エネマネ事業者を活用し、補助金を受けた電炉メーカーの設備投資案件(2ページ目)



今回のエネマネ事業において、アズビルは1年目にハードウエアを導入、2年目にはその収集したデータをもとに、ソフトウェアを構築しながらチューニングに時間をかけた。そして3年目に微調整することで、最適化制御に成功。補助金の申請時に見積もった通りの削減量を達成した。
生産部中形圧延課長の津田孝治氏は「中形工場は岡山の収益を担う稼ぎ頭であり、稼働時間で換算すると年330日くらい稼働しています。ですから、どうしても生産量を増やすことに注力することになります。かねてから加熱炉の温度の最適化制御が省エネにつながることは把握していたのですが、今回はアズビルに課題を解決していただく良い機会になりました。省エネだけでなく、オペレーションなど省力・省人化の効果も出ています」と話す。
また、エネマネ事業者であるアズビルと現場スタッフの仲介役を務めた同課の富永英嗣氏は「中形工場の設備は製品サイズを大きくする度に加熱能力を高めてきました。例えれば、小さな体で大きなパワーを出しているようなもの。そのために非常にコントロールが難しい設備でした。なので入口のインプットと、その結果の出口であるアウトプットしか可視化できなかった従来の制御では余裕をもたせた加熱が必要で無駄がありました。しかし炉内の状況を見える化する技術で、繊細な制御ができるようになり、その無駄を省くことが可能となりました。この技術では、東京製鐵としても新たな経験ができました」と今回のエネマネ事業を評価する。
増強した設備を基盤に工場の新たな歴史を開く
プロジェクトの最終年に当たる2017年、新工場長である國米博之氏が6月岡山工場に着任。今回拡充した設備を基盤に、リーマンショック前の生産量を取り戻すべく岡山工場の再興を託された人事だ。


國米博之氏
國米氏は「もともと岡山工場は180万トン/年生産するキャパシティを持っています。2018年度になんとか100万トンにまでもっていきたいと考えています。また景気が持続すれば、現在愛知県田原工場に集約されているホットコイルの生産も再開する可能性もあります。技術屋として、やりがいのあるプロジェクトの最終段階に加わることができて光栄です。勝ち残りを賭けた岡山工場の新たな歴史の1ページを開きたい」と檄を飛ばす。
東京製鐵は、「製品のライフサイクル全体で排出量を2030年に40%、50年までに80%削減すること」を長期環境ビジョンで掲げ、全社を挙げて取り組んでいる。環境リサイクル事業も担当する仁科氏は「省エネというのは少ないエネルギーで大きなアウトプットを出すということです。まず、限られた契約電力の中できっちりと100万トン生産し、将来的には180万トンにまで伸ばす。そのためにはさらに無駄をなくし効率を上げていかなくてはいけないでしょう。現在はその準備段階です。アズビルには引き続き最適化制御の改善に力を貸してほしい。さらに将来に向けIoT、AIなど先端技術を取り入れた制御についても提案してほしいと思っています」と期待している。
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