『社内で紙を再生する技術』環境配慮型オフィスプロジェクト始動(2ページ目)

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『PaperLab(ペーパーラボ)』
PaperLab(ペーパーラボ)
当日は、『PaperLab(ペーパーラボ)』システムを配備した「環境配慮オフィスセンター」の説明もなされた
当日はPaperLab(ペーパーラボ)システムを配備した『環境配慮型オフィスセンター』の説明もなされた

「導入のメリットは2つあります。ひとつめは利便性を犠牲にしたり『紙を消費している』といった心理的な負担なく、循環型オフィスを実現できることです。ペーパーレス化はもはや当たり前の流れではありますが、どうしても紙の利用が必要なシーンはあります。もうひとつは、クローズな環境のなかで機密文書を完全に粉砕し再生紙にできることです。情報漏洩リスクを低減できます」。

このシステム最大の特徴は、一般的な紙の再生に比べ、水の使用量を圧倒的に低減できること。使用済の紙を繊維状まで粉砕するため、紙のリサイクル過程で欠かせないといわれる多量の水が不要であり、環境負荷低減につながるのだ。

同社では2019年1月からPaperLabを活用し、グループ内で『紙資源循環プロジェクト』を展開している。2019年度中には、国内主要8拠点に19台のPaperLabを設置し、社内で使用した紙を集めてサーキュレーションする計画である。

「私たちは、社員一丸となって取り組みを進めています。私たちの活動を通し製品を広く世の中に知らしめるだけでなく、紙を再生するという活動を通じた社会貢献をしていければと思っています」。同社によると、長野の本社での実証実験の結果、2019年7月までにA4紙の43%がPaperLab再生紙に置き換わったという。

都心のオフィスでも導入可能なしくみ

ほかにもプロジェクトの効果はさまざまなものがある。その一つが、障がい者雇用の拡大だ。PaperLabの社内設置とあわせ、再生紙作成、名刺作成サービスを展開することで、特例子会社の障がい者の職域拡大にもつなげている。

2019年7月からは、新宿事業所での活用も開始した。PaperLabは設置場所を選ばないため、都心部のオフィス内でも紙資源のリサイクルができ、どこでも環境型オフィスの実現が可能だということが示されたといえるだろう。

関口氏は取り組みを進める鍵として、「プロジェクトの肝はいかに紙をPaperLabへ集めるかにかかっている」と述べる。そこにはルールとしくみが必要だ。同社では『環境配慮型オフィスセンター』とよばれるしくみを取り入れている。これは、専用の回収ボックスを社内に配し、分別回収するもの。ボックスは鍵で施錠されており、廃棄した段階で個人情報や機密情報なども保護できる。そして、この箱をセンターに持ち込み開錠し、分別・再利用につなげる。

社内での取り組みについて「職場の皆さんに理解を得てルールが浸透するまでは、多少の苦労があります。しかし、社会への貢献や持続可能性への意識がめばえれば、人の行動は変わります。そしてルールさえ浸透すれば、場所を選ばず全国どこでも紙のサーキュレーションができると思います」と関口氏は語る。

なお、自治体、金融機関など大手企業を中心に、PaperLabが導入されているという。

「機密情報の抹消、障がい者の雇用拡大、環境対応と、PaperLab導入の目的はさまざまです。しかし、どんな使い方にしろ、使うこと自体がSDGsへの貢献に直結していることは間違いありません」。このプロジェクトについて「『紙の再生』という同じ志を持つ方々にとって、ハブのような存在になっていければ」とする。

同社のインクジェットプリンターとPaperLabの導入事例は、SDGs経営実践の好例といえるだろう。

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