太陽光で確実に高収益を生む『FIT20円台の戦い方』(2ページ目)

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買取価格が24円でも事業は継続可能

新エネルギー部 太陽光発電グループ 主任研究員 : 山田 宏之 氏
新エネルギー部 太陽光発電グループ
主任研究員 : 山田 宏之氏

第3部、第4部は実際にPV事業に関わる事業者から現場に即した知見が披露された。

まず第3部の講師は再生可能エネルギー事業を開発・運営するジャパン・リニューアブル・エナジーのPVプロジェクト本部、鈴木学推進部長。鈴木氏はプロジェクトファイナンス(PF)を活用しPVを建設する立場から事業の収益やリスクについて語った。PFによる開発では案件について詳細な第三者評価レポートが必要で、より厳格な事業採算性が求められる。

鈴木氏は「買取価格が24円でも事業はやれると考えている」とし、今後の案件ではパネルの他、パワコンは集中型から集中型・分散型併用へ、架台基礎をコンクリートから杭へ、ストリング監視から群監視へ、個別設計から共通設計へ、日射量DBは気象庁DBに衛星データを補完するなど具体的な施策をあげた。

第4部ではPV建設で150MWの実績をもつ昭石エンジニアリングの取締役、ソーラー事業本部長の込山弘氏がEPC事業者の立場からプロジェクト組成のポイントについて報告した。込山氏は過去の案件を巡るトラブルなどの実例を示しながら、「PV事業者はEPCを工事屋ではなく、ビジネスパートナーとして遇して、ビジネスプランに適ったシステム設計、立地条件や用地に適した機器選定などプロジェクト組成を一緒に考え、進めていくことが重要」と指摘。また運転後のトラブルを防ぐにはEPCとともに事業者がFSを行うことを勧めている。

日本市場の見通し
出典:株式会社資源総合システム、「月刊太陽光発電情報」

発電量を高めるための技術的検討

パネルディスカッションの様子

最後の第5部は機器部材の技術担当4名がイニシャルコスト、ランニングコストの面から、発電量を高めるための技術的な検討を行った。まず、パワコンの世界トップメーカーSMAジャパンの技術部テクニカルセールスサポート担当、庄田謙一氏が特別高圧変電所の設計ポイントとして電力会社の出迎え方式と自営線を採用した場合を比較し、そのメリット、デメリットについて解説した。

次いで同じSMAジャパンのセールスダイレクター・杉山竜太郎氏が分散型パワコン3タイプ、大型パワコン2タイプの設置パターンについて、プラス、マイナス両面から検討。さらに運用コストの面からパワコンの設計寿命、延長補償について、運転停止時の代替機送付サービスや保証サービスなどについて説明した。

その後、接続箱や高圧受電盤のメーカー、日東工業ソリューション営業部の水越隆氏からは異常を検知すべきポイントとして(1)特高機器(2)高圧機器(3)パワコン(4)パネルの4点をあげて、検知方法を解説。異常の早期発見、復旧に向けた早期対応が発電ロスを低減する上で重要であると指摘した。

さらに、検知後の対応やO&M事業を展開するオーナンバの技術部・主任研究員の後藤隆幸氏は遠隔監視システムによる異常の早期発見の実例を紹介。ストリング単位での遠隔監視システムの有効性と、あわせて先端の事前予測システムについても解説した。また、監視システムについて議論する中で、監視システムが取得したデータをメーカー間で共有することの必要性が指摘され、互いに必要なデータを融通するなど、メーカー同士のアライアンスが重要であることが確認された。

セミナーを通じて、まだまだPV事業者に認知されていないコスト削減の技術や発電所の安定運用のノウハウが埋もれており、これらを掘り起こすことで、より高い収益性を確保できることが確認できた。

本セミナーでは、投資案件として太陽光発電事業を成功させるための見極めポイントや採用すべき技術に関する解説を行った。『太陽光事業』をひとくくりに考えてしまいがちだが、これらの目利きをすることにより、リスクを回避し、確実に収益を生むためのノウハウを構築することができる。

※環境ビジネス編集部は、来月ドイツのミュンヘンで行われるintersolar Europoe2016にて、本セミナー協賛のSMA社の新製品を取材、intersolar特別号にて紹介予定だ。

※下記よりセミナー資料のダウンロードができます。
資料のダウンロードはこちら
SMAジャパン株式会社
〒105-0014 東京都港区芝3-23-1
セレスティン芝三井ビル8階



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