環境省がサポートする脱炭素社会で掴むビジネスチャンスとは?(2ページ目)
そのひとつは「省CO2型リサイクル高度化設備導入促進事業」だ。「省エネ型のリサイクル設備の導入費用について最大1/2を補助する」というもので、プラスチックの洗浄設備、選別設備、ぺレット化するための設備が主な対象になる。
福島県の株式会社中村環境は、この事業を有効活用した中小企業のひとつだ。複数樹脂同時選別設備に約6000万円という大きな設備投資を決め、1/2にあたる約3000万円の補助を受けた。
「良い設備に変えることで競争力が上がり、次の設備更新にも備えることができるようになります」と泉氏はいう。
この中村環境の事例では、補助金の活用により設備導入にふみきり、省エネと商品品質の向上から約4年という短い期間で償却を実現した。また、地域の廃プラ問題を解消し、温暖化対策に貢献するという大切な役割も果たしている。まさに環境とビジネスが両立した好例といえる。
もうひとつ注目しておきたいのが「脱炭素社会を支えるプラスチック等資源循環システム構築実証事業」だ。プラスチックの代替素材である紙やバイオプラスチックをつくる、複合素材プラスチックなどのリサイクル困難素材を燃やしたり捨てたりせずにリサイクルする、さらに、省エネで脱炭素にも貢献する、この3つの技術的課題の解決を支援する事業だ。3〜5年後、いまある技術シーズを社会実装することを目的とする。
取り組んだ企業には主に2つの効果が期待できるという。
「地元では地産地消のようなループができるので、地元の経済成長・雇用創出につなげられるでしょう。また、海外では急成長したために静脈システムが追い付いていない国が多くあるため、海外展開のチャンスが増えます」
「前向きな気持ちがあるのに資金が追い付かない…」という現実に頭を抱える中小企業は少なくない。「この事業を活用することで経営課題を解決するきっかけづくりに役立てて欲しい」と泉氏は呼びかける。
中小企業でも脱炭素経営はできる
日本ではまだまだ「環境課題と経済・社会課題は対立する」と捉えられている。「もはや環境をコストと見る時代ではありません。いかに環境対策でビジネスを開拓するかの視点に立たないといけない時代がすでにはじまっています」と奥山氏は強調する。
「中小企業の皆様には、ぜひ脱炭素経営に気付き、アクションを起こして欲しいです。その一歩として、同省の補助事業があります。自分の取り組みはたいしてインパクトがない、やらなくてもいいとは考えず、それぞれの企業が主体となり、取り組んでいただければと思います」
環境省
〒100-8975
東京都千代田区霞が関1-2-2
- 1
- 2