住宅性能と健康 ― 最新の研究成果からみる「低温」と健康の関係(前編)
暮らしの拠点である住宅と健康は深い関係にある。現在、国内外で多様な研究が行われており、さまざまな疾患と住環境とのかかわりが明らかになりつつある。ここでは、住宅と健康の関係について研究を続ける近畿大学教授 岩前 篤氏に、住宅と健康についての研究成果と、岩前氏自身が接したいくつかのケースを紹介いただく。
はじめに~低温は万病の元
「快適な住まい」がよい家のキャッチフレーズとして頻繁に使用される。1980年代から暮らしにかかわるほとんどの産業において「快適さ」がアピールされるようになった。快適な車、快適な社会、快適な家。当時、筆者は鉄骨系の住宅会社に勤務していて、伝統木造住宅の作り手と論争をしたこともあった。論点は、いずれがより快適か、であったが、お互いに自分のつくる家こそより快適と主張し、議論は平行線を辿った。直言すれば、住まい手がある程度満足していれば「快適な住まい」である。快適で住まいの本質を評価することは限界がある。
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