ESG経営とコスト削減を飛躍的に向上させるエプソンの秘策とは

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ESGやSDGsへの取り組みを中心に、サステナブル経営の重要性が増している。2022年5月に創業80周年を迎えたセイコーエプソンは、社会、地球における同社の存在意義を改めて見直し、グループのパーパスを制定。サステナブル経営に大きく舵を切っている。これからのオフィスの在り方、印刷と環境、GXなどについて、ESGやSDGsなどを専門とする日本総研の大森充氏とエプソン販売の子田吉之氏に対談していただいた。
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▲「生産性向上と脱炭素、コスト削減を一気に実現できるエプソンからの提案」
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創立80周年を機に、パーパスを制定

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エプソンのパーパス『〈省・小・精〉から生み出す価値で人と地球を豊かに彩る』の概念図
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株式会社日本総合研究所
リサーチ・コンサルティング部門
サステナブル・ストラテジー&オペレーショングループ
シニアマネジャー/上席主任研究員
大森 充氏

大森氏:気候変動等の社会課題が顕在化する中、企業経営においてサステナビリティが求められる傾向が強くなっています。経済価値だけでなく、環境や社会価値の追求が必要となる中、何のために会社を経営していくかを考え直す企業も増えてきました。

子田氏:2022年5月に創立80周年を迎え、エプソンならではの存在意義と志を社内外に示すエプソングループのパーパスを、 同9月に制定しました。『〈省・小・精〉から生み出す価値で人と地球を豊かに彩る』というパーパスの下、創業以来の〈省・小・精〉の技術をベースに顧客価値を生み出し、地球環境問題をはじめさまざまな社会課題の克服に挑戦し、人と地球が豊かに彩られる未来を実現していきたいと考えています。

またエプソンでは、持続可能でこころ豊かな社会を実現するために、『環境ビジョン2050』を制定。2021年に改訂した最新のビジョンでは、2050年に“カーボンマイナス”および“地下資源※1消費ゼロ”という高い目標を掲げています。

※1 原油、金属などの枯渇性資源

大森氏:エプソンとしてこれからの指針を示すため、パーパスを定めたことは素晴らしいと感じます。工業時代の終焉と新資本主義と言われるデジタル時代の黎明期との端境期において、エプソンの存在意義を改めて考えなおしたことは大きな意味を持ちます。また、脱炭素宣言に留まらず、グリーンボンドを発行する、環境ビジョン2050にて“カーボンマイナス”を掲げる、等はとても意欲的であり、実が伴った取組として感じています。脱炭素化はとてもハードな目標ですが、挑戦することが重要です。

今のエプソンの姿勢は高く評価できますし、こうした企業が増えれば未来は明るいかと思います。

レーザー方式からインクジェット方式に変えるだけでCO₂排出量を約47%以上(※2)削減

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エプソン販売株式会社 販売推進本部
DX推進部(グリーンモデル推進)
部長
子田 吉之氏

大森氏:近年、企業に対してサステナブル経営を要求する動きが加速しています。企業価値を評価する場合においても、経済だけでなく、社会価値や環境価値も重視される時代になってきました。

一方、経営者サイドでは、経済・環境・社会の合理性を確保しながら、ゴーイングコンサーンを目指さなければならないという悩みもあると思います。

子田氏:確かにその動きは実感しています。特に環境面での変化を顕著に感じています。我々にも『取引先から脱炭素の要請を受けているが、どうやって取組めばよいかわからない』『脱炭素に取組みながらエネルギーコストも下げたい』とご相談にいらっしゃる経営者の方もおられます。そのようなお悩みに対して、当社では速効性のある脱炭素施策として、レーザープリンターからインクジェット複合機「エプソンのスマートチャージ」への置き換えをご提案しています。

エプソンのスマートチャージは、印字プロセスに熱を使わずインクを吐出することができるHeat-Free Technologyを採用しているため、レーザー方式より電力消費が少なく、プリンター本体を温める必要がないため、稼働時間の短縮および消費電力の削減にも貢献します。

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インクジェットプリンターへの置き換えによる環境貢献

参考)■グラフはセイコーエプソンの国内全事業所のデータ : 2014年3Qのレーザープリンター623台、インクジェットプリンター375台から、2019年4Qまでにレーザープリンター67台、
  インクジェットプリンター960台に順次切替え
(注1)14年度下期~15年度上期と19年度上期~下期の1年分の消費電力量比較。各製品カテゴリ毎に、社内代表機種のTEC値を利用し算出。
   電力量削減効果にはレーザープリンターを低消費電力のインクジェットプリンターに置き換えた効果が含まれます。(セイコーエプソン調べ)
(注2)14年度下期~15年度上期と19年度上期~下期の1年分の比較。各製品カテゴリ毎に、社内代表機種の消耗品(定期交換部品含む)の各個装箱寸法を利用し算出しています。

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エプソンのスマートチャージは印字プロセスに熱を使わないため、立ち上がり時間が短く、1枚目の印刷が速い

さらに、ファーストプリントが速く安定した高速印刷が可能です。加えてシンプルな構造で、定期交換部品も少なくメンテナンスもしやすい特徴があります。

一般的なレーザープリンターをエプソンのスマートチャージに置き換えると約47%以上、最新機種の<LM>シリーズでは、約62-66%のCO₂排出量を削減できる※2というデータもあります。

※2 エプソンのスマートチャージ対応A3複合機各機種のTEC値とENERGY STAR®画像機器基準Version3.0にて定められたTEC基準値で比較した場合の削減比率。(〈LX〉シリーズは60ppm機、〈LM〉シリーズは40ppm機、〈PX〉シリーズは24ppm機のTEC基準値と比較)(https://www.epson.jp/products/bizprinter/smartcharge/ecology/)

導入された企業様からは、『オフィスの脱炭素とエネルギーコスト削減が同時にできた』『本当にプリンターを変えるだけでコスト削減ができるなんて驚き』といった言葉をいただいております。

さらに、オフィス全体の出力環境を見直したいお客様には、『出力環境アセスメントサービス』を無償で提供しています。これは、お使いの複合機やプリンターなどの出力機器からデータを収集し、分析・レポートを作成することで、各機種の出力枚数、カラー比率、電力消費量などの把握はもちろんのこと、機器導入日からの経過状況、出力機器を入れ替えた場合のコストシミュレーションも行い、最適な出力環境をご提案するものです。

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レーザープリンタからエプソンのスマートチャージに変えた場合の環境性能

(注1)削減電力量の算出方法:ENERGY STAR®画像機器基準Version3.0にて定められた60ppm機のTEC基準値と、同基準の測定方法に基づきエプソンで算出したLX-10050MFのTEC値との差を算出。
(注2)CO₂排出量は、環境省の「算定・報告・公表制度における算定方法・排出係数一覧」に掲載の算定方法(電気使用量×単位使用量当たりの排出量)を用い、「令和3年提出用」に掲載の係数(代替値0.000470t-CO₂/kWh)を使用し算出。
(注3)杉の木のCO₂吸収量は、林野庁の2015年2月公開資料に基づき、杉1本あたり8.8kg-CO₂に換算。

大森氏:エプソンは製造業のイメージが強かったですが、最近では『環境配慮型オフィス』をソリューションとして提案することもされていますね。

子田氏:はい、コロナ禍においてリモートワークが増えるにつれ、オフィスの役割も大きく変わってきました。そこで当社では、改めてオフィスの役割、意味などを見直す必要があると考え、プリンターメーカーでありながらも、自ら電子化&ペーパーレス化の取り組みを推進しました。これまで社内で当たり前のように印刷されていた全ての帳票を見直した結果、これまで印刷していた1255帳票のうち、約240帳票は即時廃止、約530帳票は廃止の継続検討と電子ワークフローへの移行に取り組みました。

今ではこの取組みで得た知見、ノウハウを生かし、ペーパーレスによるワークスタイル変革と環境対応を両立するエプソンならではの解決策の提案も行っています。ペーパーレスを進めても、紙を必要とする業務や帳票は残ります。どうしても印刷が必要なものについては消費電力の低いインクジェット複合機でプリントアウトを行う。さらに使い終わった紙は、乾式オフィス製紙機『PaperLab』で紙を再生させて、再びその紙を使って印刷する、といった紙資源を循環させる新しいオフィスの提案も行っています。ちなみに『PaperLab』は、使い終わった紙を、水をほぼ使わず再生できる機械です。本来、紙は大量の水を使って作りますので『PaperLab』を用いて再生することで水の使用量を大幅に減らすことができます。また、使い終わった紙を原料にしているという点で木材資源の節約に繋がり、それによってCO₂削減にも貢献できます。

大森氏:ペーパーレス推進が重要と認識しつつも、必要に応じて紙を出力したいと思う時はあります。実際、教育において、記憶定着には紙学習の効果が高いとも言われていますが、世界全体が脱炭素化やゼロエミッションを目指す中、「紙を出力できる」という選択肢を次の世代に残すことは重要と思います。

これから先、エシカル消費が伸びていくことが予想されますが、必要に応じて“無理なく印刷できる”環境を作っていくこともエプソンの使命の1つと思います。先日、新たなコンセプトを発表された『PaperLab』は、それを具現化する良い例と思います。

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自社のオフィスで再生紙が作れる乾式オフィス製紙機『PaperLab』

イノベーションのジレンマを克服

大森氏:企業の経営としては、外部環境の変化に伴って進化していくことが必要です。紙屋が永久に“紙を大量に使ってください”と言っていたのでは、自然淘汰は必至です。コミュニケーション手段として紙が主であった時代からデジタルに転換している現代において、エプソン自らがペーパーレスを推進することは、イノベーションのジレンマを越えていこうとしているとも捉えることができます。

子田氏:そもそも紙に固執した働き方を変える。紙を製造するのにCO₂も排出していますから、紙を減らすことで脱炭素に繋げる。また、出力を減らすことで消費電力の削減も実現できます。ペーパーレス化の推進は、働き方改革、環境貢献に繋がる取り組みです。もちろん、プリンターメーカーとしては自己否定でもありますので、社内に反対の声は多くありました。ただ、我々は1942年の長野県での創業以来、諏訪湖を汚さないという“自然との共生”を礎としてきましたので、そうしたDNAが、イノベーションのジレンマを乗り越える源泉となったのかと思います。

印刷できる環境を残し、育むという使命

大森氏:エプソンと言えば、誰もが知る日本の大企業であり、高度経済成長期を作ってきた日本有数の企業です。そうした企業が次の時代へ向けて、GXやDXといった会社変革を実現していくということは日本経済にとって勇気と希望を与えてくれていると思います。

SDGsは持続可能な社会を目指し、後世にどれだけ選択肢を残してあげられるかの2030年までの到達目標です。その意味では、未来の子供たちが印刷した紙に塗り絵をして遊んだり、プリントを使って勉強したりできる楽しさを味わえるという選択肢を残してあげてほしいと思います。そのためにも、エプソンによるサステナブル経営の推進には期待をしています。

子田氏:モノづくり企業として自社の存在価値を突き詰めつつ、脱炭素化やサステナビリティを実現していくのが、我々の使命です。我々の作ったモノがお客様のもとでどのように使われ、どのように社会の役に立っていくのかまでを考えていく会社になっていかなければならないと思います。

その過程の中では、エプソンだけでできることと、エプソンだけではできないことがあると思いますので、環境に取り組むさまざまな企業とも連携し、困りごとを持っているお客様に寄り添う活動を、これからも続けていきます。

エプソンだけでなく、パートナー企業やお客様と一緒になって、脱炭素社会を実現していきたいと思います。

エプソン販売では、環境経営を目指す企業に対して、客観的な立場から取り組むべき課題と優先順位を可視化し、企業のサステナブルな経営を支援する『環境とDXに関するアセスメントサービス』を実施している。

エプソンが脱炭素経営に向けた第一歩を支援

エプソン販売では、環境経営を目指す企業に対して、客観的な立場から取り組むべき課題と優先順位を可視化し、企業のサステナブルな経営を支援する『環境とDXに関するアセスメントサービス』を実施している。


「何から取り組めばよいかわからない」とお悩みの方は、エプソンのHPを要チェック。

URL:https://www.epson.jp/b_solution/office/workplace_assessment/

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エプソン販売株式会社 エプソン販売株式会社
https://www.epson.jp/

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