小規模多設型バイオマス発電システムを活用した新事業モデル (2ページ目)

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熱をハウス栽培に利用

しかし、課題となるのは間伐材を切り出す事業者と、燃料チップの製造、生成した熱と電気の活用先だ。これについて同社は、バイオマス発電装置だけでなく、関連するスキームをシステム化できるよう取り組んでいる。間伐材の切り出しについて、現在木こりの全国ネットワークを作り始めているという。20年間仕事があればUターン希望者で若い人も入職してくるだろうという計画だ。

林業従事者は、仕事量の減少とともに高齢化が進み事業者数も少なく、後継者も育っていないのが現状だ。これを森林の再生で、活発化させるという。また、燃料チップは地域内に専用の工場を設置し、発電事業者の間伐材を受け入れ、雇用の創出につなげるが、燃料チップの供給者(林業従事者)が需要者(発電事業者)になるので、20年間は収入を安定させられるメリットがある。

さらに発電した電力は、同社のジャパン電力が20年間買い取り、発電時に発生する熱は農業に利用する。バイオマス発電で作り出したエネルギーのうち、30%を占める電力は売電し、熱はハウス栽培や養殖などに利用する。

このうちハウス栽培については、トマトの水耕栽培をパッケージ化できるよう準備を進めている。「パッケージは温度管理を全自動化した栽培システムで、ハウスの建屋から配管、温度制御装置などのハードウエアだけでなく、収穫したトマトの物流から販売先までトータルで提案します。」と親川氏は意欲的だ。

食品残さの処分コストが上昇する中で

こうしたシステム化は、太陽光発電事業のEPCで培ってきたノウハウを活かしており、設計・調達・建設を新たなビジネスモデルに置き換えたものといえる。取り扱う小規模多設型バイオマス発電装置については、バイオマス先進国の欧州メーカー20社の中から最適な機種を選び、日本仕様にカスタマイズして「ジャパンバイオ」のブランドで販売する。

「ジャパンバイオ」小規模多設型バイオマス発電装置

「ジャパンバイオ」の小規模多設型バイオマス発電装置は、パッケージ化された設計になっているため、どこにでも簡単に設置でき、厳しい環境下でも連続運転が可能で全自動運転できる。国内で1,000か所への設置が目標だ。

また、発電は合成ガス燃料に変換する際に雑質を発生させない仕組みになっており、フィルタの交換を最低限に抑えメンテナンス費も削減できるという。メンテナンス体制も万全で、研修制度を設け太陽光発電事業のネットワークを使い、全国300社が対応する計画だ。また、バイオマス発電装置をコンテナ化して、故障したらコンテナごと置き換える方式も検討している。代替修理すれば稼働率を落とさずに済む。

一方、木質バイオマスとともに注力しているのが、食品残さなどを燃料とするバイオガス発電。産廃処分コストが長期的に上昇することから、これまでにないタイプのバイオガス発電装置を研究中という。「最終的な目標は途上国の十分に進んでいない廃棄物処理です。そこから電気を作れば廃棄物も資源にできます」と親川氏は事業の展望を話す。同社の理念の一つである“Link with the future”にも通じている。

【ジャパンバイオについて】
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アンフィニ株式会社 アンフィニ株式会社
〒556-0017 大阪府大阪市浪速区湊町1-4-38
近鉄新難波ビル10階


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