EVが実現する災害に強いまちづくり

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創業以来、変圧器にはじまり日本の電力供給を様々な形で支えてきたダイヘン。環境やレジリエンスなどの新たな課題にも、独自技術により地域の再エネ自給率の向上と災害時の電力の安定供給を実現する。災害に強く、環境に優しいまちづくりを支援する同社のソリューションとは…

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災害・平時でも汎用性の高い電力ソリューションを提供「V2X」

1919年に創業し、2019年で100周年を迎えたダイヘン。〈電力機器分野〉〈溶接・メカトロ分野〉〈半導体分野〉の3事業をメインに、新たな分野としてAI搬送ロボットや車用のワイヤレス給電システムなど〈新技術開発分野〉にも力を入れる。

大正時代から様々な製品で日本の電力供給を支えてきたが、4年ほど前から同社の持つ製品や技術を1つに組み合わせ、ダイヘンの総合力でソリューションを提供する取り組みを開始した。

上田 太朗氏 エネルギーソリューション部長
上田 太朗氏
エネルギーソリューション部長

エネルギーソリューション部長の上田太朗氏は、「脱炭素社会の実現やレジリエンス強化などの社会的課題に応えていくことが我々の狙いです。EVや蓄電池を使って、平常時だけでなく非常時にも再エネを最大限に活用していくことが必要であると考えています」と話す。

再エネ活用の最大化とEVの普及は国としても推進しているが、ダイヘンではEVが非常時にも役立つことを訴求できる製品として『V2X(Vehicle-to-Everything)』システムを提案する。

図1 災害時・平時の両方で活用できるV2Xシステム
図1 災害時・平時の両方で活用できるV2Xシステム
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『V2X』システムとは、避難所などで、移動電源として利用価値の高いEVと蓄電池や太陽光発電設備をパッケージングしたシステム。同社のシステムでは、非常時にはEV/PHEVや定置用蓄電池、太陽光発電を使い、安定電源として重要度の高い装置に電力を送る。平常時には、急速充電ステーションとして活用するだけでなく、EVやPHEVの給電に起因する電力やその他の電力ピークの抑制もでき、電気料金の抑制が可能となる。

また、平常時と非常時の判別と切り替え両方が自動的に行われる。このように非常時、平常時の両方で活用できるシステムだ。

『V2H』や非常用発電機の課題を克服

EVを活用した避難所における電源の確保では『V2H(Vehicle to Home)』がある。ダイヘンの『V2X』システムとの大きな違いは、『V2H』が単相負荷(家庭用の照明やエアコン、コンセントなど)以外へは電力供給できないのに対し、ダイヘンの『V2X』システムは三相負荷へ電力を供給できること。『V2H』では動かすことのできない、災害時に避難所で使用頻度が高い、業務用エアコン、非常用エレベーター、給排水ポンプなどを利用することができるのは、現在、国内で同社だけだという。

自治体や各施設では非常用発電機を整備している所も多い。しかし、非常用発電機による避難所での電力供給には大きく4つの課題がある。(1)非常用発電燃料の備蓄に限りがあり、十分な電力供給が行えない。(2)発電機の音がうるさく、夜間に動かすことができない。(3)燃料が危険物であるため給油に有資格者が必要となるが、災害時に専門人員の確保が難しい。(4)高い設備投資をしても非常時にしか使わず、ほとんど稼働しない。さらに、設備維持費がかかる。

ダイヘンの『V2X』システムは、最大5台までEVを同時につなぐことができる。システムの定置蓄電池に加え安価な蓄電池であるEVを活用することで、制限なく長時間の電力供給が可能となり、太陽光発電も組み合わせれば、非常時にも脱炭素化が図れると同時に、供給時間がさらに向上する。低騒音で夜間でも電力供給が可能なほか、非常時だけでなく、平常時にも活用することができ、設備の有効活用が可能だ。

同社のシステムは既に自治体や工場、避難所となるスポーツジムなどに導入されており、着実に実績を積み重ねている。

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