
「従来に比べ、マルチ入力型で昇圧機能を内蔵しながらも小型化かつ高効率化を実現し、パネルの入力電流電圧範囲も広げ、住宅向けに最適です」と、環境事業推進本部ストラテジックマーケティング部パワーコンディショナ マーケティングマネージャーの大橋勝己氏は説明する。
また、住宅向け、低圧ミドル向けの全商品で電圧上昇抑制や2017年度の新規格など現在や将来の課題に対応する機能を搭載する。
電力系統内で太陽光発電システムの導入が増えると、発電出力が上昇することで系統の電圧が上昇するケースがある。その結果、一時的に電力が送れなくなり、売電ができなくなるといった事例が生じている。今回搭載される電圧上昇抑制機能はこうしたケースに対応するため、進相無効電力を送ることで発電抑制を起こりにくするよう制御し、売電機会損失の低減が期待されるものだ。

パワコン マーケティングマネージャー
大橋 勝己氏
さらには、住宅向け、低圧ミドル向けに加え、来年度には高圧ミドル(100kW~500kW)市場にも新たに参入する構えだ。
「新たに検討している新商品では、ミドルソーラーでご活用いただくことを想定しています。24kWクラスでありながら97.5%といった高効率を実現。また小型・軽量のため設置が容易です。屋外仕様で、沿岸部での設置も可能とするために密閉型とし、塩害にも対応する予定です」とメリットを強調する。


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