ドイツO&Mリーディングカンパニーのノウハウとは
日本のケーススタディとして想定されるPV先進国ドイツのO&Mマーケット事情について、ヨーロッパ・ソーラー・イノベーション代表取締役社長の土肥 宏吉氏が、グリーンテック社インゴ・レーマン共同代表取締役、グリーンテック社に遠隔監視ソフトウェアを提供するパワードゥー社共同創業者のヨハネス・ダール氏に現地で近況を聞いた。
ドイツの最新O&M市場動向

O&MはドイツのPV業界において、とても重要な分野の一つだと考えています。ドイツでの最近のPV市場の動向をどのようにご覧になっていますか?
レーマンご存知のようにこの市場はもはや以前のようには成長しません。年間の新規設置容量も以前と比べて少なくなり、競争は激しくなるばかりです。
その結果、EPC(設計・調達・建設)事業者は、O&Mを安定した収益を見込める将来のマーケットとして、真剣に捉えるようになりました。顧客である太陽光発電事業者やユーザーにもO&Mの重要性が理解されるようになり、一段とO&Mサービスが求められています。同時に、O&Mサービスは価格競争によって、ここ数年で急激に下がり、世界的に競争力が求められているのです。
ダール私も同じ考えです。ドイツのマーケットには、すでに多くのO&Mに注目するソーラー関連企業が存在します。また、成長を続けるいくつかの企業で合併やM&Aがありました。O&Mの価格が下がって以来、多くの企業が遠隔監視システムをデジタル化しており、ソフトウェア供給会社やインテリジェント・ソリューションへのニーズが高まったこともあり、当社も遠隔監視や分析システムの機能開発に取り組んでいます。
EPCからO&Mへの転換が鍵
土肥O&M市場の規模はギガワットのスケールと一見大きくなっていますが、市場の価値や具体的な価格は決して高くはありません。だからこそ、ビジネスモデルの異なるEPCを手掛ける企業や地元の施工会社など多くの企業がO&Mに参入して、競争は一層激しくなるでしょう。このような状況下でどのように競争していくべきだとお考えですか?
レーマンEPC事業に携わる企業の多くがようやくO&Mマーケットのポテンシャルを評価するようになりました。彼らにはノウハウやシステムなどの技術力が不足していますし、後発ゆえにアドバンテージもなく、O&Mマーケットでの戦略について理解が欠けています。しかしながら、多くのEPC事業者はO&Mマーケットにフォーカスしていく以外に選択肢がありません。
合併がトレンドになっている中で、今後はEPCからO&Mへの転換をうまくマネージメントできた企業だけがO&Mマーケットで生き残れることになるでしょう。2015年に行われたM&Aを見ると、今後も数年間、合併の動きが続くのは容易に想像できます。
ダールソフトウェアの側からマーケットを眺めると、O&Mに参入した企業の多くがプロフェッショナルな仕事をしているとは言えない状況です。もちろん彼らもソフトウェアソリューションを活用していますが、この開発コストが高いため必ずしも適切ではないソフトウェアを使用しているのです。
下落する価格設定モデルの中にあっても、当社は独自にフレキシブルかつ高度なソフトウェアソリューションを考えていかなければならないと思っています。
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