新規参入の不安を払拭！ 商社の総合力を挙げた小形風力発電ソリューション（2ページ目）

風力発電ビジネスを丸紅がサポート

丸紅の小形風力発電事業の強みは総合商社の機能を活かし、事業パートナーとして案件組成を推進できることだ。

林氏は「既に今年度、200件を受注し、着工を始めています。小形風力発電市場はまだ黎明期で、興味を持たれている法人や個人事業者の方も多い一方、参入に足踏みしている方も存在するため、同事業者の不安を取り除くことができれば、今後大きく成長していく市場だと考えています。その為に丸紅が太陽光発電で培った総合力を挙げて、土地選定、施工、O&Mまで信頼できる事業者を紹介するなど、各顧客のニーズに応えることで市場の地盤を固めていきたいです。中でも現在注力しているのが、丸紅独自で開発している風況シミュレーションソフトです。総合商社として長年培ったノウハウとネットワークを基に開発したソフトを活用し、風況の良い土地を選定できれば、必ず太陽光発電を超える事業性を確保することができます」と話す。眠っている土地の相談をすれば事業調査もしてくれる。

さらに、丸紅は独自のローンサービスの「ウィンドミル・クレジット」を提供する。小形風力発電は機器本体が太陽光発電より割高で、導入コストが掛かる。ところが、信販会社は風車メーカーの規模と日本での実績不足を理由に、ローン付与に消極的なのが実情だ。そこで丸紅では風車メーカーへの品質指導と20年間のバックアップサポートをすることで、信販会社と共同で丸紅独自のローンを開発した。

また、小形風力発電システムは定期点検が義務付けられており、そのためのO&Mサポートも不可欠だ。同社の松坂航氏は「風力発電の施工経験がある、あるいは電気系統に強い事業者など、責任をもって20年間サービスを提供できるO&M事業者を紹介いたします。また大型台風等の緊急時には3時間以内に駆け付ける体制も整備。全国にネットワーク網を敷く無線通信基地局の施工・メンテナンス事業者と提携しているので、全国どこにでも駆け付け可能です。さらに、メンテナンスパーツを常時保有しているので、緊急停止から稼働までの期間も短縮できます」と万全の整備状況を強調する。

さらに、メーカーによる機器保証に加えて、丸紅グループによる自然災害保険、売電利益補償等のサービスも用意されている。

中期的には案件組成のビジネスへ

「年度内に自社発電所を所有することで、様々な立地条件でそれぞれの機器がどのくらい発電し収益をあげられるのか検証を行い、そのデータを基に事業者の皆様に最適な提案をしていきます。メーカーが定めるメンテナンス頻度の検証も同時に実施をしていきたいです」と林氏。現在急ピッチでその作業を進めている。

機器の選定、施工・O&M事業者の選定までトータルソリューションを提供してほしいとの問合せも寄せられている。正富氏は「現場では、太陽光とともに小形風力発電に取り組みたいという事業者が増えています。丸紅はそうした要望にワンストップで応えることができ、そこにさらに付加価値をつけ、パートナーとして再エネの普及に貢献していきます」と話す。

中期的な計画として、土地の選定から発電所建設まで、丸紅による一貫した案件組成のプロジェクト事業を準備している。地域社会との調和を重視した上で地域資源の有効利用ができる小形風力事業を、さらに伸ばす計画だ。

【小形風力発電について】