2021年度『需給調整市場』の創設 VPPビジネスの商機とは(2ページ目)

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リソースごとに精度の高い制御を実現

同社のRAクラウドサービスは、実証事業で構築してきたシステムをベースにIoT/ICTを活用したエネルギーサービスだ。まず、制御するエネルギーリソースをクラウド上に登録し、RA事業者のエネルギー設備管理システムを通してリソースの設定値、状態、入出力電力、需要の情報を把握する。

RAクラウドサービスの概要
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これらの情報からクラウド上でリソースの制御可能量を算出。DR指令とマッチングし、各リソースに最適な指令値を振り分ける。

指令値には、リソースごとの過去の制御実績を学習したIoT/ICTによる制御誤差を補う補正量も加えられているので、より精度の高い制御が実現できる。

RAクラウドサービスは、実際の需給調整市場の取り引きにおいても、例えば導入が予定される三次調整力(2)取り引きの場合であれば、前日の調整力入札、当日のDR指令に基づく制御実施、その後の実績報告という一連の流れに対応することができる。

こうしたサービスを活用して、どのような事業者が市場に参入することが予測されるのか。「市場のルールで最低入札量が1MW単位と決められているので、自社発電設備や需要家の発電設備から最低1MWの電力量を集められることが市場に参入する条件となります」と同氏。そのうえで、自社工場の発電設備等の余剰分をとりまとめようと考えている製造業、メンテナンス等で遠隔監視システムを利用している発電・蓄電設備メーカー、コンビニ、スーパーなど多店舗を展開する流通業、テナントなど運用するビル管理会社などが対象となる。

「例えばビル、ショッピングモールなどに、常時稼働していない発電設備や蓄電設備を導入している事業者が、余剰電力を調整力として市場に入札すれば、更なるエネルギーコスト削減に貢献することができます」と参入を促す。

再エネ拡大を促すことで、企業価値が向上

電力自由化が進められ、発電の計画値に対し不足する電力量(kWh価値)を取り引きする卸電力市場に加え、電源等の供給力(kW価値)を取り引きする容量市場、需給バランスの変動に対応する調整力(△kW価値+kWh価値)を取り引きする需給調整市場が新たに創設される。なかでも需給調整市場は発電変動の大きい再エネの主力電源化を実現するためには重要な役割を担う。これまでエリアごとに調達されていた調整力が、全国大の需給調整市場より調達されることになる。今後、多くの事業者が需給調達市場に参加することで、市場が活性化し、より安価に調整力を調達できることが期待されている。

「海外の需給調整市場ではサービスが高度化し、対価もどんどん上がっています。事業者の方には、エネルギーコストの削減や新たな収益を得る手段としてだけではなく、将来の事業展開を見越して、今から参入することをお勧めします。今後の事業機会の拡大にもつながり、さらに間接的に再エネ導入の拡大に寄与することで、環境経営の一つとして、自社の企業価値の向上にもつながるからです」。

同社はIoT/ICTを駆使した多くのエネルギーソリューションの提供を通じて多種多様な事業者の課題を解決してきた。「VPPの事業化を目指すお客様も、それぞれ制御の対象となるリソースの状況はまちまちです。当社ではそうしたお客様の状況に対応し、制御の方法や足りないものの調達など、ワンストップソリューションでサポートできる体制が整備されています。コラボレーションをはかり、ぜひ一緒に脱炭素化社会の実現に貢献し、企業価値の向上を目指しましょう」と呼びかける。

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