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最終更新日:2026年09月17日

非化石証書

環境ビジネス編集部
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非化石証書とは、化石燃料を使用せずに発電された電気が持つCO2を排出しない環境価値を、電気そのもの(kWh)から切り離して証書化したものである。

経済産業省および資源エネルギー庁が管轄し、主に日本卸電力取引所(JEPX)の非化石価値取引市場で売買される。企業の温対法報告や国際的な気候変動イニシアチブへの対応手段として広く活用されている。

3つの証書区分と取引市場の体系

非化石証書は、由来する発電設備の制度や電源種別によって「FIT非化石証書(再エネ指定あり)」「非FIT非化石証書(再エネ指定あり)」「非FIT非化石証書(再エネ指定なし)」の3区分に分類される。売上金が再エネ賦課金の国民負担軽減に充当されるFIT由来の証書に対し、非FIT由来の証書には大型水力やFIP、卒FIT電源のほか、原子力発電など再エネ以外の低炭素電源が含まれる。

取引の場は2021年11月の市場再編により、FIT非化石証書を扱う「再エネ価値取引市場」と、非FIT非化石証書を扱う「高度化法義務達成市場」の2つに整理された。前者は小売電気事業者だけでなく需要家企業や仲介業者も直接市場に入札して購入できる仕組みとなっており、後者はエネルギー供給構造高度化法の義務達成を目的とする小売電気事業者のみが参加できる。

証書区分 主な電源種別 取引市場 需要家の直接調達
FIT非化石証書(再エネ指定あり) FIT対象の太陽光、風力、小水力、バイオマスなど 再エネ価値取引市場 可能(マルチプライス方式)
非FIT非化石証書(再エネ指定あり) 大型水力、FIP認定設備、卒FIT再エネなど 高度化法義務達成市場 不可(小売電気事業者経由で調達)
非FIT非化石証書(再エネ指定なし) 原子力、廃棄物発電のプラスチック相当分など 高度化法義務達成市場 不可(小売電気事業者経由で調達)

カーボンクレジット、J-クレジットと非化石証書の違い

J-クレジットはCO2の「削減量・吸収量(t-CO2)」を証明しますが、非化石証書は非化石電源で発電された「電気の属性(kWh)」を証明するもの、という違いがある。また、J-クレジットは森林保全や省エネなども対象に含み転売できるが、非化石証書は発電時の環境価値に限定され、用途や再販に制限がある。

なおカーボンクレジットという大きな括り(総称)の中に、日本政府が認証するJ-クレジット制度や海外・民間の各種クレジットが含まれる。非化石証書はここに含まれない。

算定報告や国際イニシアチブにおける実務上の位置づけ

企業が非化石証書を調達する主たる動機は、Scope 2(電力消費に伴う間接排出)の算定・控除である。地球温暖化対策推進法(温対法)に基づく算定・報告・公表制度や、CDPの気候変動質問書、SBTの目標達成に向けた実績として算入できるほか、2023年4月に施行された改正省エネ法における非化石エネルギー使用割合の報告にも対応する。

RE100への報告に用いる場合は適合要件に注意を要する。RE100では原子力由来の証書が認められないため、発電所の属性情報が追跡可能な「トラッキング付FIT非化石証書」または「非FIT非化石証書(再エネ指定あり)」の選定が必須となる。調達形態としては、小売電気事業者の再エネメニューを通じて電気とともに証書価値を受け取る方法と、市場入札や仲介業者を通じて証書単体を購入する方法がある。

自治体が企業誘致や再エネ普及の一環として証書調達を後押しする事例もみられる。島根県によるFIT非化石証書の代理購入と補助事業のように、県営発電所由来の環境価値を原価で配分し、企業のコスト負担を抑えながら実質再エネ化を促す施策も展開されている。

市場規模の急拡大と管理実務・制度改定への留意点

非化石証書のオークションは年4回(5月、8月、11月、翌年2月)実施されている。企業の調達需要が高まった結果、FIT非化石証書の年間約定量は700億kWhを超える規模へと急拡大した。取引量の増大に伴って企業の調達・管理業務が煩雑化しており、中部電力ミライズが導入した証書管理SaaSのように、入札取りまとめから顧客への割当計算までを一元管理して業務の省力化を図る動きが広がっている。

一方で、制度面の見直し議論も進んでいる。FIT非化石証書は安価に環境価値を得られる反面、新規の再エネ電源投資を促す「追加性」に乏しいとの指摘があり、下限価格の引き上げや上限価格の撤廃など市場価格の適正化に向けた検討が行われている。さらに、国際基準であるGHGプロトコルのScope 2ガイダンス改定動向を踏まえ、年間の総量相殺だけでなく時間単位のマッチング(時間一致性)を重視する24/7カーボンフリー電力(24/7 CFE)の考え方が浸透しつつあるため、今後の適合ルールの変化を注視する必要がある。

参考

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環境ビジネス編集部

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環境ビジネスは、温暖化防止のための世界で初めての国際協定である京都議定書が1997年に採択されたことを受けて、その翌年創刊しました。当時、『21世紀は、環境の世紀』といわれ、私たちは、新たな時代の到来はもちろんのこと、新たな産業の息吹を感じ、環境に関するビジネスに役立つメディアを出版することになりました。ウェブマガジン「環境ビジネスオンライン」では、環境業界の注目ニュース・最新トレンド・政策・企業情報解説記事など、実務に役立つ情報・サービスを提供しており、多くの実務層の方々にご参照いただいています。

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