業務効率と環境保全を両立 エプソンが全社で取り組む施策とは?

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2019年12月5日、6日、7日の3日間、東京ビッグサイトで『エコプロ2019』が開催された。環境への関心の高いビジネスパーソン、行政、自治体、NPOなど、多様なステークホルダーが一堂に集う同展示会に、2008年から『環境ビジョン2050』を掲げ、積極的に環境活動に取り組むエプソンが出展。2019年7月からスタートした『環境配慮型オフィスプロジェクト』について紹介した。

持続可能な社会目指す『エコプロ2019』開催

産業環境管理協会と日本経済新聞社が主催で1999年から毎年開催している『エコプロ』。2019年で21回目を迎え、地球環境課題の解決に向け、数多くの取り組みを紹介してきた。

地球温暖化、気候変動をはじめ、海洋プラスチックごみ問題などが深刻化するなか、脱炭素社会の実現やSDGs、ESGへの取組みが強化され、『サステナブル(持続可能)な社会の実現』が世界共通のテーマとなっている。

今回の『エコプロ2019』では、『持続可能な社会の実現に向けて』をテーマとし、環境問題への対応やSDGsへの取り組みを中心に、さまざまな企画を展開。企業、自治体、NPO、大学など515社・団体が出展し、3日間で約14万7000人の来場者を集めた。

体験型イベントでは、『エコプロエコキッズ探検隊』として小学生対象のツアープログラムも用意され、多くの小学生が展示会を訪れており、全ての世代において、サステナブルな社会への意識が高まっていることが感じられた。

アンケート結果に見る『ペーパーレスの時代と言いつつも…』

環境への取組みが世界的な潮流となる一方で、その実践は簡単ではない。『エコプロ2019』に出展したエプソン販売では、『ビジネスパーソンの職場における環境問題意識・実態調査』※を実施。その結果、『環境意識は高まっているが、職場の約7割が紙の削減に対して、具体的な取り組みには至っていない』という実態がわかった。

調査では、『空調の温度調整による省電力化(49.8%)』『照明調整による省電力化(46.0%)』など空調や照明への取組みが約5割に至っているのに対し、『印刷済裏紙への印刷利用(31.8%)』『コピーやプリントの印刷枚数制限による削減(30.4%)』など、紙の削減に対する取り組みは約3割にとどまった。

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紙の削減に取り組めていない理由としては、およそ半数が『今までの習慣や業務プロセスを変えるのが難しい(48.8%)』と回答。また、紙削減のための『コピーやプリントの印刷枚数制限』の取り組みに対しては、半数以上の53.7%が“業務効率が下がることがある』と回答している。

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※アンケートの調査概要/実施主体 エプソン販売/調査対象 会社員(従業員500人以上)、公務員(CSR関連、SDGs関連、オフィスの環境改善関連、経営企画、オフィス機器調達などの実務、意思決定者)/調査期間 2019年10月31~11月1日/調査方法 インターネット調査

なお、環境配慮への取り組みの目的については『コスト削減(経費削減)をするため(68.4%)』が最も多く、環境への取り組みは、企業の経営に影響を与えるものと認識されていることも推察される。

今回の調査結果に対し、デトロイト トーマツ コンサルティング合同会社の執行役員/パートナーの羽生田慶介氏は、環境配慮が収益性につながり、株価に反映され、さらなる投資を呼び込むという欧州の好循環に触れ、国内の状況について「企業はいま、当期利益に直結するESGアクションを模索しています。この好例が、消費する資源の削減によるコストダウンでしょう。典型はオフィスの『紙』削減です」と指摘し、「『コスト削減と業務効率化を両立せよ』では、オフィスの現場を板挟みにするだけかもしれません。『環境対応を最優先する』『(商習慣を変えずとも)すぐに着手できることから取り組む』とする経営方針こそが、効率的なコスト削減につながり、なりより正しい社内外へのメッセージとなるでしょう」とコメントしている。

『環境配慮型オフィスプロジェクト』が紙の社内循環を実現

乾式オフィス製紙機 PaperLab

乾式オフィス製紙機 PaperLab

難航する紙削減への取り組みに対し、エプソンが提案するのが、『紙』からはじめるオフィスの循環サイクル、『環境配慮型オフィスプロジェクト』。使用済の紙から新たな紙を再生するオフィス製紙機PaperLabと低消費電力、環境性に強みを持つ高速インクジェット複合機/プリンターを組み合わせたソリューションだ。2019年7月には、東京・新宿に環境配慮型オフィスセンターを作り、本格的な取り組みを始めている。

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