低い買取価格でも高い投資効果

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ドイツ・ミュンヘン市で6月に開催された世界最大の太陽光発電展示会「Intersolar Europe」。多くの太陽光発電システムの提案が見られ、中でもSMAは最大規模の単独ブースを構えており、さらに、数多くの出展企業がSMA社製パワコンを組み込んでシステム展示をしていた。同社が世界的に支持される理由をSMAジャパン代表取締役 今津社長に会場で伺った。

英国でシェア35%の戦略商品

パワコン世界シェア1位の業界最大手、SMA社。同社が展示会で紹介したMVPS(Medium Voltage Power Station)は、革新的な商品だ。

柔軟性に優れたターンキー式太陽光発電システムソリューション SMA MVPS
柔軟性に優れたターンキー式太陽光発電システムソリューション SMA MVPS

「MVPSは2015年の Intersolar Europeで最も注目を集めた製品の1つ。コンテナにパワコン・変圧器・スイッチギヤを積んだパワーステーションは設置の簡便さ、性能の経済性、どれをとっても最高のものだと思います。SMA社はこの度、世界最大手のSimens社と業務提携し、MVPSの販売を開始しました。定格電圧(rated voltage)が1000VDC(2.2MW)と1500VDC(2.5MW)の2種類が用意されており、世界中の大型太陽光発電所での利用が期待されています」

必要な機材を全て20ftコンテナに組み込み、コンテナごと出荷するMVPSは、船やトレーラーで輸送し、現場に置いてケーブルを繋ぐだけですぐに稼働するという簡便さだ。その結果、驚異的な速度で設置が可能となった。英国ではこのMVPSが大人気で販売開始1ヶ月で250コンテナ、合計400MWを販売した。今年第1四半期の英国でのシェアはなんと35%である。今後はこれを日本用にカスタマイズし、福島県などでの導入を検討している。

顧客の利益を最大化する徹底した合理主義

SMAジャパン株式会社 代表取締役社長 今津 武士氏
SMAジャパン株式会社
代表取締役社長 今津 武士氏

SMAがこのような革新的な製品を生み出す秘密はどこにあるのか。SMAジャパン・今津社長はこう語る。

SMAは1981年の設立以来、35GWのパワコンを設置してきました。ドイツでも固定価格買取制度(FIT)が追い風となったのは確かですが、SMA社の歴史から見れば半分ほどでしかありません。FIT制定を機にこの業界に参入してきたメーカーとは歴史の厚みが違います。

SMA社は30数年の間、山の中の炭鉱など、十分な設備がない場所で電力を確保するためのパワコンを提供してきました。屋外のメンテナンスも難しい場所での利用を想定しているため、SMA社のパワコンは非常に丈夫で、20年利用しても壊れない自信を持っています。

SMA社は、顧客の視点に立って一番良いパワコンとは何かを実直に追い求め、厳しい利用環境で少しでも無駄を省くことを追求してきました。そのことが、高効率かつ省電力なパワコンができた理由です。また、他社製品ではパワコンの冷却用にクーラーの設置が必要な場合もありますが、結果的に発電量の減少につながるため、SMA社のパワコンでは必要ありません。

また、蓄電池に関しては、OEMで調達して自社ブランドとして単体で販売するという考えはありません。もちろんパートナー企業様の蓄電池はSMA社で徹底的に試験しますが、それは、SMA社のパワコン性能を最大限に発揮し、顧客に満足いただきたいという考えからです。

確かに、多機能を求めた結果、顧客の利益が減ってしまっては、本末転倒である。

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