自家消費・ZEH・2019年問題 社会ニーズに応える

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いよいよ4月から電力小売全面自由化がスタートする。さらに、ZEH市場への期待や、住宅用太陽光市場では、いわゆる2019年問題への対応も重要になってくる。太陽光発電のパワコン市場にて2014年末で累計100万台の実績を持つオムロンの環境事業本部・ストラテジックマーケティング部長である立石氏に今後のエネルギー市場の動向や期待を伺った。

高まるエネルギーへの意識と自家消費市場の広がり

エネルギー市場は今、電力小売全面自由化が4月に開始することなどを受け、市場全体の意識が高まっており、太陽光発電市場においても回復の兆しが見え始めている。

オムロン株式会社 環境事業本部 ストラテジックマーケティング部 部長 立石 泰輔氏
オムロン株式会社
環境事業本部 ストラテジックマーケティング部 部長 立石 泰輔氏

「固定価格買取制度の価格が低下してきたことや接続保留など、太陽光業界には向かい風になることもあったが、電力小売全面自由化をはじめ、市場全体が再びエネルギーに対して意識が高まってきている。

このトレンドに注目しており、その期待に応える事業を展開していきたいと思っている」と立石氏は言う。


立石氏は、注目しているものとして、以下の3テーマをあげた。

  1. 電力小売全面自由化
  2. ゼロエネルギーハウス市場
  3. 太陽光2019年問題

特に、電力自由化では、一般消費者を含めた市場の関心が一気に高まっているのを感じる。電気は既存の電力会社から購入することから、選べるものという意識にかわるのは、電気やエネルギーへの意識そのものを高めることになる。さらに、ゼロエネルギーハウス、いわゆるZEHの広まりも重要だ。家庭用太陽光発電は既にグリッドパリティに到達したと言われる様に、売電するよりも、電気を貯めて使う方が、経済メリットがでるようになる。さらに、新築住宅では、太陽光と蓄電池の搭載が進むことで、エネルギーの購入をゼロにする、自家消費への意識が一層高まると思われる。

「我々は、自家消費のニーズを先取りした太陽光と蓄電のハイブリッドシステムを既に発売していますが、補助金終了後も堅調に販売実績を伸ばしています。今後、この自家消費ニーズは電力小売全面自由化の影響も受けながら、更に高まると考えています。それに応える製品開発・サービスの開発をしっかりやっていきたいと思っています」

そして2019年以降には、住宅向けの余剰買取期間が終了する世帯が急増すると見込まれている。それに対しては、「近いうちに動きが徐々に顕在化してくると思います。具体的に言うと、パワコンの買い替え需要だけではなく、売れなくなった電力を貯めて使う自家消費への移行も見込まれる。私たちは、それに先駆けて、太陽光と蓄電のハイブリッドタイプをすでに展開していますが、それだけではなく、今後、様々なニーズが顕在化することと思います」と立石氏。

設置困難地域への対応など社会ニーズの多様化にこたえる

立石氏は、太陽光発電をはじめとしたエネルギー関連市場に関する社会ニーズは多様化しており、今後は、より一層ニーズの幅が広くなると考える。同社では、「ソーシャルニーズにいかに応えていくか」を企業理念とし、事業展開している。これまでできなかったことを技術により可能にしていく。例えば設置困難地域、重塩害エリアへの対応などだ。

従来は海岸から500M以内の地域は重塩害地域と呼ばれ、日照などの条件が良いのにも関わらず、設置が不可とされていた。同社ではこの課題に対応するため、重塩害地域で、さらには台風などの強風で一時的に海水が飛来する場所でも設置できる重塩害対応のパワコンを開発。昨年夏より発売開始した。

海岸沿いのエリアや海岸より500m以内の重塩害地域に最適。台風などの強風により一時的に海水が飛来する場所でも設置が可能だ。
海岸沿いのエリアや海岸より500m以内の重塩害地域に最適。台風などの強風により一時的に海水が飛来する場所でも設置が可能だ。

立石氏によると「沿岸部エリア、例えば、沖縄、離島といった地域では、重塩害地域ということで最初から設置をあきらめていたケースも多かった。今後は対応商品の提供により改めて設置検討が増えると考えており、既にその傾向は顕在化している」といった見方を示す。

さらに同社の特長として、前述のハイブリッド蓄電システムもいち早く重塩害に対応しており、一歩先行く商品提案を実現している。

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