FIT18円でも収益を生み出すには?産業用太陽光の今後の勝機を語り合う

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FIT価格18円でも産業用太陽光発電ビジネスに勝機はあるのか。太陽光発電関連メーカー、開発・発電事業者など3社の担当者が収益を確保するためのポイント、海外市場や自家消費などを巡り、環境ビジネスフォーラムのパネルディスカッションで語った。

今年度のFIT買取価格が18円となり、FIT制度に依存した発電事業のビジネスモデルが転換点を迎えたという声も聞く。環境ビジネスオンラインではすでに昨年FIT価格が18円に決定された際、「FIT価格いくらまで事業を続けますか?」という読者アンケートを実施。2017年度のFIT価格21円が限度という回答が36.2%を占める一方、0円でも続けるとの回答が44%にものぼった。

そこで、環境ビジネスフォーラムでは、改めて「本当に、FIT18円でも確実に収益を生み出せるのか?!」と題してパネルディスカッションを開催。パワコンなど太陽光発電関連メーカーであるSungrow Japanの松浦 克憲 氏、太陽光発電所や風力発電所の開発・発電事業者であるいちごECOエナジーの堧水尾 太郎 氏、モジュール製造販売とともに開発事業も手掛けるジーシーエル・ソーラー・ジャパンの李 琦 氏の三氏に議論していただいた。三氏はともに18円でも収益が生み出せると考えている。

土地の有効活用や長期プラン策定で収益を確保

――なぜ18円でも事業が可能であり、どのようにして収益を生み出せると考えているのか。

「FIT18円でも収益を生み出せるか」の質問に三氏の答えはそろってYES
「FIT18円でも収益を生み出せるか」の質問に三氏の答えはそろってYES
いちごECOエナジー 営業本部 エナジーソリューション部長 堧水尾 太郎 氏
いちごECOエナジー 営業本部
エナジーソリューション部長
堧水尾 太郎 氏

堧水尾 FIT18円でも事業を継続するべく、すでに新規案件の営業、開発計画を進めています。その根拠となるのは、土地の有効活用です。これまで手つかずだった法面、軟弱地盤の土地、ため池などを活用すること。あるいは高効率パネルや両面パネルを使うことで狭小地であっても有効活用が可能になります。そのためにメーカー、工事会社とも日々、研究を重ねています。もちろん40円、36円時代に比較すれば収益率は下がりますが、それでも十分に収益性を確保することができると考えます。

ジーシーエル・ソーラー・ジャパン 副社長 李 琦 氏
ジーシーエル・ソーラー・ジャパン
副社長
李 琦 氏

 日本でFITがスタートした2012年には買取価格が40円で、ECPコストは320円/kWhかかりましたがIRRは6%ぐらいに設定できました。開発事業者としてジーシーエルが18円で収益を確保するためにはECPコストをその半分に圧縮する必要があります。一方、メーカーとしてはパッケージ化した製品を安く提供することで、開発事業者のコストを軽減し、18円でも事業を継続できるようサポートすることが可能だと考えています。

Sungrow Japan 事業戦略室 マーケティングマネジャー 松浦 克憲 氏
Sungrow Japan 事業戦略室
マネジャー
松浦 克憲 氏

松浦 発電事業者の方は初期導入時に保険やメンテナンスなどを含めた長期間にわたるランニングコストをきちんと把握し、プランに盛り込むことで収益性を担保できると思います。一方、メーカーサイドとしては製品価格を下げることと、日本の環境や風土にあった製品を取り揃えていくことで、発電事業者様をバックアップしていきたい。例えば日本では土地の確保や造成にコストがかかりますが、国内に20万カ所あるといわれるため池など、ポテンシャルのある場所がまだ残されています。

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