社員が感じた東レの本気 約2万人の社員に向けた脱炭素教育

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脱炭素に関する単語をビジネスの視点から理解するための動画・テストを提供する「脱炭素ビジネステスト」。東レは本体・国内グループ会社の役員・従業員約2万人に対して本サービスを導入した。このプロジェクトを推進した目的、導入後の反響などについて責任者に話を聞いた。

東レ 地球環境事業戦略推進室長 梁井 秀規氏、マーケティング部門 環境ソリューション室長 勅使川原 ゆりこ氏
(右から)東レ 地球環境事業戦略推進室長 梁井 秀規氏、
マーケティング部門 環境ソリューション室長 勅使川原 ゆりこ氏

「脱炭素」は全社員に必須の知識に

――担当領域、業務内容について教えてください。

梁井 秀規氏(以降、梁井):私は地球環境事業戦略推進室で室長を担当しています。この部署は、2009年に、東レグループの地球環境事業戦略の全社的な企画・立案と事業化の推進・支援を目的とする社長直轄組織として設立されました。

環境領域は動きが早く、絶えず変化をしていくため、組織間を横断して、全社的に対応するために動いています。

勅使川原 ゆりこ氏(以降、勅使川原):私は環境ソリューション室で室長を担当しています。環境ソリューション室は、マーケティング部門の中に2022年に新設された部署で、サーキュラーエコノミー(循環型経済、CE)を全社軸で推進する組織です。各事業本部や研究技術と連携して、CE事業拡大に向けサプライチェーン構築等を行っています。

――脱炭素領域の社員教育を強化されている背景について教えてください。

梁井:当社が地球規模の課題に取り組んでいることは、2018年に公表した「東レグループ サステナビリティ・ビジョン」など継続的に社員に発信してきました。ですがいよいよ世の中の機運が高まり、取引先からのニーズとしても環境に関することが増え、営業・開発など現場全社員にも必須の知識になってきました。

まずは全社として取り組んでいく意義を理解してもらい、その土壌をつくることを目指しています。そのために、いろいろなコンテンツの発信を行い始めています。

東レグループ サステナビリティ・ビジョン 2050年に向け東レグループが目指す世界と取り組む課題
東レグループ サステナビリティ・ビジョン
2050年に向け東レグループが目指す世界と取り組む課題

勅使川原:反省すべき点ですが、私自身、この役割になるまで理解が浅い領域でした。現部署に異動し、日常業務を行っている中で、正しく理解できていない、と気づく場面が多々ありました。

現場に質問すると単語は何となく知っているが、それが何なのか説明することができない社員いる、とか、役員が工場での説明会を実施した際、質疑応答で、脱炭素に関する知識不足により、正しい文脈ではない質問が出てきてしまう、という声も聞こえてきました。化学メーカーの社員として、危機感を感じ、自戒も込めて、早急に理解度の底上げをしないといけないと動き始めました。

梁井:海外の売上も上がっているなかで、グローバルではより環境への取組みが重要になってきています。知識があれば視点も変わってくるはずです。環境領域の言葉を、社員にとって常識にしていきたいですね。

「脱炭素ビジネステスト」を選んだ決め手とは?

――「脱炭素ビジネステスト」を選ばれた理由は何ですか。

梁井:この領域では独特な言葉が使われることが多く、馴染みがないため理解がしづらいです。また正確に定義を理解するのが難しいものもあります。今回、まずは用語や概念の理解から始めようとしました。

今までも社内報などでの継続的な発信はしています。ですが、コンテンツの数を増やすことや、その正確性を考えると、社内で作成するにはマンパワーがかかりすぎます。

また環境関連は常に新しくなっていくため普遍的なものでありつつ、更新性も持たせていきたいと考えていました。

そこで、出版社である日本ビジネス出版さんの「脱炭素ビジネステスト」を選びました。環境ビジネスに特化した雑誌、メディアを運営されているため、他のメディアと違い、常に新しく正確な情報を持たれているのが強みだと感じています。

勅使川原:地球環境事業戦略推進室が「脱炭素ビジネステスト」の導入を進めていることを聞き、私たちも参加し、全社的に取り組もうということになりました。工場や経営企画室など、各部署からの声もあがっていましたのでタイミングがよかったです。

全社員で取り組むことができるこのテストを導入することで、何のために取り組んでいるのかを社員に理解してもらい、全社をあげての機運をつくりたいと考えています。

この重要性を理解していないと、周りで話されていることの意味も分かりませんので、例えば、営業が顧客のニーズを的確に捉えきれない、ということにもつながってしまいます。

――導入された後の反響はどうですか。

勅使川原:アンケートをとっていますが、平均満足度が5点満点中4.2点以上と、高水準を出せています。「会社が本気で取り組もうとしていることを感じられた」「ぼんやりと覚えていた用語について改めて正しく認識できた」という感想があり、狙い通りかと考えています。

これらのアンケート結果は社内の反応や理解度も知ることができ、今後の施策の参考にもなっています。

現在、導入して1カ月ほど経ちましたが、1万人はテストの実施をしています。残り1万人の受講も推進をしていきます。

梁井:社内ではもちろん最前線のことを実践している部署もありますが、目的は全社員の底上げです。社員から「これでは物足りない」と言われることが、まず最初のゴールになると思っています。

――今後の展開について。

梁井:実際にテストを展開してみて、会社メールアドレスを保有しない工場の従業員や、聴覚障がいのある方への配慮不足など様々な課題も出てきましたが、それは日本ビジネス出版さんと解決をしていきました。今後は講義・テストを英訳して、海外のグループ会社への展開も行っていきます。東レグループ内セミナーで取り組みを紹介したところ、海外展開を待ち望む声が返ってきました。新入社員、中途社員と毎年人は増えますので、継続していきたいと考えています。

また、顧客から「環境領域について困っていて、教えてほしい」との声も現場から出てきています。社会はもちろん、顧客に対してのニーズにも応えていけるように、東レのビジョン実現を目指してまいります。

 

脱炭素に関する基礎知識を全社的に向上するために、東レさんが活用したのは……
脱炭素ビジネステストでした。

脱炭素ビジネステスト 概要

脱炭素ビジネステストは、「脱炭素」「カーボンニュートラル」「GX(グリーントランスフォーメーション)」に関わる人材育成に欠かせない基礎知識の学習と理解度の確認をワンストップで提供します。

環境経営、国際イニシアティブ、エネルギー、産業、家庭・ライフスタイル、組織・ルールなど、広範な知識を求められるビジネスパーソンのために必要な知識を体系化。

1本15分で手軽に学習できる独自の解説動画と、学習効果の確認検証を可能にするテスト機能(トレーニング問題、試験問題)で、会社、部署、チーム全体の脱炭素、カーボンニュートラル、GXの基礎知識の底上げを実現します。

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脱炭素ビジネスライブラリー

株式会社日本ビジネス出版
脱炭素ビジネスライブラリー事務局
Tel:03-5287-8600
E-mail:seminar@kankyo-business.jp
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