ヨーロッパの最先端モデル、サーキュラーエコノミー普及に貢献する(2ページ目)

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安居氏が考えるサーキュラーエコノミービジネスとは?

一見オシャレなプロサーファー御用達のサングラス「Karün」。遮光レンズはカールツァイス。ファン達は、憧れのサーファーと同じ高品質なサングラスを手にした時に、その素材が南米チリの廃棄漁網を地元デザイナーがサングラスに製品化したものだと知る。海の生態系を損なう海洋プラスチックごみの10%は廃棄漁網といわれる。サングラスの売上は廃棄漁網を回収する環境NPOのインセンティブとなる。

「ヨーロッパでは、経済が持続可能であること、食・自然が持続可能であること、そして働く人や人間が持続可能であることを重視しています。日本では投資の対象やビジネス経済と気候変動の点が語られることがあっても、働く人や人間が持続可能であることは置き去りになることがまだまだ多いと感じます」(安居氏)。

オランダFairFoodでは、小売りスーパー店頭で流通するコーヒーやエビなどの主要食品で流通経路、産地、生産者の所得金額、使用している農薬や抗生物質にいたるまでの情報を、分かりやすくイラストで公開する取り組みを始めている。フェアトレード認証団体を経由せずブロックチェーン技術で有害な環境や不当労働で生産された食品が、小売りスーパーで販売ができなくなると将来的に見込まれている。

アムステルダムで起きていること、日本の自治体に起きていないこと

サーキュラーエコノミーメディア「Earthackers」編集長 安居 昭博氏
サーキュラーエコノミーメディア「Earthackers」編集長 安居 昭博氏

「オランダでは自治体自らが積極的にサーキュラーエコノミーを学び、働きかけをしています。アムステルダム市は行政としてサーキュラーエコノミーを2050年までの経済戦略の根幹に位置づけています」(安居氏)。

廃棄処分量が減る→住民税金負担が軽くなる→製造メーカーは資源調達が継続的に可能になる→サーキュラービジネスを行う企業にはオフィス契約を優遇する制度充実→法人増加・地域雇用増加と、行政面においてメリットが多い。

大手スーパーチェーンの社内起業コンペから始まった食品廃棄レストラン「Instock」。同店は20代の3人によって起業された。毎日スーパーから出る食品廃棄の処分という課題に対して、秀逸な空間デザインを設計、プロの一流シェフを雇用し、メニュー価格は同レベルのレストランの半額程に抑えている。

「雨水を使ったクラフトビールの地域別の飲み比べもできます」(安居氏)。

「自分のキャリア人生として捉えられる20代・30代がサーキュラーエコノミーの主役となっているヨーロッパでは、SDGsの目標年でもある2030年では時間軸が短く、30年後の2050年が重要視されています。まずは若い人が、すぐやってみようとしているのも日本とは違う点だと思います」(安居氏)。

ご自身のキャリアプランと日本に広めたい働き方

安居氏は今後、サーキュラーエコノミーの先端都市アムステルダムへ引越しをして、さまざまなスタートアップ情報を英語と日本語で情報発信していくという。この分野の製品は「ヨーロッパでは地産地消の概念として、『almost Europe』として、ヨーロッパに近い北アフリカの国々やトルコを含めてサーキュラーエコノミーの経済圏を形成しつつあります。日本でも韓国や中国、東南アジアの国々と連携しながら、独自の新しいサーキュラーエコノミー経済圏のリーダー的存在になっていければと思います。自分も貢献したいですね」(安居氏)。

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