お役立ちコラム 「太陽光PPA」の基礎
PPAモデルとは
「Power Purchase Agreement(電力販売契約)モデル」の略称で、電気を利用者に売る電力事業者(PPA事業者)と、需要家(電力の使用者)との間で結ぶ「電力販売契約」のこと。
このモデルでは、電力の需要家がPPA事業者に敷地や屋根などのスペースを提供し、PPA事業者が太陽光発電システムなどの発電設備の無償設置と運用・保守を行う。また同時に、PPA事業者は発電した電力の自家消費量を検針・請求し、需要家側はその電気料金を支払う。
PPAモデルのメリット
PPAモデルのメリットとしては、以下のようなものが挙げられる。
●初期費用が不要
太陽光発電システムの設置費用は、PPA事業者が負担するケースが一般的である。そのため、初期費用がかからず太陽光発電システムを導入できる。
●電力使用にかかる費用を削減できる 太陽光発電システムで発電した電気を自家消費する場合、「再エネ賦課金」と、使用する電力量に応じて計算され加算される「燃料費調整額」がかからない。
※いずれも「オンサイトPPA」においてのみ
●メンテナンスはPPA事業者が実施
導入後のメンテナンスをPPA事業者側が行うため、事業者は契約期間中、太陽光発電システムのメンテナンスや修理の必要がない。
●BCP対策になる
自立運転機能を活用することで、停電時など災害対策電源として活用することができる。
※「自立運転機能が搭載されたパワーコンディショナー」か「蓄電池システム」を設置する必要がある
●CO2排出量の削減
太陽光発電による電力は環境負荷が少ないと見なされるため、CO2削減価値として利用することができる。
2つのPPAモデル
PPAモデルには「オンサイトPPA」と「オフサイトPPA」の2つのモデルがある。それぞれの特長は以下のようなものが挙げられる。
●オンサイトPPA
- 需要家企業の敷地内の、とくに工場施設の屋根や遊休地に太陽光発電設備を設置して運用するモデル。
- 発電した電力はそのまま自家消費されるため、託送料(送電にかかる費用)がかからない。
- 20年などの長期契約になるケースがほとんど。
- 日本において主流となっている。
●オフサイトPPA
- 需要家企業の敷地外に太陽光発電設備を設置して運用するモデル。ほとんどが遠隔地に設置される。
- 発電した電力は送配電線を介して需要家設備へ送電するため、託送料を需要家が負担する。
- 敷地外に設置するため、大規模な設備の設置が可能。
- 再エネ普及の一手として期待されている。
それぞれ様々な特徴がある。
「保守点検は事業者に委託でき、利用開始のハードルが低いため始めやすいオンサイトPPA」
「敷地内に場所を確保する必要がなく、大規模な量の発電が可能なオフサイトPPA」
このように、自社の電力使用状況がどのようなものか、これからどうしていきたいのかなど、そうした展望に合わせて検討することが重要だ。
PPA事業者を選ぶ際のポイント
上記の特長にもあるように、基本的には長期間の運用となるモデルである。事業者選びの際には特に下記のポイントを意識してみるのがいいだろう。
●事業継続性
20年以上という長期間の運用が一般的なので、その期間、問題なく事業を継続できる事業者であるか。
●フォロー体制
運用においては定期的なメンテナンスが必要不可欠なほか、設備の故障や急な不具合など、予期せぬトラブルが発生する。その際に、どのようなフォローができる事業者なのか。
●提案内容
自社の意向に沿った提案やシミュレーションを行える事業者かどうか。
まとめ
自社の目的や展望を改めて整理し、信頼できる事業者を見つけることが、太陽光PPAによる脱炭素経営を成功に導く秘訣といえる。情報収集の一環として、実際に事業者に相談をしてみるのもいいだろう。より具体的で、詳しい情報が得られるはずだ。
環境ビジネスオンライン用語集を基に作成