FIT18円でも収益を生み出すには?産業用太陽光の今後の勝機を語り合う (2ページ目)

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――収益を上げるためのポイントは。

堧水尾 我々は日々、営業活動を展開し土地の仕入れや地権者との折衝を重ねていますが、別途不動産を運用しているグループ会社とも連携し、不動産情報を収集しています。さらに当社は全国展開をしているので発電所が所在する地元行政、地権者、近隣の方々やその地域の土木会社の方とWin‐Winの関係を築けるようコミュニケーションを密に取っており、そこからも情報が得られます。さらに利用が難しい法面や水上の場合などは、近隣地域の皆様に迷惑がかからないように、通常の更地の場合よりも一層気を配って開発に取り組んでいます。

 日本では用地確保が課題になりますが、メーカーとしては高効率パネルを開発し供給することや過積載に適応できるシステムを提案することが使命だと考えています。

――環境ビジネスのアンケートによると、たとえFIT0円でも事業を継続できるという回答が44%にも上ったが。

堧水尾 弊社は当面、FIT以外の選択肢は考えていません。

 18円であっても他の国のFIT価格よりも高い。しかし日本でも今後買取期間が終わる2019年問題が発生しますし、先行するドイツで見られる通りに自家消費へ移行することが予想されます。ジーシーエルでは売電、自家消費どちらにも対応できるビルなどの屋根置き型を提案していきたいと思います。屋根置きは災害時などの非常用電源としても役立つので、日本に適しています。

松浦 弊社でもビル、工場、ショッピングセンターなどの屋根置き案件が動き出しています。非常時にも役立つし、CO2削減を通して企業のCSRやESG投資へのアピールともなります。また行政などの助成制度にも対応できるなど、見えない利益にも繋がります。

商社・ECP・投資家などが積極的に海外展開

――グローバルで太陽光電源の利用が増加しているが、海外市場をどう考えているか。

堧水尾 海外進出に魅力は感じますが、もともと当社は日本の不動産投資、運用を核に展開してきた企業なので、日本でしっかり収益を上げていきたいですね。

 ジーシーエルはグローバルで6.5GWの発電所を所有しており、石油・ガスから再エネにエネルギー転換を図ろうとしている中東に注目しています。サウジアラビア・サカーカの300MW発電所の入札にも参加しました。

松浦 弊社も世界20カ所でグローバル展開を図っています。最近、中東・アジア・南米・南アフリカなどへ、日本の商社、ECP、投資家が積極的に海外に展開しており、Sungrow Japanもそれらの企業と協働で事業を展開しています。日本の製品・サービスは価格が高いと言われますが、海外事業者の間で積極的に採用されています。日本製品の品質の良さとともにビジネスの組み立て方、進め方が信頼感を得ているようです。

活発な議論が繰り広げられたパネルディスカッションの様子
活発な議論が繰り広げられたパネルディスカッションの様子

――最後に今後のビジネス展開について、どのように考えているか。

堧水尾 我々は18円でも太陽光発電事業をやり続けるとともに、風力など他の再エネにも取り組んでいきます。

 メーカーとしてモジュールや部材を販売するとともに、IPP事業にも注力し、18円以下になっても発電所を開発していきます。

松浦 まだまだ、太陽光発電が再エネ市場を牽引すると思います。日本の環境に適したパワコン、蓄電池、フローティングなどの商材を揃え、発電事業者様に提案していきます。

それぞれの事業の特性や強みを活かし、今後の産業用太陽光発電市場に向き合う強い意欲を感じさせる3社。各分野を牽引する活躍が期待される。

【環境ビジネスフォーラムのパネルディスカッションへの】
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Sungrow Japan株式会社
〒101_0041 東京都千代田区神田須田町1‐7‐9
VORT秋葉原maxim 5階
TEL:03‐6262‐9917
Mail:Japan@sungrow.cc


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