脱炭素社会のパスポート、RE100を実現する再エネ電気の選び方とは?(2ページ目)

  • 印刷
  • 共有

「顔の見える電気」には企業の成長につながるIR・PR・HRの3つの効果がある

――丸井グループに再エネ電気を供給するみんな電力社長の大石氏から見て、日本社会の中で電気に対する考え方や選び方などに変化は感じられるか。

みんな電力 代表取締役社長 大石 英司氏
みんな電力 代表取締役社長 大石 英司氏

大石 私たちは2007年の創業以来、「あなたの電気はコンセントの向こうの顔がみえますか?」と問い続けています。コンセントの向こうには必ず電源があり、化石燃料由来の電源だったり、あるいは故郷の再エネ電源だったりするかもしれません。それなら自分の電気代が化石燃料の資源国に流れるのではなく、故郷の電源や、あるいは福島復興につながるような「顔の見える電気」に支払いませんかというメッセージです。しかし2年前、私たちが開催したセミナーに集まった人はたった30名でした。それが2カ月前のセミナーでは80名に、さらに本日は350名以上の方に集っていただき、隔世の感があります。なぜそうなったか。どんな電源の電気を使っているかによって企業価値を評価する仕組みができた。特に投資家の動きの影響が一番大きいと思っています。

高瀬 全く変わりましたよね。自分たちが作っている製品のサプライチェーン全体ではどのくらいのCO2を排出しているのか。そこを自主的に開示して、皆さんに評価していただく。そうした流れがどんどん進んでいます。

大石 企業にも電気の産地を指定する動きが出てきました。例えば、アパレルメーカーのビームスさんが南相馬市の電気を、伊勢神宮(内宮)門前の観光地であるおかげ横丁の伊勢福さんが三重県内の地産地消の電気を使っています。こうした「顔の見える電気」には大きく3つの効果があります。丸井グループさんのお話にあった株価に対する「IR効果」、企業姿勢を伝える「PR効果」、人材採用のための「HR効果」です。

――丸井グループではRE100に加盟して社内、社外から何か変化が感じられるか。

戸井田 劇的変化はこれからだと思います。ただし、加盟のニュースが新聞等で取り上げられることで社員の家族の方からの反響もあり、社員のロイヤリティにつながっていると感じています。また、先進企業の皆さんとのネットワークも拡がり、情報交換の機会が増えました。

ブロックチェーンを活用し、再エネ電気をプールしてRE100企業へ提供する

――今日はRE100加盟に興味がある企業の方も多く来場されている。みんな電力の電力小売りサービスとは。

みんな電力 専務取締役 三宅 成也氏
みんな電力 専務取締役 三宅 成也氏

三宅 当社のWebサイトを見ていただくと個人、自治体、著名人などが作った約90の電気の仕入れ先である発電所が並んでいます。需要家はその発電所の中から電源を選ぶことで応援することができます。しかし電気は系統に入れば、再エネ電気かどうか判別できません。そこでブロックチェーンを活用した電力取引プラットフォームを開発し、電気のトレサビリティ情報を管理し、誰がどこで作ったかがわかる仕組みにしました。また、RE100に関して再エネ電気は足りるのかとよく聞かれますが、実はFITのおかげで原発6基分、神奈川県の年間消費量を賄うだけの発電量があります。それを使えるようにプールしてRE100企業に販売するのが我々の役割です。

再エネ発電所を企業につなぐ「ENECT RE100プール」
再エネ発電所を企業につなぐ「ENECT RE100プール」
再エネ発電所からの電力を調達、プール化し、ブロックチェーン・トラッキングシステムにより電源証明付きの電力をRE100系企業、自治体、個人などに販売
画像クリックで拡大

――まだ日本ではRE100 への加盟やESG評価が投資判断にどの程度影響を与えるのか、ESG投資と企業価値の間に相関関係があるのかどうかなどと、二の足を踏む企業も多い。丸井グループでは加盟にあたって、コストなど何か障害は。

戸井田 当社は自社単体で発電をめざすほどの規模ではないので、どう再エネ電気を確保するかが課題でした。そんな時にある会合で大石社長とお会いしまして、当社のトップに会う場を設けていただきました。早い段階からトップの理解が得られたことでその後の道筋がつけられたように思います。経営層には再エネ電気の導入はコストが若干上がるものの、コストではなく投資だと訴えました。それに継続している省エネの取り組みにより、毎年必ず電気代を減額していますので、その何割かを再エネ電気に投資するという形をとっています。しかも、一気に100%再エネ電気に変えるのではなく、1店舗ずつ変えていくというロードマップを策定しているので順調にスタートできました。

大石 私たちのトレーサブルな「顔の見える電気」によって、電気の生産者と消費者は、繋がることができます。丸井グループさんをはじめとして、無数の人と人、場所と場所の繋がりを作りたいですね。今日来場されている400社の企業の皆さまで再エネを購入したり、開発するだけでも、十分、脱炭素社会に進んでいくと思いますが、さらに各企業が接点のある生活者に再エネ購入の重要性を伝えれば、日本全体にRE100が広がり、人と人、場所と場所とが繋がり、世界にない「顔の見える」脱炭素社会が実現するのではと信じています。

※今回紹介された、RE100を実現する「顔の見える電気」の資料をダウンロードできます。
ダウンロードはこちら
みんな電力株式会社 みんな電力株式会社
法人営業チーム
〒153-0042
東京都目黒区青葉台3-10-9 VORT青葉台4F
TEL :03-6805-2228
Email:biz@minden.co.jp

この記事にリアクションして1ポイント!(※300ポイントで有料記事が1本読めます)