パワコン選びの新しい視点 「20年間の運転コスト」
FIT32円時代を迎え太陽光発電に20年間の高効率な稼働が求められるようになり、パワコンに低日照時の高効率変換と用地を選ばない堅牢性、施工性が必須となってきた。
14年度の固定買い取り価格(FIT)が32円/kWhとなりユーザーの関心は投資利回りの確実性に移りつつある。
これまでのように、太陽光発電所を建設すれば安定した高利回りが約束されていたのと違い、収益を確実に上げるために20年間を通して高効率な運転を求められ太陽光発電所のシステム構成の重要性が増した。
なかでも発電効率で重要なのが太陽光発電システムの心臓部にあたるパワーコンディショナである。
製品価格を優先すると低日照時の発電量に大きく影響する。そこで注目されているのがドイツSMA社のパワーコンディショナだ。高効率な稼働とさまざまな環境に対応できるコンパクト設計が特長で、北海道から沖縄まで47都道府県すべてに設置され、3月末時点の実績は約140案件430台に上る。

(右上)SUNNY TRIPOWER 10kW, 20kW
(右下)SUNNY BOY 3.5kW, 4.5kW
高効率性をデータで示しているのが500kWのパワーコンディショナを140台導入した、70MWの国内最大クラスの鹿児島メガソーラー発電所である。桜島に近いことから13年11月の噴火で火山灰が降り注ぎパネル表面を覆い尽してしまったのだ。この事態に一時は発電を危ぶむ声もあったがパワーコンディショナはその日の朝からいつもと変わることなく稼働し電力を送り続けた。

代表取締役 川久保雄司氏
SMAジャパン代表取締役、川久保雄司氏は「製品によっては低日照時に稼働しないこともあるようだが、SMAは幅広い入力レンジでの電力変換が可能で火山灰にパネルが覆われても立ち上がる」と語る。
同社製品は他社比較で朝晩の発電効率が15~20%高いという。20年という発電期間を考えると入力レンジだけでなく自己消費電力の抑制も大切だ。屋外に設置する大容量のパワーコンディショナは、日光に加えて回路基板から発熱することで、筐体内の温度が高くなってしまう。このため、筐体内には一般的にエアコンを組み込んでおり、地域や季節によるものの、一日14~15時間もの間、冷房運転を続けることが多い。
この消費電力だけで20年間で500kWにつき約1000万円を超えることがある。これに対してSMAは回路基板そのものの発熱を抑え、基板の配置やアルミ鋳造の筺体にヒートシンクを設けるなど、エアコンを必要としないコンパクトな設計となっており、自己消費電力は非常に少なくその分を売電に回せる。

イニシャルコスト及びランニングコストの大幅な低減が可能。
また、幅広い入力レンジで高い電力変換効率を実現した結果、売電の大幅な拡大が可能となる。
さらに興味深いのはコンパクトな筺体のため、施工性に優れている点だ。

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