規制が進む代替フロン 切り札となる環境に優しい新冷媒技術とは?(2ページ目)

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荏原冷熱システム 冷凍事業部長 林 達也氏
荏原冷熱システム
冷凍機事業部長
林 達也氏

荏原冷熱システム冷凍機事業部長の林 達也氏は「ノンフロン高効率ターボ冷凍機は全体受注の4割を超えており、また更新期にあわせ2台目、3台目の導入もご検討いただくお客様もおり好評です。またターボ冷凍機の国内市場は年約300台が見込まれていますが、SDGs達成やESGへの視点を重視する企業も増加するなか、当社が低GWP化の促進を牽引していく」と強い意志を示した。

ターボ冷凍機では特定フロン(CFC)が冷媒として長く使われてきたが、成層圏でのオゾン層破壊が問題となり、1987年のモントリオール議定書によりHFCへの転換が図られた。さらに同議定書のキガリ改正(2019年発効)により、先進国はHFCの生産量および消費量を段階的に削減し、最終年2036年にCO2換算で85%削減することを義務付けられている。また国内においては2015年4月に『フロン排出抑制法』が施行。低GWP冷媒等への転換を求める『指定製品制度』により、2025年以降、遠心式冷凍機用冷媒のGWPが100以下に規制される。

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低GWP、不燃性、低毒性に加え、エネルギー効率も高い

ノンフロン高効率ターボ冷凍機(RTBA型)の特徴はまず、GWPが1以下という極めて低い新冷媒を採用していること。この新冷媒R1224yd(Z)は発泡剤として建築用断熱材などにも使われている。さらに冷媒には低GWPとともに不燃性、低毒性が求められるが、それらの要件もすべて満たすことで安全・安心な冷凍機を実現した。低圧冷媒であるため高圧ガス保安法の適用外となり取り扱いも容易。更にはエネルギー消費効率(COP)も6.4と高く、さらなるCO2排出削減も期待できる。また、RTBA型は信頼性と実績のある従来機種(RTBF型)の技術をベースに開発されたため、使い勝手がよく、さまざまな用途に対応できる柔軟性を引き継いでいることも強みだ。

荏原冷熱システム 冷凍事業部首都圏営業部長 吉田 和弘氏
荏原冷熱システム
冷凍機事業部首都圏営業部長
吉田 和宏氏

冷凍機事業部首都圏営業部長の吉田 和宏氏は「国内各地の大型冷凍設備を導入している石油化学プラントを中心に、環境負荷の少ないものをというニーズにお応えし、購入をいただいております。なかには2030年までに現在使用している冷媒の8割以上をGWP1以下に抑えようという環境指針を打ち出しているお客様もあります。今後、工場のプロセス用途に続いて、新築ビルや地域冷暖房にも導入が見込まれます」と意欲的だ。



「既設冷凍機に新冷媒を導入できる」レトロフィット技術も開発

RTBA型シリーズはすでに国立競技場、大阪の大正紡績、宮崎県延岡市の旭化成レオナ樹脂・原料工場、AGC(旧旭硝子)千葉工場などで稼働している。

一方、ターボ冷凍機の製品寿命は非常に長く、低GWP冷媒のターボ冷凍機への更新が10年後、20年後になるというケースも多い。特に従来機種RTBF型は2010年に発売、稼働から10年未満の設備が多数にのぼる。同社ではそうしたケースに対応し、同社の既設冷凍機の冷媒を新冷媒R1224yd(Z)に交換するレトロフィット技術のサービスメニューも開発した。

荏原冷熱システム 冷凍事業部営業企画管理部 営業支援・推進課長 久保 勝弘氏
荏原冷熱システム
冷凍機事業部営業企画管理部
営業支援・推進課長
久保 勝弘氏

冷凍機事業部営業企画管理部 営業支援・推進課長の久保 勝弘氏は「昨年(2019年)、レトロフィット技術を販売開始して、半年で10件の引き合いをいただいています。当初は運転時間の長い工場のプロセス用途のターボ冷凍機に焦点を当て、徐々にビル、地域冷暖房などにもサービスを拡大していく計画です。工場の場合には大半がオーバーホールのスケジュールに合わせてレトロフィットを組み込み、冷媒を入れ替えます。開発時には、冷媒により機械の特性も異なるので部品の交換や、潤滑油戻りの確認、さらに耐久試験や省エネ化のためのデータ採りなども入念に行いました。また別メニューで能力を落とさないよう、冷媒を圧縮する圧縮機構成部品を交換するプランも用意しています」と話す。

なお、オーバーホール(約1カ月間)は、通常の点検・保守整備では確認できない密閉箇所を開放分解・点検する予防保全メニュー。レトロフイット(2~3週間)と同時に施工することができる。

林氏は「当社では現在、ノンフロン高効率ターボ冷凍機の受注に注力していますが、低炭素化社会実現に向けて吸収式冷凍機(ガス・油・蒸気)や冷却塔など、幅広くラインナップしております」と述べる。最後に「お客様の工場・施設に最適なプランをご提案差し上げますので、是非ご相談ください」と締めくくった。

【「ノンフロン高効率ターボ冷凍機」「レトロフィット技術」のお問合せ】
お問い合わせ
荏原冷熱システム株式会社 荏原冷熱システム株式会社
〒143-0016
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TEL 03-6384-8080 (代表)
FAX 03-5493-0702


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