第4回 ブランディングの実践 ①内部分析

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これからの時代、企業にはブランディングが欠かせません。販売やマーケティングだけではなく、リクルーティングや資金調達といった経営課題の解決の糸口になることもあります。今回はブランディングの具体的な実践方法について解説する、大人気集中連載第4回。期間限定 特別無料公開中! これまでの連載はこちら

ブランディング戦略の手法や活動方法

今回はブランディングのやり方や手順について、その具体的な内容をご紹介していきます。ブランディングの手法には様々な種類がありますが、今回は主にそのプロセスで用いるブランディング戦略の構築法や使用するフレームワークの種類、そして、活動の仕方についてご紹介します。

ブランディング戦略を構築する上で重要なのは、その企業や商品の本質を見抜き、ブランドとして形作っていくことです。そして、その実現のために行うのが、企業や商品に対する内部分析と外部分析です。今回はそのうち「内部分析」について解説していきます。

3C分析を応用し、自社の本質を発見する

ブランディングを進めていくための最初のフェイズでは、とことん自社を見つめ直していきます。経営トップの考えやこれまでの会社の歴史についてヒアリングしていくのが一般的です。ブランド価値とは、その企業を知らない人物から見ても魅力的でなければいけません。なので、こうしたインタビューの時点でブランディングの専門家の助けを借りて、どのようなヒアリングを行うべきか設計し、実行していくのがよいでしょう。外部の視点で行われたインタビューの結果からも、自社では気づいていない強みや独自性、その企業ならではオリジナリティが見えてくることがあります。

初期のインタビューで大まかに企業の輪郭や特徴を掴んだ後は、ブランディングを行うプロジェクトチームなどを中心にワークショップを行います。ここで行うのが、3Cフレームを活用して、競争優位性や自社の強みを発見することです。3Cとは「Customer(市場・顧客)、Competitor(競合)、Company(自社)」の頭文字をとった言葉で、自社のポジションや優位性を見出す際に利用される分析フレームです。

内部分析はブランディングにおける重要なポイントです。ここで使用する3C分析は、分析が狙いではなく、そこから企業の独自性を見出すことが目的です。そこで形式的に3Cの要素を羅列するのではなく、微細なこと、自分たちでは“当たり前“と思っていること、ちょっとしたこだわりや習慣(企業文化)までテーブルに上げることが重要です。特に中小企業の場合は、形式的に3C分析を行なってしまうと同規模の企業やさらに上位企業との差異が見えづらくなりがちです。それでは、意味をなさず間違えると「自社には、やはり強みなんてないんだ」と自信喪失してしまう結果にもなりかねません。その企業がこれまで存続できている理由は、お客様に選ばれてきたからこそ。では、なぜお客様は競合ではなく自社を選んでいるのか?僅かなサービスの違いや届け方の違い(営業のサポートなど)などにも目を配り、自社に内在した価値を見つける。それが、企業の強みやらしさを明確にする上で大切なのです。

見えてきた独自性を、未来の視点から検証する

3C分析を利用して、自社の独自性や優位性が見えてきたら、改めて、その優位性が実際に機能しているのかを検証してみましょう。営業などお客様に最も近い社員と意見交換をしてみたり、関係が深く意見を引き出しやすいお客様にヒアリングの機会をもらってみたりするのも良いでしょう。優位性と言っても単体で機能するものは少なく、“ある商品特性の、この価格帯の中で「●●●」な優位性があるから選ばれている”など、より細かな市場セグメントの中で価値を発揮していたり、お客様サイドの理念や強みと共鳴し合っていたり、合致点が高いために機能しているケースがあります。そのため、この確認の仕方にも工夫が必要です。

こうしたプロセスを経て、確認しさらに磨き込んだ優位性を、一旦は、現在の企業の優位性や価値として置いてみましょう。

その上で、この優位性や価値が、これからの社会の変化に照らし合わせても有効なのか、企業が目指す方向に合っているのかなどを検証していきます。そこでは、今後の市場環境などの外部環境の分析も必要になってきます。次回は、その代表的な方法をご紹介していきます。

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