第1回 いま、中小企業こそブランディングを!
ブランディングをはじめよう
「ブランディングなんて中小企業やBtoB企業が取り組む価値があるのか?」その様に考えている経営者は多いのではないでしょうか。一方で、ブランディングを行うことで様々な経営課題を“ある程度、解決できる“のでは、と捉えている経営者もいらっしゃいます。それほど、ブランディングとは漠然としていて姿形の見えづらいものなのです。
これは私が長年、企業ブランドの策定やブランディング戦略の立案からクリエイティブの制作までブランド構築の実務を行うコンサルタントとして活動する中で感じてきたことです。
申し遅れました。私、企業ブランドの策定やブランディング戦略の立案から、クリエイティブの制作といった、ブランド構築から発信までのあらゆるフェイズでの実務を行うコンサルタントとして活動している株式会社カラビナの戸部二実と申します。
私たちのクライアントは主に中小企業やベンチャー、そしてBtoB企業のみなさまです。その共通点は、“宣伝・広報の専門部署やノウハウがないこと”そして“自社や製品を外に向かって発信するための経験や解を持っていない”という2点です。
クライアントの皆様は、懸命にビジネスに向き合い、そのサービスや製品には確かな強みがある。けれども、「自社が何者か」「誰のために貢献できるのか」を上手に伝えられないために、価格競争に巻き込まれたり、本来出会うべき優良顧客や事業パートナー、さらには優秀な人材に出会えていないといった“もったいない状態”なのです。
そんな状況だからこそ、ブランディングに真剣に取り組むことで課題が少しクリアされるはず。そんな思いから、連載をスタートさせていただくことになりました。経営者や社員の皆さんが自らの価値を見出し、独自のポジションを獲得するために、ブランド開発の方法をご紹介していきたいと思います。
そもそもブランディングってなんぞや?
まず、多くの方を道に迷わせているのが「ブランディング」という言葉の定義です。英語にすると「Brand+ing」。単純に訳せばブランドする=ブランドを定義し浸透させること、と捉えると良いと思います。
また、ブランドとは、元々は自社製品と他社とを区別するマークが起源。かつては、自分の牧場の牛と隣の牧場の牛を見分けるための焼ごてがブランドの始まりでした。それが発展して、現在では「自分たちらしさ」や「他にない強み」といった抽象的な概念までを含むものになっています。
単一の商品だとわかりやすいですが、これが企業となるとちょっと難解です。企業という集合体で捉えるブランド=企業ブランドとは、その企業のサービスや商品、社員がもたらす顧客体験や価値観などをひっくるめた大まかな企業イメージということができます。
有名企業で例えてみますと、航空大手J社とA社との違いをイメージしてみてください。ほぼ同じサービスをほぼ同一の価格帯で提供する2社。同じ条件なら、あなたはどちらの便に搭乗するでしょうか。答えに詰まる方もいらっしゃるかもしれません。
「その時の都合の合う便」「たまたま」と答える方もいる一方で、「J社の方が好きだ」「A社の方が温かみがある」などと感じている方もいらっしゃるでしょう。実は、ブランディングとは「どちらが良いか」を競うものではなくて「どれが自分に合うのか」「この条件なら、こちら」などとお客様サイドの選択を楽にするものでもあるのです。
つまりブランディングを行うことで、その商品やサービスを求めるユーザー(顧客)やステークホルダーとの関係がよくなりファン化が進むのです。ユーザーとのロイヤリティ、日本語で言う「絆」が強まり確かな顧客基盤が築けるようになるのです。そんなメリットがある一方で、自社の実力や本質にあったブランディングを行わないと、間違ったユーザーを惹きつけアンチファンを作ってしまうと言うリスクもあるのです。この件についても、後ほど詳しく解説していきます。
さて、次回も基本的な理解のために、混同されがちな「ブランディング」と「マーケティング」の違いについて、お話しさせていただきます。
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