ファーウェイ、低FIT時代を打破する新施策

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2019年度、FIT価格は14円/kWhとなっている。まさに低FIT時代の到来である。一方で海外に目を向けると、3円、5円という日本よりもさらに低価格でありながら、次々と事業化に成功している。日本の太陽光案件の将来はどうなるのだろうか。今後の展望について、ファーウェイ・ジャパン佐藤 英也氏が講演を行った。

PCSの世界的トレンドは集中型より「分散型」

同社は2015年以来、パワーコンディショナ(以下、PCS)出荷台数で4年連続世界1位を獲得している。累計出荷量は90GWを超え、グローバルでの事業全体の売上は、11兆円規模を誇る。

PCSには、集中型と分散型の2つのタイプがあるが、「2017年以降は分散型の比率が高くなっている」と、世界のトレンドは分散型にあると佐藤氏は語る。採用の理由としては、発電ロスの少なさにあるという。

「電気を直流から交流へ変換する際、発電ロスが発生してしまいますが、分散型の場合、この無駄を極力抑えることができます。その結果、集中型に比べ、より大きな電力を生み出すことができます。同社における分散型のシェア率も、現在では50%を超えています」(佐藤氏)。

海外FIT事情に今の時代を勝ち抜くヒントが

2012年、42円 /kWhで始まった日本のFIT制度。2018年度には20円/kWhを下回り、2019年度は14円/kWhとなった。9年の間に、半分以下の水準まで下がることになる。また、2018年には九州で、国内初となる太陽光発電の出力制御が実施されるなど、太陽光発電の未来を懸念する声も聞こえてくる。

その一方で、海外のFIT事情はどうかというと、日本とは状況が異なると佐藤氏は語る。

低FIT時代を勝ち抜くには、LCOEを下げることが重要!
低FIT時代を勝ち抜くには、LCOEを下げることが重要!
現在、発電コストの評価方法としては、LCOE(Levelized Cost Of Electricity、均等化発電原価)が定着している。建設費や運転維持・燃料費など発電に必要なコストなどを合計し、運転期間中の想定発電量をもとに算出する標準的な指標だ。
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「スペイン、メキシコ、インドなど、各国の太陽光発電案件を対象とした入札事情を見てみると、日本円にして、最低3円から5円弱と、日本とは比べものにならない低価格です。しかし、こうした価格帯であっても、事業性がきちんと示されている現状を考えれば、日本市場においても、太陽光発電事業はまだまだ拡大の余地が残されていると思われます」と佐藤氏は分析する。

では、低FIT時代を勝ち抜くために必要な要素とは何だろうか。佐藤氏は、発電コスト(=LCOE)の重要性を説く。LCOEとは、建設から運用、廃止まですべてのコストを、生涯発電量で割った発電原価のこと。LCOEをいかに軽減できるかが、重要であるという。

「LCOEでは、分母を大きくすることが大切です。分母は発電量ですから、まずは発電量を増やすことが求められます。またFITであれば20年間、発電コストを抑えることも重要となります。それと同時に、分子を小さくすること。分子にあたる初期投資と維持管理の費用を抑制することができれば、発電コストの軽減につながります」(佐藤氏)。高い発電量、初期投資を抑える一体型ソリューション、そして安定的な維持管理を実現する高い信頼性。これら3つが低FIT時代における成功のキーワードだ。

低圧向けPCSは過積載300%まで対応

日本市場では、2019年度からFIT価格の入札制度が変わり、対象となる事業規模がこれまでの2,000kWから500kWに拡大された。これを受け、同社では、500kW用PCSと、よりコンパクトな50kW未満の低圧PCSという、2つのタイプに注力している。

まず、500kWシステムでは、同社のソリューションは、両面発電モジュールに加え、マルチMPPT技術により、発電量を2%以上上げることができ、高い発電量に貢献できる。さらに、集電箱や接続箱が不要になるため、コスト削減にも寄与する。

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