エネルギー会社が仕掛ける新たなまちづくり(2ページ目)

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柏木氏 再エネ導入が進んでいるドイツでは、電力をはじめ地域密着で公共インフラを扱うシュタットベルケという事業体があります。

日本でも、銚子電力のような地域電力会社が、スマートコミュニティといった新たなまちづくりの仕掛人になることも考えられます。電力会社のあり方も変わっていく必要があるでしょう。

小嶋氏 もう一つの課題は、人材確保です。地方は若者の絶対数が少ないため、新たなサービスを企画・立案できる若い人材が足りません。

横井氏 小嶋さんから人材の話がありましたが、ミレニアル世代の仕事への考え方には変化が生じています。最近では、海外留学経験のある文系の学生が、地域のバイオマス事業を手がける企業に就職しています。

また、今後のビジネスでは、新たな価値の創出、価値の付加が欠かせません。そこでは、リベラルアーツが力を発揮すると思われます。教養というより、未来を構想する力です。

小嶋氏 私たちの会社でも、これまでと志向の異なる若手人材が増えてきています。

再エネを中心とした分散型社会は、こうした若い方々を巻き込んだビジネスにより実現できると感じています。

『地方豪族企業』の可能性 GAFAとも対抗できる

―優等生的な解答はなく、模索しながら進めることが必要なのですね。

柏木氏 エネルギーは地域にある資源をもとに、その特徴に応じて使っていくことが大切です。また、電力使用データから付加価値が生まれ、サービスイノベーションが起こることに期待していますが、データの見方、活用方法が重要です。

例えばデータ活用で、見守りサービスやライドシェアなど新たなサービスが生まれ、高齢者にとっても住みやすい、安心と楽しさを兼ね備えた持続可能なまちが全国に広がることが期待できます。

小嶋氏 柏木先生のおっしゃる通りだと思います。さらに、再エネのうち、太陽光発電は、太陽が出ている間だけ発電する、変動性のある電源です。安定供給のためにはこれをコントロールする必要があり、リアルタイムにデータを取らなければなりません。そうした点からも、私たちは、BtoCのデマンドレスポンスなど、データ活用に関する取り組みを進めています。

横井氏 データ活用の視点で地方を見ると、大きなアドバンテージを持っているといえます。どの地域でも、地元密着の長い歴史を持つ大手企業があります。こうした『地方豪族企業』が持つデータは、地域の人の生活に関わる鮮度が高い情報ですが、世界の大手IT企業であるGAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)でも集めきれていないものです。

自治体や地方豪族企業が、ベンチャー企業や地方の拠点大学と連携し、バリューチェーンサービスをつくることは、地域にとっても大きな可能性を秘めているのではないでしょうか。

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株式会社Looop 株式会社Looop
戦略本部 経営戦略部
地域新電力担当チーム

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