「低FITの先にあるチャンス」 どう生き残る?

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昨年度、FITは買取価格が初年度から比較すると半値以下になった。本格的に低FIT時代に突入した今、現状の方法のままではビジネスとしての採算が合わなくなる日はいつか訪れる。一方これは、新たなソリューションを投入し事業を加速するチャンスでもある。ファーウェイ・ジャパンの佐藤英也氏が講演した。

日本市場は第3のフェーズに

ファーウェイ・ジャパン スマートソーラー事業部プロダクトマネージャー 佐藤英也 氏
ファーウェイ・ジャパン
スマートソーラー事業部プロダクトマネージャー
佐藤 英也 氏

同社は、2015年から3年間、パワーコンディショナー(以下、パワコン)出荷量世界1位の座を守っている。その累計出荷は75GWを超え、グローバル全体での昨年の売上げは日本円にして10兆円規模(全事業合計)となった。

この3年間の出荷量に注目してみると、集中型パワコンと分散型パワコンの出荷量が逆転した。「分散型パワコンの需要が増えたのは、世界のトレンド」と佐藤氏は言う。

今、市場はどう変化しているのだろうか。日本市場では、平均システム価格は2012年42.1万円/kwだったが、2018年までの6年間で32%減。13.5万円/kwまで落ちた。FIT価格は2012年のスタート時には40円/kWhだったが、6年間で55%減少し、今は18円/kWhまで落ちている。さらに5年後には8.5円まで下がるという。

「太陽光業界は、大きく3つのフェーズに分かれて成長します。政策補助期間にはじまり、補助金期、グリッドパリティ達成後です。日本は今、補助金期が終わり市場の競争原理によって発電価格が下がり、市場規模が縮小するという時期にあります」と佐藤氏は説明する。そのようななか日本の事業者が知るべきは、欧州の取り組みだと続ける。「欧州はすでにグリッドパリティ達成後に位置します。市場規模は一度縮小してしまいましたが、再び拡大に転じています。危機を乗り越えられたのは、発電量を大きくして、CAPEX・OPEXを下げる努力工夫を各メーカーやEPC事業者が行ったためです」(佐藤氏)。

太陽光産業はN型の発展を続ける グリッドパリティの先
太陽光産業はN型の発展を続ける グリッドパリティの先
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低FIT時代を生き抜く技術

では、どのような『努力工夫』がなされたのだろうか。例えば、モジュールメーカーは両面モジュールを開発した。通常モジュールは太陽からの光を表面で受けるだけだが、両面モジュールなら裏面で反射光や散乱光も取り込めるため、発電量が5~15%向上する。架台メーカーは太陽を追いかけて回転する追尾架台を開発し、発電量を5~15%向上させた。そして、パワコンメーカーが開発・改良したのが、「分散型パワコン」だった。

同社では「マルチMPPT」をキーワードに分散型パワコンに注力していったという。「太陽光発電所は、木陰や曇天などの天候要因により、受光量はその時々で変わります。一つのパワコンで変換していては、発電量の低いモジュールに合わせて全体の発電量が落ちてしまう、いわゆる『ミスマッチ』が起きてしまいます」と佐藤氏は指摘。そこで同社では、パワコンを小型化し、かつ、内部に小さな電力の変換装置を複数入れて発電量低下のリスクを分散できるようにした。佐藤氏は、「これならミスマッチ現象を抑えられます」と言う。

さらに、架台メーカーと協業し、AI学習機能使って太陽の角度に合わせ最大の発電になるようなアルゴリズムを開発。より高い発電量を得ることを可能にした。

「従来型のパワコン+片面モジュール+固定架台の組み合せに対して、両面モジュール+追尾架台+マルチMPPTの組み合わせだと、発電量を20%以上UPできます。中国青海省の発電所では、この技術用いて22%UPに成功しました」。

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